STONE AGE
意欲的なメーカー出現!
パッシブアッティネータ TWO POINT ZERO
静謐のみが語れる音楽の情熱 予定価格 735,000円
08年03月24日
今回は、パッシブプリTWO POINT ZEROの話である。
パッシブプリは、自作マニアなら一度はチャレンジしたい分野ではないだろうか。シンプルでアイデアが実現しやすい
理想が語りやすい、それゆえに突っ込みどころ満載の機種も出てくる。
吉田苑は、オカルトをあまり好まない。いまどきWEのトランスを持ってこられても困るのである。
なんとかここいらへんを、理論で割り切って新型の可変トランスを作れないものかなぁと思ってしまう。
とは思いながら、アッテネーターを触ってみたら、頬が緩むほど感触が良い、21点しかないのかと思うボリュームカーブも
つぼを外していない、実にスムーズに音量が上がる、クリックの中間が欲しくなることは無いだろう。
ぽけーっとノブをまわしてしまう。自宅に持ち込んだらだれしもしてしまうだろう。それほど音楽のイメージが変わらない。
相似形の音楽がただ大きく小さく鳴るのである。お得意のTNS構造の脚がWEのトランスの締め付けになっている。
引き回しはエフェメラの使いたい放題。トランス巻き線は、0.4mm径銅丸線、これは、47研究所のケーブルと奇しくも
同一、一体ウエスタンの技術者はどこまでオーディオの秘術を知っていたのか底が知れない。
相変わらずボリュームノブ一個がついた箱であるが、入力は3系統、背面中央上部にセレクターがある。
配線のレイアウトも完全左右独立の入出力端子群、高価なRCAケーブルをお持ちの方は左右にケーブルを引き裂く覚悟がいる。
中央下部に入力インピーダンスが600Ωと200Ωの切り替え端子。一言で言えば分かり辛い。(笑
デザインも使い勝手も無視、音質最優先が徹底している。
音の印象
明快であっさり、しかしエネルギーは十分に飛んでくる、微小信号の徹底した再現力、STONE AGEが目指した地平はこの
機種に最も濃く反映されていると思う。ダイナミックレンジは大きい音を鳴らすために有るのではなく、小さい音と大きい音の
公平な同居であるという当たり前のことを思いださせてくれた。当店でのSP25は、200Ωで十全にその魅力を展開した。
600Ωだとゆったりとした広がりを見せるので使用者の好みで2台の個性を手に入れることになるのかもしれない。
ストーンエイジこれ一台といったらこいつが欲しい。
DAコンバーター THREE POINT ZERO
予定価格 1,155,000円 (税込)
44.1のサンプリング周波数のみ対応。結局膨大な録音遺産が一応劣化しないで形で残ってしまったコンパクトディスクというメディア。
新規格が取りざたされる中、新しい皮袋に見合う新しいワインが見当たらず不発に終わっている。
オーディオをやっていく上でコンパクトディスクと真剣に向き合うことは、音楽という中身を考えると一番妥当な選択肢なのだろう。
何度も言ってきたが、ちゃんと再生すれば、あの12センチには、想像以上に情報が詰まっているのである。
山口百恵のマスタリングは面白くない、こいつをSACDにする意味は何もない。こいつを再生するのと、アーヨのイ・ムジチ「四季」
コンパクトディスク版を再生する事は、立ち食い蕎麦屋で
天ザルを食うのと本格の蕎麦屋で盛りを食う違いがある。
閑話休題
というわけで、CD専用DACの登場である。中身は、手がつけられないほど凄い。常識をはるかに越えている。
一例は、主要回路を手ハンダ、空中緯線 って、やりすぎである。大手メーカーどころか普通のガレージメーカーだってやれないやらない。
この試みには最大の敬意を表したい。メーカーがやるべきことは凄い製品を作ることではなくて、音楽をその場所に成立させる事
それを実現させている。
そのほか徹底的にエネルギーという問題での切り口はどれも斬新で遺漏がない。既存の技術をどこまで思想の上に近づけられるかの
試行錯誤が想像できる。
音の印象
dc1.0が出ていなければ、褒めちぎっていたことは間違いがない。ダイナミックレンジが広大で、微小音から爆発的な音まで
破綻なく、容赦なく情報というエネルギーを発散させる。しかし3次元での描写力では、SoulNoteのdc1.0に及ばないのが惜しい。
しかしながらプリとパワーがあれほどの結果を見せているわけだし、その内容から考えても。。。。ひょっとしたら吉田苑がその魅力を
見逃しているのかも知れない。 てらさん ごめん
参考までに、試聴に使った機材を記して置こう
スピーカー Dinaudio SP25 やりっぱなしスペシャル
アンプ SM−SX200B 黒い奴SP
CD HT01V2.0
DAC dc1.0
電源ケーブル各種
08年03月20日
今回は、注目されるパワーアンプ、ONE POINT ZEROの解説から新しいブランド「STONE AGE」の特徴を
探ってみようと思う。
パワーアンプ ONE POINT ZERO
深い艶と滑らかさが生むハイスピードの悦楽
アナログの持つ魅力 予定価格 735,000円
音楽再生は、大変趣味性の高い道楽だから、なかなか大きいメーカーさんには
難しいものがあるかもしれない。ガレージメーカーさんだと小回りは効くが今度は少量生産の
ためコストパフォーマンスや筐体のデザインが犠牲になるのはしょうがないのかも知れない。
写真を見ていただきたい。珍しく大きい写真の連続だが、見た目はださい。
ただの箱である(笑
卓越の振動対策
しかし、これが凄いことになってるのだ。まずは外観であるがひっくり返してみると
お分かりいただけるだろうか、内部から脚が生えている。電源部と電源回路から直接設置するノウハウには
並々ならぬ信念が垣間見える。しかもこの数と配置は、デザイン無視(笑
電源部と電源回路はそれぞれ分離され、スパイクのついた板にそれぞれが設置されている。
重心を見ながら各々3点支持をしている。これはもう大メーカーさんではやれない。
小さなガレージメーカーだからこそ設計者の考えを直接反映させることでできるのである。
内部は、もっと驚かされる。
驚異の電源部
左の部分がRコアの電源トランス、ホット側とアース側のセパレート電源で二基搭載。
手前右が振動アースに守られた電源回路部。
本当にシンプルである。内部レイアウトの4分の3が電源部。右上の小さな基盤がデジタルアンプその出力には
贅沢に、あの憧れのエフェメラが使用されている。
まとめてみよう。巨大で良質な電源部、シンプルな電源回路が、徹底的な振動対策を施されている。
デジタルアンプにとって最良の環境を提示した、ガレージメーカーならではの製品である。
音の印象
吉田苑が「スピードが速い」というと刺激的なカリカリしたイメージを思い出される方も多いだろう。
ステレオイメージの明確さ、ボーカルが中央やや上方にくっきり浮かび上がるところはハイスピードの証である。
しかし、このパワーアンプは、滑らかなのである。刄ーより更にスムーズで艶が深い。クラシック特に弦やオペラアリアでの
ソプラノは美しい。大人しい一辺倒かと聞き込んでくると、ピアノの表現性が素晴らしい。スタインウェイの華やかさを
失うことも無い。
08年03月23日追加
今回ONE POINT ZEROの修正版が送られてきた。プロトAでは、若干大人しいイメージの高音部が解像度を上げた上で
明るくなってきた。いい意味で「良く飼い慣らされたアナログ」の刺激を持っている。音楽を聴いてて面白いというのは
不適当な表現かもしれないがイベント的な音がする。ブラックディスクをジャケットから取り出しセンターホールからスピンドルを
覗きながらきっちりターンテーブルにセッティングして、トーンアームを下ろす、あのイベントである。
同社のカタログに描いてある「BGMではない再生音」の意味が良く分かる。ジャンルを選ばない音になってきたことは喜ばしい。
価格735,000円(税込)が高いのか安いのかはおいといて、絶対に普通のメーカーさんから発表されることの無い
オリジナリティの高いアンプであり、この音に魅せられたら他に選択肢は無いだろう。