大量生産の原理はセンセーショナルな合理化効果、印象的な単位原価の低減が期待でき、息もつかせない勢いで
最大限に需要をカバーできる。
これに喜んで従うメーカーも多い。だが、大量生産に対する我々の考えは、ちょっと複雑だ。
4年前、某メーカーからコイル巻き取り装置を購入したが、この装置はそれまでのすべての機械のスピードよりも速か
った。
当社の技術者は、1ヶ月かけて改造し、スピードを遅くした。
品質についても同じだ。17年以上、専門家の間で伝説化しているD-28トゥイーターの生産時間は、今日でもなお32
分だ。
無条件では比較できないものの、ほぼ相当するシステムが、2,4分で工業生産されている(芸術的に極めて興味ある
梱包を含む)。
となると、残りの29,6分間に当社の従業員が何をやっているのかという疑問がわくだろう。この間、働いているのだ。
精密に、細心の注意をもって念入りにだ。
バス・シャーシー(当社は45分、他社は3分が多い)やエンクロージャー(後段参照)を製造している同僚についても同じ
だ。
当社の生産方法は完璧主義だという人もいるだろう。
例えば、当社の米国のパートナーがそうだ。この理由から、とっくに提携を解消したのだ。
これに対しては、最善を目指す作業というコンセプトが、極めて正しいことを確信している。当社の意見に賛成する人
が、世界で増加しつつある。マス・マーケット向けの大量生産はもうたくさんだ。 |