店長竹田の

「大後悔日誌」


’05諦めが肝心
’06無駄な抵抗
’07今日はこのへんで勘弁したる
'08 choSuchbe'chugh vaj bIHegh !
'09 性能の違いが、音質の決定的差でないということを教えてやる
'10 数を撃てばいいというものではない、よく狙え
'11 登頂をあきらめる勇気
'12 ベースキャンプで十分だ

'13 この音、おろそかには食わんぞ。
'14 どうして耳がほてるのかしら?これって本当?
'15 神は人間に一つの舌と二つの耳を賦与したるは、しゃべるよりも二倍多く聞くためなり


2015/12/13 Fundamental MA10 定価 864,000円(税込) 

やっと、本当にやっと発売になりました!
2012年11月にSOULNOTEを訪問した際に試作機を聴かせて頂いてから3年・・・
まだか、まだかと完成を心待ちにしていたパワーアンプがようやく発売になりました。

 

内部のパーツ類は全て手ハンダにて制作されています。

散々待った甲斐があり、素晴らしいアンプに仕上がっております。
その素晴らしさが良く分かるエピソードをご紹介いたします。

発売を記念して、ファンダメンタル株式会社より鈴木社長にご来店頂き
2日間の試聴会を行いました。
その最中に途中入場されたお客様から
「これはハイレゾですか?」
との質問を多数いただきました。
今までに聞いた事のあるCD再生と、今聞いた音とがかけ離れているために
ハイレゾ音源の再生だと思っての質問だと思います。
「いえ、CD再生ですよ。」
とお答えすると、皆驚いたような顔をされていたのが印象的でした。

それほどまで、このアンプが作り出す空間はリアリティーにあふれています。

このリアリティーを作り出すためには、いくつかのポイントがあるのですが
MA10の最大の特徴である超高S/N比についてからお話しさせて頂きます。
LA10(プリアンプ)の入力をオープン(無入力)にしてボリュームを最大にした後に
MA10の電源を入れスピーカーに耳を付けても完璧な無音です。
このような経験は今までしたことがありません。
高S/N比を誇るどのようなアンプでも、フルパワー状態でスピーカーに耳を付ければ
「シャー」というノイズが聞こえるのが当たり前(少なくとも今までは)でしたので
これは、驚異です。
この驚くべきS/N比だからこそ可能な、極微少信号の再現性は今まで聞いた事の無い
空間を再現してくれます。

そしてもう一つのポイントが位相とスピードです。
位相が揃っているのは当たり前ですが、さらにスピードが早いです。
アナログアンプとしては最速と断言して良いのではないでしょうか。
この位相が揃い、かつスピードが早い状態はボリュームがどの位置でも常に一定です。
ボリューム位置により音質(さらに位相特性まで)が変化する事は、世のほとんどの
アンプが持っている特性であり、それは仕方が無い物だとあきらめていた事でした。
ですが MA10にはそうのような不安定な挙動が一切見られません。

深夜の集合住宅で使用されるような、極小音領域からスタジオでの生楽器に近いボリューム域
まで、どの音量でも音色や位相に変化が無い完璧な直線性を備えています。

少し大袈裟かも知れませんが、これらの特性は今までのアンプでは到達できなかった次元まで
到達しているように感じます。
アンプとして新しいステップに踏み込んだのかもしれません。

リアリティを追求したアンプのため、曖昧さや淀みが一切ありません。
楽器の音(エネルギー)をそのまま再現したい人には最高の相棒となってくれると思います。

MA10は1台でステレオパワーアンプとしても使えますが、2台使用してモノラルアンプとしても
使用可能です。
ステレオ使用でも、十分以上のクオリティーを備えていますが、モノラルモードでの
溢れんばかりのエネルギー再現性はこのアンプならではの魅力です。
高価なアンプですので、まずは1台購入していただき将来的に2台目を購入する
という事も可能です。
その場合不安になるのが、製造時期の違いによる個体差の発生ですが
MA10に限っていえば全く心配ございません。
数年後に2台目を購入しても、1台目との違いはエージングだけとなるように
パーツ類は補修パーツまで含めて全て在庫済みとの事です。

スピーカー駆動力も高く、鳴らせないスピーカーはほとんど無いと思います。

MA10はパワーアンプですので、音量調整のための前段機器が必ず必要になります。
今回は、LA10のみしか試す時間がありませんでしたので、店頭展示機が到着次第
他メーカーのプリアンプや、ボリューム尽きDACと組み合わせてみます。
特にボリューム付きDACと組み合わせることが出来れば、比較的低価格(と言っても高価ですが)
でシステムが構築できるので楽しみです。

吉田苑お勧めアンプは、50万円の Nmode X-PM100 の上となると
Spectral のセパレートシステムしか無い状況でした。
そこへFundamentalシステムが加わりましたので、選択する楽しみが増えました。
この2社の共通項は、位相特性が良好でスピードが早い点ですが
Spectral は濃厚で油絵のような美術的表現をしますし
Fundamentalは エネルギーまで含めた現物を表現します。
このように、全く違う世界を構築するのでどちらも捨てがたいです。

まだまだ書き足りない気分ですが、ファーストレポートはここまでとします。
前段機器の選択やスピーカーとの相性等、随時更新して行く予定ですのでお楽しみに。


 2015/11/13 fidata(IO DATA) HFAS1-H40 (ハードディスク 4TB 定価 345,600円)
                   HFAS1-S10(SSD 1TB 定価 399,600円)

IO DATA さんの新ブランド「fidata」よりオーディオグレードNASが発売になりました。
BUFFALOさんのDELAが好調なのを受けて、対抗意識が出たようで意欲的なモデルです。
価格帯もDELAさんの中間を狙った上手い設定です。

 

 
筐体は鋼板の底板に分厚いアルミの天板とサイドパネルで構成され、ハイエンドNASに相応しい
高い質感があります。
特に天板の梨地仕上げは「和」を感じさせる美しい仕上げとなっています。

 
 
今回発売になった2モデルは電源部と筐体は共通で、使用するストレージのみの違いとなっており
ハードディスクモデルとSSDモデルになっております。
ハードディスクモデルは2TBを2台搭載し、ミラーリング仕様となっておりますので容量は2TBになります。
SSDモデルは500GBを2台搭載し、スパニング仕様となっておりますので容量は1TBになります。

試聴はハードディスクモデルから行いました。
エスプレッシーボサウンドPCを使用し、再生ソフトにはJRiver、DACはPsAUDIO PWD MkII、スピーカーは
スキャンソニック MB-1 を使用しました。
比較対象は同じハードディスクタイプのDELA N1Aと比較試聴です。
N1Aも良く出来ていますが、比較するとさらに音の粒子が細やかになり空間の見通しが良くなります。
ハードディスクらしい線の太さと厚みを感じますが、繊細な表現も可能です。
N1Aとの価格差を考えると、微妙な判断になると思いますが高価なだけの価値はあると思います。

次にSSDモデルの試聴です。
ハードディスクとSSDを比較する際にいつも感じる、大きな音色の違いはあまり感じません。
ハードディスクタイプに通じる線の太さやエネルギー密度の高さを残しつつ、SSDらしい
滑らかさと繊細な表現力を持っています。
N1Aと比較すると、S/N比が向上しベール1枚分透明度が向上します。
特に全域に渡って質感が向上する効果が高く、リアリティーがアップする点が素晴らしいです。
N1Aだとベースとヴォーカルが混ざりあう部分があったのですが、HFAS1-S10では綺麗に分離するようになりました。

ハードディスクタイプではN1Aに対する価格差ほどの大きな差異は感じませんでしたが
SSDタイプは価格差なりの違いがあると感じました。
DELAはハードディスクタイプとSSDタイプの価格差が56万円もありましたが、HFAS1は約5万円ほどの差しかありません。
ですので、HFAS1を検討される場合はSSDタイプがおすすめです。

オーディオグレードNASを検討される場合は、コストパフォーマンス重視でしたらDELA N1Aを
音質重視の場合はfidata HFAS1-S10がおすすめです。

以前もどこかで書いたと思いますが、NASがここまで進化するとLANケーブルの音質差が無視出来ないほど
大きくなってきます。
可能な限り良質なLANケーブル(吉田苑ではAIM NA3シリーズを使用しております)をお使いください。

店頭デモ機を導入いたしましたので、DELA N1A との比較試聴が可能です。
お気軽にお気軽にご試聴にお越しください。


2015/11/07  DSD ストリーミング再生を聞いてみた(聞こうとしてみた)

DSD 5.6MHz の音源を実験的にストリーミング配信していると聞いたので
聞いてみました。
以下リンク先から専用再生ソフトをダウンロードして試聴可能です。

http://dsd.st/ja/

残念ながら、DSD対応DACならば全て対応しているわけではなさそうでして、試聴に使用した
Nmode X-DU1ではPCMしか鳴らなかったためPCM 24bit 192kHz での再生になってしまいました。
それでも、ハイレゾストリーミング再生の可能性を感じました。

再生ソフトが音質に与える影響が大きいため、専用再生ソフトの良し悪しに大きく影響されて
しまいますが、普通に音楽を楽しむのには十分なクオリティーを備えています。

ヨーロッパでは既にハイレゾストリーミングが開始されていますが、日本ではまだ様々な
問題があり当分難しいようです。
ですが、近未来音楽再生の一つの形として体験されてみてはいかがでしょうか。

現在の圧縮音源によるストリーミング再生では、満足出来ない方でもハイレゾストリーミングが
一般化すれば新しい世界が広がると思います。

期間限定での実験的な取り組みのようですので、気になる方はお早めに試してみて下さい。


2015/10/02 80パーセントシステムのすすめ 

前回80パーセントシステム(仮称)のお話しを少ししたところ、思いの外反応が良く
ぜひシステムとして紹介してくださいとの声を多数いただきました。

80パーセントシステムとは何だろう?という方も多いと思いますので
あらためてその必要性と内容を書いてみます。

現在、音楽を購入する人々の最大マーケットは、スマホ等の携帯機器で音楽を
楽しむ人々になります。
音楽販売量の8割以上が携帯機器で再生されているのではないでしょうか。
そうなると、音楽制作者側も携帯機器での再生時に良い音で聞こえるような
工夫を行います。
その携帯機器用に製作された音源を、普通のステレオ装置で再生すると
当然ながら色々と問題が起ってきます。

最近のJ-popの音質が悪いように聞こえるのは、再生する対象機材がそもそも
違うことから起るミスマッチである(もちろんこれだけではありませんが)点が
大きいように感じます。
本来イヤホンで聞くようにチューニングされた楽曲を、スピーカーで再生するわけですから
違和感を感じるのだと思います。

試しに、スピーカー再生で違和感を感じる音源をヘッドホンで聞いてみましたが
バランスのとれた聞きやすい音になりました。

このような、再生システムの前提が違う音源をスピーカーから良い音で聞くためには
再生装置側の工夫も必要になってきます。
そのためのシステムが80パーセントシステムとなります。

吉田苑が普段お勧めしている機材は、録音の良い音源の魅力を100パーセント発揮出来る
事を目標に機材選定しております。
そのため、残念な録音の物はその粗をもろに出してしまい、悲しい結果となることがあります。
趣味のオーディオとして、最高音質を目指す場合はそれで良いと考えておりますが
残念録音の物を多く聞く機会が多い方の場合は、逆にその高性能が仇となり音楽を聞くことが
楽しくなくなってしまうかも知れません。
これでは本末転倒ですので、あえて性能を少し落とし優秀録音を再生しても
残念録音を再生しても楽しく聞けるシステムが必要になってきます。

ここから先は今まで吉田苑がお勧めしてきた機材とは、選定基準がかなり変わってきます。
ですので、吉田苑としてのお勧めではなく私の個人的なおすすめとお考えください。
吉田苑の目指す良い音とは、かなり違うシステムになります。

今回の選定で普段の吉田苑基準と変わらない点は「位相特性が良好である」点のみです。
この位相特性だけは絶対譲れない重要なポイントなのですが、それ以外の部分に関しては
かなり自由に選定しています。

まずは、残念録音の具体的な欠点を考えてみます。
そのためには優秀録音とはどのような音源かを考えた方が早いので、優秀録音と感じた音源の
特徴を挙げてみます。

コンプレッサー等のエフェクト機材の使用方法が的確で、必要最小の使用で可能な限り
生に近い音を拾っている。

情報量が多く空間情報まで含めてきっちりと撮れている。

他にもありますが、大事なポイントはこの2点に集約されていると思います。

残念録音はこの逆ですので、エフェクト機材の多用により本来の音とは違う物に変換されてしまって
いる上に情報量が少ない音源になります。
こうなると、平面的で抑揚の無いスカスカの音になってしまいます。

このような音源を楽しく聞くためには、再生機器側である程度の脚色(色付け)が必要だと思います。
ですが、原音と違う音にまで変化させてしまうことは望みませんので薄化粧レベルです。

以上の点を踏まえて、機材を考えてみました。
初めての試みですので、ミドルクラスの機材で考えてみます。

まずは最も影響力の大きなスピーカーからです。

DALI EPICON2 定価 452,572円(ペア/税込)
程よい暖かみを持ちつつ、神経質にならないバランス感覚は今回の基準にぴったりです。
少し高価なモデルですが、その価格に見合うだけの豪華な仕上げが施されていて
所有する喜びまで満たしてくれます。
低域方向が僅かに膨らませてあり程よく量感も出ますし、中高域の透明度も確保されており
空間表現力もあります。

アンプは選択肢がいくつかございますが、スピーカーとの見た目のバランスまで考慮して
フルサイズ大型アンプを選んでみました。

LUXMAN L-507ux 定価 464,400円(税込)
ミドルクラス定番アンプのL-507uxですが、定番だけ有り信頼出来る基本性能の高さを持っています。
DALI EPIKON2 を完全に駆動することが可能なパワーを持ち、高域に少し乗せた輝きをアクセントに
ゴージャスな再生が可能です。

USB/DACはこの80パーセントシステム発想のきっかけにもなったモデルです。

OPPO HA-1 販売価格 165,000円(税込)
普段おすすめしている、ハイスピード/高解像度DACとは一線を画す、落ち着きのあるどっしりとした
再生が特徴のDACです。
良くも悪くも大変オーディオ的な音作りで、お客様のお好みを良く研究して作られていると思います。
ブーミーにならない程度で膨らませた低域、甘みを持ち色気のある中域、程よくエッジを落とした
まろやかな高域と、少し脚色が強めではありますがここまで徹底してやってくれると
納得させられてしまいます。

後は、入力機器にPCかCDトランスポートをご用意していただければ良録音はそれなりに
残念録音も十分に楽しく聞く事が出来るシステムが完成すると思います。

なお、このシステムはアニソン用途としても十分に楽しめると思いますので
小倉唯、田村ゆかり、ゆいかおり、花澤香菜(同じやつが入っているぞ等のクレームは禁止です)等の
声を、より魅力的に聞きたい方にもおすすめです。


 
 
2015/09/18  Scansonic / Raidho 取扱い始めました。 

デンマークのスピーカーメーカー Scansonic と Raidho の取扱いを始めました。
Raidho は今までも輸入されておりましたが、Scansonicは比較的新しい(2012年ブランド展開開始)
ブランドです。
この2つのブランドの設計者は同じで、Raidhoの低価格ラインがScansonicという位置付けになります。

Scansonic の3モデルとRidhoの1モデルを試聴しました。

 

Scansonic MB-1 定価 324,000円(税込)

コンパクトでお洒落なデザインのスピーカーです。
リボンツィーター+カーボン製ウーハーという構成で、キャビネットは木製のラウンド構造になっています。
サランネットは付属しません。
横幅は 178mm とかなり狭く、立体的な空間表現を狙って設計されたスピーカーのようです。

リボンツィーターにダイナミック型ウーハーとという組合せは、高域特性は良好ですが
動作原理が違う(広義な意味では同じダイナミック型の仲間ではありますが)ユニット
を使用するため、ユニット同士を違和感無くつなげるのが難しいのですが
このメーカーのスピーカーはどのモデルも自然につなげる事に成功しています。

アンプはNmode X-PM7を使用しCDやPC等から様々なジャンルを鳴らしてみました。
現代的なワイドレンジ、ハイスピードスピーカーならではの、ナチュラルで広い空間表現力
を持っており、奥行や高さを正確かつ緻密に再現可能です。
低域の膨らみやもたつきが無く、切れ込みの鋭い低音が楽しめます。
特に優秀なのが中域で、2ウェイスピーカーは中域の密度が希薄になりがちで
中抜け気味の薄い音になることがあるのですが、このスピーカーは中域の密度(エネルギー)が
薄くなることがありません。
そのため、どのようなジャンルの曲を掛けても厚みのある再生が可能です。

接続するアンプの音色を正確に表現する傾向が強く、アンプの選択が一つのポイントになりそうです。
空間表現を重視する場合はNmode等のハイスピード系アンプを、エネルギー重視で
録音の残念な音源を良く聴く場合はLUXMAN等の大型アンプを接続するのも面白いです。

 

Scansonic MB-2.5 定価 540,000円(税込)

横幅は 178mm とMB-1と同じで リボンツィター+カーボン製ウーハー2個構成の
トールボーイタイプになります。
ウーハーは上下でカットオフ周波数が変えてある0.5構成になります。
そのまま鳴らすとややの低域寄の帯域バランスとなり、少しブーミーなイメージですが
フルオケを鳴らす場合にはこれくらいのバランスが楽しいですね。

 



底部にあるポートをウレタンで塞いでみました。
普通このようにポートを完全に塞いでしまうと、詰まった抜けの悪い感じになる場合が
多いのですが、このスピーカーの場合は引き締まったタイトな低域が手に入りました。
低域多目でゆったり聴きたい場合はポート開放で、引き締まったスピードのある低域を
楽しみたい場合はポートを塞いでと、2通りの音が手軽に楽しめる良いモデルだと思います。
ポートを塞ぐと、コンパクト2ウェイの様な定位の良さと広い空間表現が可能なバランスの良い
スピーカーです。
このモデルもMB-1と同じく中域のエネルギー密度の高い再生が可能で、さらに低域方向の密度も上がり
より広い範囲のジャンル(特にオーケストラ)に対応可能になっています。

 

Scansonic MB-3.5 定価 777,600円(税込)

このモデルも幅 178mm とシリーズ一貫してフロントバッフルを狭く設計してあります。
最初このモデルの写真を見たときに、これはダメだろうと(先入観ですが)思っておりました。
ウーハーが横に付いているのです。
空間表現力を上げるためにフロントバッフルを狭くすると、大型のウーハーをフロントに設置出来ないため
ウーハーを側面に取付ける手法は最近良く見かけますが、その代償として位相特性が悪くなる
という欠点が有り、位相特性を重視する吉田苑としては微妙な評価になる場合が多かったです。
今回もその流れで、位相特性の悪い微妙なモデルだろうと考えていたのですが・・・
音を出して驚きました。
位相特性が良好なナチュラルな低音がすっと出てきます。
ブーミーになること無くタイトかつ量感を伴った低音で、質の高い低音がタップリと出てきます。
MB-2.5の時も感じましたが、質の高いコンパクトスピーカーのような空間表現力と
トールボーイならではの低音の量感が高い次元で融合した完成度の高いスピーカ−に仕上がっています。

3モデル共に共通しているのは中域の密度の高さで、厚みの有る広い空間表現が楽しめる
良質なスピーカーだと感じました。

 

Raidho X-1 定価 777,600円(税込)

ただの四角い小さな箱が 77万円!
見た目で価格が想像出来ないスピーカーです。
Scansonicの3モデルに続いて、同じシステムで試聴しましたが・・・
聴感上の能率が低く、アンプのボリュームを12時位置まで上げても、小さな音しか出ません。
カタログデータでは6Ω/85dBと公表されていますが、聴感上では80dBを切っていると感じる程
能率が低いです。
出て来る音も、線の細い薄い音で全く鳴っていない感じでした。
これは手強いスピーカーです。
昔、Dynaudio Confidence5 を初めて聴いた時のことを思い出しました。
最近のスピーカーはアンプに優しいモデルが多く、ここまで鳴らしにくい硬派なモデルは久しぶりです。
これは、大型アナログアンプが必要だと思いスペクトラルのセパレートアンプで鳴らしてみました。
なるほど、これは手強いですがこの手の手強いスピーカー共通の
「私、鳴ったら凄いんです。」 感満載です。
Scansonicの完全な上位で、緻密で繊細な空間が高いエネルギーを伴って再現されます。
70万円のスピーカーを鳴らすために、200万円のアンプが必要になるという
最近あまり見かけなくなった厳しいスピーカーですが、鳴らすことが出来れば
素晴らしい表現が可能です。
比較的狭い部屋で、最高のステレオ再生を目指す場合の選択肢の一つとしてお勧め出来る
取り組みがいのある高性能スピーカーです。
「一生かけて鳴らしてやるぞ!」
というチャレンジャーな方にもおすすめです。

どのモデルも良質で密度の高い表現が可能で、コンパクト2ウェイの中域の密度感に
ご不満をお持ちの方にもご満足いただける、完成度の高いスピーカーに仕上がっています。

Scansonicは普通にオーディオを楽しまれる方に最適な1本となり得ますし
Raidhoはマニアの方のチャレンジ精神をかき立てる手強い1本として、長く付き合えると思います。
展示機の到着は月末頃の予定ですので、ぜひご試聴にお越しください。

 
 
 2015/09/05  SPECTRAL SDR-4000SL 定価 3,456,000円(税込)

今回ご紹介するCDプレーヤーは、このコラムでおすすめして来た機材の中でも飛び抜けて高価
なモデルです。
基本的に安くて音の良い機材が好きな私としては、このような高価なモデルをご紹介する事には
抵抗があるのですが、この音の良さを知ってしまうと紹介しないわけにはいきません。
現時点(歴代含めても)で入手可能なCDプレーヤーの中でも、最高峰の音質を誇ると言っても
良いのではないでしょうか。

 

SPECTRALの他モデルと同じく飾り気の無いシンプルな顔です。

  

機能的にはSACDには対応せず、完全なCD専用機です。
CDトレーは存在せず、スロットイン式のCDドライブメカを採用していますが、この点に不安を
感じる方が多いと思いますので、少し説明させていただきます。
高級CDプレーヤーの問題点は寿命です。
数百万円するCDプレーヤーもCDピックアップが修理不能になると、ただのオブジェにしかなりません。
この修理可能期間ですが、法律上は製造完了後7年間で良い事になっております。
もちろん7年経ったらすぐに修理不能となるわけではございませんが、10年後は
かなり不安です。
実際高級CDプレーヤーの修理不能品は多数出てきております。
また、CDプレーヤーは回転部を持つメカのため、数年ごとのメンテナンスを必要とし
通常の使用状態での平均的な寿命は5年から10年ほどです。
音声出力部のアンプ回路は20年後でも修理可能な場合が多いですが、CDピックアップに
限っては修理パーツの供給がストップすると、そこで終わりです。
そして、CDプレーヤーの故障はほとんどの場合CDピックアップの故障です。
ヤフオク等のオークションサイトで、古いCDプレーヤーのジャンクが高価格で取引されているのは
一般の流通では入手不可能になった古いタイプのピックアップを入手するためです。
このようにCDプレーヤーの使用可能期間はピックアップの供給期間(修理可能期間)により
大きく変動いたします。

SDR-4000SLで採用されたCDドライブメカは航空/軍事用のため、長期間のサポートを念頭に置いて
設計されております。
おそらく今後長きにわたり、修理やパーツ交換が可能な数少ないCDドライブユニットの一つです。

肝心の音質ですが、吉田苑のリファレンスである、高コストパフォーマンス機 PsAUDIO PWD MkII+PWTシステムや
SOULNOTE ct1.0 + sd2.0 システムと比較しても一聴して大きな差があることが分かってしまいます。
これら2つのシステムはどちらもセットで70万円(定価)ほどですが、それ以上の高価なモデルと
比較しても劣る部分がほとんど無く、高いコストパフォーマンスを誇り長期間吉田苑リファレンス
プレーヤーとして使用しておりましたが、今回ばかりはその座を受け渡してしまうことになりそうです。

比較的音質傾向が似ているPsAudioと比較試聴をしましたが、SDR-4000SLを聞いた後ですと
今まで不満を感じたことが無かった、PsAudioの定位の微妙な滲みや、わずかな透明度の低下
スピードの足りない部分が見えてきました。
ハイエンドプレーヤーは色付けで聞かせるモデルも多いですが、SDR-4000SLは直球勝負です。
もちろん色付けはこのモデルにもございますが、あくまでも基本性能を徹底的に高めた後に
薄く色を付けているのであって、色付けだけでごまかすような事はしておりません。

エネルギーの満ちた広大な空間に各楽器が明確に定位し、厚みと力を維持したまま
音が濁ったり滲むことがありません。
スピードはこれ以上無いほど速いのですが、ここまで速いとスピードを意識させなくなります。
究極のハイスピード再生は自然界の音と同じですので、速くなればなるほどナチュラルになりスピードを
意識させなくなります。

そして、絶妙なさじ加減の薄化粧がまた魅力的で、録音の悪いソフトを再生しても
単調にならずに楽しく聞かせてくれる、聞かせ上手な面も持っています。
優秀録音は最高のクオリティで再生可能なだけで無く、残念録音のソフトも救ってくれる
高い柔軟性と完成度を誇っています。

音楽を愛する全ての方に強くおすすめしたいプレーヤーですが、残念ながらあまりにも高価です。
問題点はこの価格のみですが、そのハードルはあまりに高いです・・・
それでも、あえて今回はご紹介させていただきました。
長期間使用可能な究極のCDプレーヤーをお探しの方にはご満足いただけるモデルです。

展示機導入いたしましたので、聞いてみたいという方は店頭で試聴可能です。
もちろん価格が価格ですので、そう簡単に売れるとは思っておりません。
試聴したからと言って、購入していただこうとは考えておりませんのでお気軽にお越しください。
逆にPsAudioやSOULNOTEのコストパフォーマンスの高さを確認できる良い機会でもあると思います。

本当にこの価格が残念でなりません。
せめて半額だったら夢が見れたかも知れないのですが・・・

 2015/07/20  CEC CD5 定価 183,600円(税込) 

現在、吉田苑では CEC TL5 というCDトランスポートを10万円クラスのCDトランスポートとして
おすすめしておりますが、今回はそのTL5のDAC搭載モデル CD5 を試聴しました。
CECといえば、20年ほど前に CD2100 という低価格CDプレーヤーが高評価を得て
かなり売れていました。
ここ数年ほど元気がありませんでしたが、最近はCDシステムに特化した貴重なメーカーとして
頑張っています。
今回のCD5もかなり力の入った力作で、良く出来ています。

 

天板上、左側の金色のクランパーがローゼンクランツ STB-1
右側の黒が純正クランパーです。

まずは、メーカー純正のディスククランパーを使用して試聴しました。

ベルトドライブ特有の滑らかで耳当たりの良い音色がします。
楽器のアタック音等の急峻な立ち上がり速度について行けず、エッジが丸くなりますが
神経質になること無く、穏やかに音楽に浸ることが出来ます。
解像度、情報量共にこのクラスとしては標準的なクラスです。

次にディスククランパーをローゼンクランツのSTB-1に変えて試聴してみました。
先ほどまでは、良い意味でこぢんまりとまとまりバランス良く鳴っておりましたが
解像度、情報量共に増えてハイファイ調になります。
レンジも広がり、CDプレーヤーとして1ランク上がる印象です。

スピードはやや遅めで、楽器のアタック音を気になさる方にはお勧め出来ませんが
女性ヴォーカル(アニソン)への適応力が大変高く、録音の悪いヴォーカル物の救世主かもしれません。
5/31の日誌でご紹介した OPPO HA-1 も同じような用途に向いたDACでしたが
DAC単体で17万円ほどしますので、こちらの方がより低予算でシステムを組むことが可能です。

さらに、このCDプレーヤーはUSB入力や同軸/光のデジタル入力も備えUSB/DAC機能も
搭載されています。
このDACの出来が良く、PCと組み合わせて使用するとCDプレーヤ部と比較しても解像度、情報量、レンジが
向上し質感が1ランクアップします。
スピードも少し上がりますので、録音の良いソフトは一度PCに取り込んでからの再生を
おすすめします。
このように、録音の良い音源はPC経由で高音質に再生可能、残念な録音の物はCDプレーヤー
からそれなりに再生可能と対応力の高い作りになっております。

吉田苑が目指してきたハイスピードな音がご希望の方は
CDトランスポート TL-5 + ローゼンクランツ STB-1 + Nmode X-DU1 の組合せを
あまり神経質にならずに録音の悪い音源もそれなりに気持良く聞きたいという方は
CDプレーヤー CD5 + ローゼンクランツ STB-1 をおすすめいたします。




2015/07/10  DELA 新製品(新色)発売と値上げのお知らせです。 

ご好評いただいている DELA のNAS HA-N1A に容量アップ&ブラックモデルの登場です。
DSD音源は1曲のデータ量が多く、全ての楽曲をDSDで保存しようとすると今までの1TBモデルでは
不安がありました。
その声に応えて倍の容量を持った2TBモデルの登場です。
さらに新色のブラックでの発売です。

 

HA-N1AH40BK
販売価格は 216,000円(税込)です。
 
新製品の発売は嬉しいニュースでしたが、残念なお知らせもございます。
既存モデルが値上げします。
1TBモデルの HA-N1AH20 は 148,000円(税込)から172,800円(税込)へ
ハイエンドモデルの HA-N1ZS10 は 698,000円(税込)から 734,400円(税込)へ
それぞれ大きく値上げいたします。
旧価格での販売は 7月13日(月) までになりますので、ご検討中の方はお急ぎください。



 2015/06/29  DALI本社工場訪問記
 
 
 機会がありデンマークのDALI本社工場に行って来ました。
初めてのヨーロッパという事もあり、どんな所かワクワクしながら行って来ました。
日本との時差が−7時間ですので、こちらが午後6時の時にあちらは午前11時です。
到着して数日はこの時差に悩まされ、眠くてフラフラしていましたが、貴重な機会ですので
眠いのを我慢して精一杯楽しんできました。

 

 国土に余裕のある国ですので、建物は平屋が多くDALI本社工場も平屋の広い建物です。
まずは、DALIの歴史や商品開発、品質管理のお話しを聴いた後工場を見せてもらいました。

 

キャビネットの材料となるMDFです。
この板からスピーカーのキャビネットを切り出していきます。

 

板に化粧板を張り付けた後に機械でこの形に自動でカットされて出てきます。

 

フロントとリアのバッフルをはめ込みます。
溝には自動で接着剤が流し込まれています。

 



折りたたんでいきます。

 

接着剤が固まるまでテープで固定します。

 



ベルトで締め込み固まるのを待ちます。

 

固まったらベルトを外し、リアパネルを取付けます。

 

色が違いますが同じスピーカーです。
低価格帯スピーカーはこのように最後の行程はロボットが製作します。
といっても、ユニットのネジ止めのみロボットで、あとはほぼ手作業で組み立てられていました。
Mentor Menuet はこの行程も手作業でしたので、ペアで10万円以上のモデルに
なると手作業での組立になるようです。

 

完成後の測定です。
DALI本社で製造される全てのスピーカーは、このように全数検査が行われます。

 

問題があるとこのように赤いラインで警告します。



正常な場合はこのように緑のラインで表示されます。
測定結果が黄色のラインからはみ出すとNGになるそうです。
周波数特性、インピーダンス特性、歪み率、等を測定しています。

 

ここからはユニットの製造工程です。
マグネットの製造です。



コーン紙にボイスコイルを接着しています。
一工程ごとに熟練の工員さんが専属で付いています。
ユニット製造工程はかなり小さめの部屋で少人数で行われています。
ユニットはスピーカーの肝ですので、工員さんの入れ替えはほとんど行わないそうです。



コーン紙にボイスコイルが接着されました。



磁石が装着されたユニットのフレームです。
このフレームと先ほど完成したコーン紙の接着作業は特性のばらつきを無くすために
ロボットが行います。



完成したユニットです。

 

高級モデルのキャビネット仕上げ工程です。
ピアノ用のコンパウンドで磨き上げて光沢を出します。

 

ここは品質管理を行う部屋です。
この大きな機械は、内部の温度と湿度を自由に設定出来る物で、内部にスピーカーを
入れて気温や湿度に対する耐久性を計る装置です。



温度40度、湿度85%に設定してありました。



こちらのコンテナは完全防音のパワーテスト室です。



定格の数倍のパワー(この時は1000W)を入れてネットワークの発熱を検査しています。
一瞬だけ音を聴きましたが、とんでもない爆音でした。



テスト時間は2時間だったようです。
1000Wで2時間・・・良く壊れないです。
すごい耐久性です。

 

完成した商品倉庫です。
ここに見えているのは奥の奥まで全てZensor1です。
数千ペアのZensor1は凄い迫力でした。
ここから30カ国に出荷されていくそうです。

 

本社試聴室です。
日本には輸入されていない、MEGALINE(両脇のスピーカー)が目立ちます。



DALIのプリアンプです。



同じくDALIのモノラルパワーアンプです。



色々聞かせて頂きましたが、個人的に一番気になったのはこの左側の小さなスピーカー
Zensor シリーズの新型で右側はZensor1ですので、かなりコンパクトなモデルです。
Zensor1では大きすぎてPC用では使いにくかったですが、このサイズならば
PCモニターの横にも置けます。

2日掛けて工場見学させていただき、DALIの真摯な物作りに対する想いが感じられました。
DALIのCEO ラースさんにお話しを聞かせて頂きましたが、技術畑からの叩き上げの方で技術系の
質問にも全てご本人が答えてくれました。
経営者が技術的な事を完全に理解しているので、利益のみを追求する物作りに走ることは無いと思います。

ここから先はDALIとは関係ない旅行記のような物ですので、お時間のある方はお付き合い下さい。

初日は成田からコペンハーゲンに入り、次の日にDALIのあるオールボーへ移動しました。
二日目のオールボーへの出発までと最終日の午前中に少し時間があったので、電車に乗ってお城を
見に行きました。
こちらの切符販売機は複雑で、切符を購入するのに6段階ほどのプロセスがあり
かなり戸惑いましたが、勘で乗り切りました。
デンマークは山の無い国で、最高標高が173mしかありません。ですので自転車が市民の脚として
定着していて、電車に自転車を乗せる専用車両があります。

 
デンマークの首都コペンハーゲン最大の駅コペンハーゲン駅です。





購入するのに苦労した切符です。



3両に1両の割合で自転車専用車両が連結されています。



海外旅行世界3大がっかりの一つである人魚姫の像の近くにあるお城です。



ローゼンボル城です。



ロダンの考える人
なぜこんな所にあるのだろう?と思いましたがどう見ても「考える人」だったので
帰国してから調べたところ、世界に26体あるそうです。知りませんでした。

町を散策していると、素敵なデザインの物がたくさん有り楽しいです。
目的無く散歩するだけでも良い国です。 

 

空港の壁面です。



ホテルの廊下です。



日本人とはセンスが違いますよね。
カエルかな?



レストランです。



街角のオブジェ



左端が歩道で、真ん中は自転車専用道路です。
どこに行っても自転車専用道路が整備してありました。
通勤時間帯は、自転車が大量に走り抜けます。



ホール内部です。
このクラスのホールが町中に複数有りました。
人口から考えると、凄い数だと思います。



デンマークを代表する企業「LEGO」ショップです。



もう一つ有名なロイヤルコペンハーゲンです。



B&Oショップ
オーディオショップには見えませんね。

デンマークはこの時期日が長いです。



これで、夜10時くらいです。
ここまで日が落ちても、太陽は横に移動していくので中々日が沈みません。





日が沈んでも、真っ暗にならずに薄く明るいです。



コペンハーゲン駅の夜景です。

 
 



空港の売店で販売されていた、サンドイッチ?です。
下にパンがあるのですが、見えないですね。



こうなるともうどうやって食べたら良いか分かりませんね。

日本にいては感じることの出来ない、現地の空気や文化を肌で感じることが出来
貴重な体験をさせていただきました。

 
 
 
 2015/04/20 LANケーブルの使いこなし


PCオーディオの中でLANケーブルの影響は比較的小さく、本当に良い物を購入するのは
最後で良いと思いますが、それでも無視出来ないほどの影響力は持っています。

吉田苑の店頭ではリファレンスとして AIM NA3 (1m 38,880円)を使用しております。
S/N比が高く滲みの少ない良いケーブルですが高価なのが欠点です。
普段お勧めしている DELA C1AE (1m 4,100円)と比較してもS/N比が良く、ダイナミックレンジも広くなります。
ですが、価格差を考えると C1AEのコストパフォーマンスの高さが引き立ち、究極を目指さない限り 
C1AE で十分にご満足いただけると思います。

使いこなしというほどの事でもありませんが、NASを組み込んだ場合LANケーブルは2本必要になります。
この場合、同等のLANケーブルが2本あれば悩みませんが吉田苑には AIM NA3 が1本しかございません。
そのため、NA3とC1AEを1本ずつ使用しております。
では、どこにNA3を使用すれば良いか試してみました。

結論はハブ−NAS間にNA3を使用した方が良い結果が出ました。
信号の流れから考えると上流側に良い物を使用した方が、情報の取りこぼしが少なくなるようです。
NA3が2本購入できれば良いのですが、限られた資源を有効に活用する場合は
上流に良い物を使用するのがお勧めです。

 2015/06/04 YAMAHA A-S301 定価 43,200円(税込) CD-S300 定価 44,280円(税込)
一時期オーディオから遠のいていたYAMAHAさんが、最近精力的に新モデルを発表しております。
一通り試聴させていただきましたが、特に下位モデルの出来が良いのでご紹介です。

 

アンプの左側の液晶画面の様に見えるのはシールです。
剥がすと何もありませんので、この部分はただのシルバーです。

プリメインアンプのA-S301は上位モデルとしてA-S501とA-S801がございますが
内部を見た感じでは、トランスの大きさが違う程度でメイン回路はほとんど同じようです。
最上位機のA-S801の定価が108,000円(税込)ですので、半額以下でほぼ同じ性能のモデルが
入手可能というCPの高いモデルです。
音質は入門機らしい派手目な印象を持っていますが、位相特性が良くスピードも
遅くはありません。
この価格帯としては珍しく、少し濃い色付けがしてありますのでストレートに音が出る
モデルをお好みの方にはお勧め出来ませんが、入門クラスで濃いめの音が出るモデルを
お探しの方にはお勧め出来るモデルです。

CDプレーヤーのCD-S300も良く出来ており、入門クラスプレーヤーとしては
お勧め出来る良いモデルです。
さすがに筐体の軽さが音に出て、低域方向のエネルギーを制御出来ずやや緩い低音が
出ますが、このあたりはセッティングの工夫である程度締めることが出来ると思います。
音数も十分に確保されており、特に不満がありません。
ディスクの読込みも速く、トレーを閉めてから再生開始までのタイムラグでイライラする事も
少ないと思います。
コアキシャルのデジタル出力がありますので、CDトランスポートとしても試してみました。
これは良いです。入門クラスCDプレーヤーのデジタル出力としてはトップクラスの音質を
持つのでは無いでしょうか。
アナログ出力と同じように低域の甘さが気になりますが、それ以外の中、高域の抜けや
解像度、情報量は優秀で、良いDACと組み合わせてあげればミドルクラスプレーヤーと
して十分に使用出来そうです。
当店で販売しております、CR-N765等のCDレシーバーと組み合わせれば
気軽にCD部のグレードアップが図れますので、CRシリーズとの組合せもお勧めです。
 
 
2015/06/01  冗談で言っていたことを実践した人たちがいた。
 
スタッフの間で以前から冗談のように語っていた疑問を実践してくれた人たちがいました。
大変興味深い内容ですので、お暇なときに覗いてみて下さい。

電源でお米の味が変わる? 「電源トランスご飯」と「普通電源ご飯」をブラインド試食

こうなると発電所による音の違いにも興味が出てきますね。
水力は滑らかで透明度が高く、火力は荒々しくエネルギッシュ、風力はさわやかで心地良い、
原子力は正確無比ですが面白く無い音がするに違いないのですが・・・・


2015/05/31 OPPO HA-1 オープン価格 実売 165,000円(税込) 


吉田苑の目指す音(詳しくは以下リンク先をご覧ください)に沿った機材を普段は
お勧めしておりますが、今回は少し違う方向性のモデルをご紹介いたします。

http://www.yoshidaen.com/qanda/poliocy.html

吉田苑で普段お勧めしている機材は、上記リンク先にあるように スピードが早く
位相特性の良好なモデルがほとんどです。
絶対に譲れない点として「位相特性が良好である。」という点がある物の、それ以外に
関してはスタッフによって好みが分かれます。

例えば、スタッフのKは
位相特性=スピード>>>>>>その他
というほどスピードを重視します。

そして私は、スタッフ中最もスピードに関して寛容で
位相特性>>>情報量>スピード>>>その他
といった感じで、スピードは多少犠牲にしてでも情報量の多い物の方が好みです。

これは、普段どのような音楽を聞くかによって好みが分かれる様に感じます。
楽器の中でも、ギターやドラムを好む場合はスピードが優先される傾向がございますし
ヴァイオリン等の弦楽器の場合は高域の滑らかさや歪みの無さが優先され
結果としてスピードは少し落とした方がお好みに合う場合もございます。

このように、お聞きになるジャンルによってはあえてスピードを落とすという選択肢も
出てきます。

話は変わりますが、現在入手可能な音源(CD、レコードを問わず)の全ての録音が良い訳ではございません。
残念ながら、良録音音源の方が少ないのが現実です。
吉田苑の目指す音を徹底して追求していくと、この録音の悪い音源を聞く事が辛くなっていきます。
良い録音はさらに良く、悪い録音はさらに悪く聞こえる様になってしまうのが問題です・・・

前置きが長くなりましたが本題です。
この録音の悪い音源をそれなりに聞くためには、ある程度スピードを抑制した方が
聞きやすくなります。
頂点を目指すのでは無く、全てを80点にしてしまうのが今回の目的です。
良い録音(100点)も80点になってしまいますが、悪い録音(60点)も80点になるので
全ての音源を楽しく聞く事が出来る様になります。

今回ご紹介する OPPO HA-1 は今回の用途にぴったりだと思います。

 
 
 

フロントパネルの表示部は3種類から選択可能です。
見ていて楽しく、VUメーターモードが個人的にはお勧めです。


HA-1は USB/DACヘッドフォンプリアンプ という多機能機ですが単純にDACとしても優秀です。
アンプは Nmode X-PM7 スピーカーに DYNAUDIO ContourS1.4LE というハイスピード
システムに組み込んで試聴しました。
まずは  CEC TL5 から同軸デジタルケーブルで接続してCDを聞いてみました。
ほのかな暖かみを持ちつつ、穏やかな表現ですが解像度は落ちません。
情報量はこのクラスとしては標準以上で、音数は十分に確保出来ています。
スピードは当店が普段お勧めしているDACを100とすると、70くらいでしょうか。
早くは無いですが、遅すぎもしないという感じです。
中域の下の方が少し膨らむ感じがありますが、これはCDトランスポートの個性でしょう。
低域方向を少し膨らませる音作りを感じますが、いやらしくはありません。
打楽器やギターはさすがにスピードの遅さが気になりますが、ほどよく丸まって耳当たりは
良くなります。
弦楽器は高域の抜けの良さもあり、スムーズで聞きやすくなります。

次にUSBケーブルでPCと接続しての試聴です。
CDと比較すると、スピードがほんの少しアップします。
情報量や解像度等に大きな変化はありませんが、先ほどの中域の膨らみは無くなり
よりフラットなバランスになりました。
CDの時と同じように低域方向に少し膨らむ感じがありますが、ブーミーになるほど
の事はありません。

使いこなしの注意点としては、DACとして使用する場合はプリ機能(ボリューム)を
バイパスしてダイレクトに出力させてください。
各入力ごとにプリモードとダイレクト出力モードが設定可能ですので、用途に応じて
切り替えてください。
もう一点、ヘッドフォンアンプ部がA級動作のためかなり発熱します。
天板の穴を塞がない様にしてください。

PC、CD共通で録音の良くない音源をかけても、ほどよくマイルドにしてくれるので聞いていて
いやな感じがありません。
楽器のアタック音に拘りが無ければ、聞きやすい良いDACだと思います。
特に声の密度感、充実度が高いので女性ヴォーカルやアニソンとの相性が良好です。
後日、このDACを核としたアニソン専用システムを組んでみようと思いますので
ご興味がある方はお待ちいただけませんでしょうか。


 
 
 2015/05/28 DSDリアルタイム変換について

最近は、DSDへのリアルタイム変換再生を行う方も増えて来ましたので
その再生に関しての対応を考えてみました。
吉田苑でお勧めしています「ESPRESSIVO SOUND PC」の場合、搭載しているCPUは「Pentium G3240T」という
比較的低スペックの物を使用しております。
これには理由がございまして、低スペックのCPU(コア数が少ない)ほど音質が良いため
あえて、このCPUを使用しております。
ですが、DSDリアルタイム変換を行うにはスペックが低すぎて音飛びがひどく残念ながら使用出来ません。
そこで、どこまでスペックを上げれば使えるのか2台の「ESPRESSIVO SOUND PC」を用意して検証してみました。

core i3-4370T 3.3GHz 2コア搭載モデルと core i5-4590T 2GHz 4コア搭載モデルです。

 
再生ソフトには JRiver20を使用し、DSD5.6Mへのリアルタイム変換で試してみました。
core i3-4370T では Pentium G3240Tほどひどくは無い物の、音飛びがひどく実用になりませんでした。
core i5-4590T では、問題無く使用出来ました。

上記の結果から、DSDリアルタイム変換を行うためには最低でも「core i5」クラスが
必要になると思われます。

さて、問題はここからです。
実際にDSDリアルタイム変換を行って音質がどのように変化するかが重要です。

再生ソフトはJRiver20を使用して、CDリッピングの16bit 44.1kHzの音源をそのまま
再生した場合とDSD5.6Mリアルタイム変換での比較試聴です。

44.1kHzのままの再生と比較すると、DSDリアルタイム変換の音質は柔らかく聴きやすい音色に変化します。
エッジが丸くなり、解像度が落ち、聴きやすくなるのは確かですが、クオリティ−はかなり落ちている様に感じます。
耳当たりは良くなる様に感じるので、こちらの方が好みの方もいらっしゃるでしょうが
クオリティーで比較した場合、44.1kHzで再生した方が良いと思います。

さらに大きな問題がございまして、最初に書きましたがCPUは低スペックの方が高音質です。
今回、せっかく2台のPCを用意したので改めて試聴してみましたが、core i3-4370T 3.3GHz 2コア搭載PC
の方がかなり高音質です。
具体的には、S/N比、情報量の差が大きく、奥行や高さ方向の空間情報が大幅に増えます。

仮にDSDリアルタイム変換する事によって音質が10向上するとします。
ですが、DSDリアルタイム変換するためにCPUを「core i5-4590T」へ交換すると1万円ほどの出費の
増大と共に、音質は30ほど悪化します。
1万円も出費が増えた上に、差し引きで20ほど音質が悪化すると言うことになります。
そのため、吉田苑としては、DSDリアルタイム変換をするためにマシンスペックを上げることは
お勧め出来ません。
低スペックマシンで変換せずにそのまま再生する事がお勧めです。


 2015/04/05  お勧め中古セット入荷したのですが・・・

最近ネタが無く更新をサボっておりました。
さすがに何か書かないといけないと考えていたところに、素晴らしい下取品が
立て続けに入荷してきたので、セットでご紹介です。

DYNAUDIO Confidence5

このスピーカーは2色設定だったのですが、チェリーが圧倒的に多くローズはほとんど見かけません。
今回入荷したのはその珍しいローズです。
ユニットの状態も良好で、ツィーターに小さなへこみがありますが、ほとんど
気にならないレベルです。

 

Spectral DMC-15 DMA-90

あまり入荷しないSpectralのアンプがプリとパワー別々に同時期に入荷するという
大変珍しいケースです。
どちらも程度は良好で、プリのDMC-15はほぼ無傷で極上です。
DMA-90はフロントパネル上部に傷がありますが使用年数を考えると、状態は良い方です。

 
 
DYNAUDIO Confidence5 ですが、古いスピーカーですのでご存じ無い方もいらっしゃると
思いますので、軽く説明させていただきます。
今でこそ鳴らしやすくなったDYNAUDIOですが、昔はそう簡単には鳴ってくれない頑固なスピーカーを
作っていました。
その鳴らす事が困難な時期のDYNAUDIOスピーカー群の中でも1〜2を争うほど
鳴らす事が困難なスピーカーです。
通常のスピーカーとユニット配置が逆で、ツィーターが下に付いているため
スピードの遅いアンプで鳴らすと音が下から出てきます。
高さを出すためにはハイスピードアンプを要求してきます。
さらに、ウーハーがそう簡単には動いてくれないので、普通のアンプを接続しても
低音の無いスカスカの音になってしまいます。
ですので、かなりの馬力と瞬発力を要求されます。
ハイスピードかつハイパワーなアンプが必要となり、当時はGOLDMUNDやFMのアンプを
組み合わせてやっと鳴ってくれるスピーカーでした。
ですが、鳴らすことが出来た時のこのスピーカーの音色は大変魅力的で
他では得られない唯一無二の魅力を持っています。
特にスコーカーが優秀で、やや陰りを持ちつつ濃く芳醇な音色は長期熟成された
チーズのように旨みたっぷりです。

この魅力的な中域を持つスピーカーの魅力を最大限発揮出来る相棒として
現在最もお勧め出来るアンプはSpectralのアンプです。
通常は高価で中々手の出せないアンプですが、今回は珍しく程度の良い中古品が
入荷しておりますので、セットでいかがでしょうか。
Confidence5を入手した方が例外なく悩まされるアンプ問題を、最初からクリア出来る
超の付くお勧めセットです。

 


・・・・

申し訳ございません。
写真撮影のためセットを組んで、そのまま鳴らしながらこの文章を書いていたのですが
今、ご来店いただいたお客様がアンプをセットで購入して行かれました・・・
せっかくここまで書いたのに消すのは悲しいので、このままアップさせていただきます。

スピーカーはまだ残っております。
店頭で試聴可能ですので、アンプで苦労したいというチャレンジャーな方や
すでに良いアンプをお持ちの方にはお勧め出来る素晴らしいスピーカーですので
ぜひ試聴にお越しください。


 
2015/01/22 ファイルシステムによる音質の違いについて。

今年最初のネタです。
ウィンドウズでしか使えないネタですが、ウィンドウズで使われるハードディスク(SSD)には
2種類のファイルシステムがあることをご存じでしょうか?
「NTFS」と「FAT32」の2種類です。

ファイルシステムとは、OS(オペレーティングシステム)がファイルを管理し
データを読み書きできるようにするための仕組みのことです。

ウィンドウズ98やMe等の一昔前のパソコンは「FAT32」が採用されていますが
2000以降のXPやVista、7、8、では「NTFS」が使われています。

そこでふと思いました。
「ファイルシステムで音は違うのだろうか?」
早速実験です。

 


全く同一のUSBメモリーを2個用意します。
USBメモリーや外付けハードディスクは全てのOSやMacに対応するため
最初は「FAT32」でフォーマットされた状態で販売されています。
ですので、2個中1個を「NTFS」でフォーマットしました。
これで同一のUSBメモリーの「FAT32」版と「NTFS」版が出来ました。
これに同じPCから同一の音源を同じUSBポートを使用してコピーしました。
これでファイルシステム以外は全て同一条件で制作された音源が完成しました。

何が行われたのか全く知らないスタッフを捕まえて、この2つの音源を比較してもらいました。
「お〜これはかなり違うね、S/N比が上がるし高域の細やかさも上がるよね。一体何が違うの?」
前知識の無いスタッフでもすぐに分かるだけの違いがありました。
具体的に何が良くなるという変化では無く、音その物のクオリティが1ランク上がる感じです。

USBメモリーからの再生音に以前から違和感を感じていたのですが、原因が分かりました。
USBメモリーは汎用性を上げるために「FAT32」でフォーマットされています。
そのため、PCからの直接再生(「NTFS」でフォーマットされたハードディスク)と比較して
物足りなさを感じていたようです。

USBメモリーや外付けハードディスクは購入時「FAT32」でフォーマットされています。
お使いのOSが2000以降の場合、音質重視でしたら「NTFS」でフォーマットし直してから
お使いになることをお勧めします。

※注意点
「NTFS」はウィンドウズ2000以降のOSでしか使用出来ません。
Macでも動作しませんので、汎用性が必要な場合は「FAT32」のままお使いください。

※※フォーマットすると記憶されているデータは全て消えてしまいます。
  すでにデータを入れたハードディスク等をフォーマットするとデータが消えて無くなるので
  ご注意ください。 



ここから先は日誌です。興味のない方は読み飛ばしてくださいませ。

先日、長崎の全路線を2日かけて回ってきました。
久しぶりの鈍行列車旅です。
山も好きですが列車の旅も大好きで、時々ふらっと出かけます。

 
 

今回の目的その一

旧国鉄塗装のキハ66系に乗りたい。
はい^^乗れました!
予定が分からないので完全に運頼みでしたが、見事に大当たり!

 


今回の目的その二

日本最西端の駅に行く。

海岸線を走る1両だけのディーゼル車に揺られながら、乗車地である佐世保で
テイクアウトした佐世保バーガーを食べました。美味しかった〜^^
音マニアとしては、ディーゼルエンジンの音色も心地良くゆったりとした旅を楽しみました。