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Nmode
1ビットデジタルプリメインアンプ
X-PM2
定価 89,800円
生産完了
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■ 1ビットアンプとは
1999年 SHARP社がリリースしたSM-SX100が最初。
その後、同社より多数の1ビットアンプが生み出される
2006年 SHARP社がその卓越した音質を惜しまれつつもピュアオーディオ用アンプから撤退。
今回のX-PM2を除けば、SHARP社以外からピュアオーディオ用アンプはリリースされていない。
高速なオーバーサンプリングによって生み出される情報量・解像度と
他のデジタルアンプ方式に比べ原理的には高いS/Nを発揮できるのが特徴。
1ビットだからと言う訳ではないのだろうが、総じてドライブ力、解像度、情報量が高い製品が多く
透明度が高い、繊細な音色が特徴である。
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9月末日、リリックの布村さんがNmodeの新製品を持って来店されました。
笑顔で
布村:「例のものを作ってきました。」
スタッフ一同仕事の手を休めて新製品の前に集まる。
そうである。待望の1BITアンプだ。
早速、布村さんから渡された箱を開ける。
筺体自体は同社のX-PM1とほぼ同じである。
しかし持ってみると
店長:「かるぅっ!!!!」
X-PM1と比べてもかなり軽いのである。
中身が気になるので、音を聴く前に、
店長:「・・・布村さん、中身みていいですか??」
苦笑しつつも
布村:「どうぞ」
と承諾頂いたので、開けてみると・・・
一同:「スカスカ・・・・(苦笑)」
基板一枚に小さなRコアトランス
この時、スタッフ全員の胸の内は
『中身が詰まって無い=音が悪い』とは思ってないですが
「9万円のアンプにしては、このスカスカ感は、期待できそうも無いな・・・」
という空気が流れる
布村:「ハーフサイズぐらいのコンパクトアンプにしたかったんですが、
コストの問題でPM1の箱を流用し、将来の事も考え基盤とか電源は
小さく設計しました。うんうん。
基板の集積度を上げてシンプルな構造の方が、音のスピードも上がるからね。
新たに箱を作るとお金が相当かかるし、現状これで行こうと決めました。」
結局X-PM1の箱を流用する事にした、大人の事情があるらしい。
布村:「でも音は自信あるから聴いてみて」
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さっそくセッティングが終わって音を出してみた。
【スピーカー:Dynaudio Focus110 / CDプレイヤー:Nmode X-CD1】
空気が一変する。
そこには懐かしい1ビットサウンド。高解像度、低音の明快さ、高域の繊細感はやはり1ビットならでは。
でも懐かしいだけでは終わらない。
スピードの速さときたら尋常ではない。
この速さはSX300改クラス。とてつもない速さだ。
こりゃたまらない。そして僅か89,800円でこの満腹感はなんだ。
1曲終わって
スタッフ一同
:「布村さん、ごめんなさい!」「すんません!!」の嵐。
:「正直、中身見た時は期待してませんでしたが、こいつはスゴイ!」
少し不安そうだった布村さんにも笑顔が戻る。
布村:「いいでしょ。でもX-PM1みたいにパワーはない。
15Wしか無いから大音量には向かないけれど
10畳ぐらいの部屋で聴く分には、十分な音量が出せます。」
音もサンプリングが高いので音の切れがいいですね。
やっぱり5.6MHzとは全然違う。」
確かに仰る通りだ。
店長:「今回はデジタル入力ないの?」
布村:「今回は無いです。今回使用したチップの特性からはアナログの方
が良くて。付けるの辞めました。」
この点は残念だが、やはりNmodeは侮れない。
いつも我々を驚かしてくれる。
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■ X-PM2試聴記 吉田 ■
ようやくというか、やっとというか、ついに出てきたという感じです。
外観はみてのとおりX-PM1とよく似ています。
更に簡素になっています。
入力はアナログ入力4系統、デジタル入力はありません。
小音量特化型のアンプになります。
出力は10W(8Ω)、15W(4Ω)、スピーカーは4Ωギャランティしています。
消費電力は最大で7.2WとX-PM1の6分の1と超省エネ、エコアンプとなります。
ここまでは頂いたリリースの内容確認です。
さて実機を扱った感想です。
中の方を見てみると、見事と言ってよい程、中はスカスカです。
悪い癖で大丈夫かと先に中をみてしまいます。
正直これで89,800円は無いのでは無いかと思ってしまう中身です。
パーツとして大きいのは30VAのトランスくらいで、ヒートシンクもありません。
基盤にハイスピード電源の小容量のコンデンサーが並んでいますが、
トランスと基盤、機構部品を入れてもシャーシ内部にかなり隙間があります。
Sharp時代のアンプの中見を見ている者としては、当時のこれでもかと言う隙間のない、
作りの雑然さから、いきなりここまで整理されると、あまりの簡潔さにびっくりしてしまいます。
音を聞かずに中身を見てしまうと正直ガッカリするかもしれません。
しかしながら冷静に見ると、シンプルで信号経路も考えられ、効率的なレイアウトですし、各部品の使いまわしもこなれています。
音周りに関係する電源関係の要所にはショットキーを配し、S/Nの改善を図るなど、
さすがに進化した内容になっています。
チップも当時より高性能化しているようですし、この辺りが省スペース化に繋がっているようですし、後に書きますが、高S/Nなアナログアンプと比較しても負けない、公表値以上のS/Nの良さに繋がっているものと思われます。
試聴した感じですが、X-PM1とは別の音に仕上げていると言っていいでしょう。
電源トランスは30VAと小さく小出力型なので、スピーカーターゲットはDYNAUDIOで
いえばFOCUS110クラス、大きくてもFOCUS140位までがターゲットになると思います。
その他に今回試聴に使用したモデルではELACのBS243やFOSTEXのGX100Ref位のサイズのスピーカーがうまく鳴るようです。
X-PM1の4分の1サイズの電源ながら、FOCUS110がかなりしっかりと鳴っていますし、音量とスピーカーの的を絞ってしまうと、X-PM1よりも更に変換効率は良い感じです。
音の傾向ですが、切れ込みはX-PM1より鋭く、情報量は同じくらいですが、楽器やボーカルのエッジ、音の輪郭はX-PM1より明瞭で、はっきりしているので、X-PM1よりやや多く聞こえる感じがします。
ただし、X-PM1はフラット、ウエルバランス、スピーカーとの相性の幅は広いですし、無理の無い完成度の高いアンプなので、使用目的、性格は明確に違うようです。
X-PM2の方はストレートで主張がはっきりしていますので、リスナーとしては好き嫌いが分かれる部分はあるかと思いますし、4Ωギャランティしていますが、スピーカーサイズは限定的です。
とは言え他メーカーに無いスピード感を持った音ですし、X-PM1の下位モデルとは言え、1bitもやっと復活と言った感じです。
SX10やSX300にも通じる1bitのストレートな音は健在です。
ではスピーカードライブ能力に関してはどうかと言うと、言葉では表現しづらいのですが、
一般的な音量でFOCUS140クラスまでは、低域のグリップ感もX-PM1とさほど変わりません。しっかり鳴ってリニアリティのいい低域です。
しかしながらFOCUS220クラス以上になると、やや苦しく全体的に軽くなります。
パワー感と安定度はX-PM1に及びません。
ただ音量でフルオケ等、ダイナミックレンジの広いソースで無理をしなければ、音自体は明瞭なので、ある程度FOCUS220やF220Oberonも鳴らせます。
それからX-PM2のすぐれた点としてX-PM1同様非常にS/Nの良い点です。
以前の1bit機は高級機含めても S/Nが8〜90dBでしたが、今回100dBありますし、実際の聴感上のS/Nはそれ以上に感じます。フルボリュームでかなり耳を近づけても、残留ノイズを殆ど感じません。
相当レベルの高いアナログアンプと残留ノイズの比較をしても劣らないレベルです。
4畳半〜8畳くらいのスペースで、小音量から普通の音量までならOKですし、1m前後の距離、かなりのニアフィールドでもS/Nが良いので残留ノイズの少なさは大きなメリットになるかと思われます。
X-PM1と比較は書きましたが、店頭でF220Oberonを鳴らしていても、普通には使えていますので、入門機としては音の質も高いですし、まずはこれからと言う方にも十分良いアンプと言えるでしょう。
最後に改造機ですが、商品が入荷次第クロック搭載してテスト致します。
良好な結果が出るようでしたら、商品化致します。今しばらくお待ち下さい。
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