7.スピーカー作り
スピーカー作り一筋で
14年

新しいスピーカーの開発では、当社の技術者は完全なフリーハンドを与えられている。

材料?欲しいだけ使える。(当社のゴミ箱から出る材料で専門スタジオができよう。)

お金?何の役割も果たさない。(財務部長が弁護士立ち会いで責任者と協議するだけだ。)

時間?スカンデルボルクにはたっぷりある。スピーカーのコンセプトやシャーシーを自身で開発するだけでなく、関連
部品の一つ一つも自社で開発するのだ。重要なボルトに至るまでだ。実際の経験から、自分で作るものこそ正確に
作動するということが分かっているからだ。理由はそれだけだ。

象の妊娠期間

このような贅沢なやり方であるため、新スピーカーの完成に最長5年を要することもある。(1981年に、モーゲンス・ハ
バスが6ヶ月でやり遂げたが、その過程で新たなコイルを発明した。)

まず、技術的に特異なユニークなものを実現しようというアイディアからスタートするが常だ。次いで、計測技術的見
地から試作品を作る。最初の基礎実験のためのプロトタイプだ。それから真の難題に取り組むのだ。リスニングテス
ト、モディフィケーション、リスニングテスト、モディフィケーション....、これが100回も繰り返されるのだ。最後には、
何ダースもがスクラップにされるのだ。

プロジェクト全体がスクラップにされる場合も多い。当社チームの目標が達成できないことが確認できた場合にだ。

最も、経理部門の見解では、このようなケースは極めて稀だという。


失敗作より費用がかかるのはうまくいったプロジェクトだけ

アラン・ジェンセン(コスト・コントローラー)は嘆く。正直者のデンマーク企業では、新開発が成功することはそれほどし
ょっちゅうあることではないと。それでも生産開始に際しては、大量の特殊工具や装置を製造しなければならないの
だ。

例えば昨年、新開発のトゥイーターのために75万マルクを投じた。だが、それでも無駄ではないというのが当社の考
えだ。

真実の発見に役立つのであれば。



デンマーク人は嘘をつかない。

真実の書 目次へ NEXT