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< 制 作 >

SP25の素晴らしさを聴いていただく時、当店ではDYNAUDIO STAND2のラージ天板に
ローゼンクランツを挟んで鳴らしていました。しかし、いかにも天板が小さすぎて
不安定ですし、インシュレーターまで考えると価格も馬鹿になりません。
お買い上げいただいたお客さまからの要望も多く、新しく作る事になりました。
どうせ作るのなら

1、高さの問題
   現在のSTAND2は高さが足りないので普通の椅子に座って聴く時に
   ツイーターが耳の高さになるように高さを上げる。

2.SP固定方式のブラッシュアップ
   素材は丈夫なステンレスで重量と強度を上げる。
   SPの前後振動を固めて、エネルギー感を上げる。

                    等多くの発想を実現してみる事にしました。
 
試作一号<制御>
試作一号は、なんとオールステンレス、ヴァイスは前後2点づつの4点、前後可変バイアスも大きく天板からヴァイスの基部で浮かせる、まさにすべてを押さえつける構造で仕上げました。
しかし、その押さえ込むべきエネルギーははるかに大きく、高さを稼いだステンの足はいつまでも鳴き止まず、中高域に色をつけて、重い天板はスピーカーを制動し過ぎて切れ込みがなくなり、4点圧着のバイスは更に中高域の華やかさまで押さえ込んでしまっていました。

試作1.5<拘束>
試作1.5で天板のくり抜きをし、長い足には鳴き止めした上にch当たり30キロの鉛の粒を入れました。<写真膝止め>
失敗でした。音の正確さは出てきた物の全体に制動し過ぎで音にダイナミックな表情が浮き立ってきません。この段階で片チャンネル当たり
40キロの重量ととんでもない価格設定、及び送料。開発中止の声は、
既にこの頃から上がっていました。
試作2号(解放)

そこで、「重い物は鳴り止まない」という鈴木氏の一言を頼りに天板を軽くしようと思いました。普通のアルミでは強力な構造が組めないので強度に特化したアルミ合金を加工してくれる業者と知りえたのはラッキーでした。採用した7075は、「超々ジュラルミン」と大仰な名前が付いていますが、酸化、耐食性の点で弱いものの野外で使用するわけでもないので無視できます。その圧倒的な強度と軽さは、効果が期待できました。
ここでやっと明るいSP25を取り戻す事はできました。
 しかしこの段階でもSTAND2+クランツに劣っていました。天板の共振はうまくコントロール出来ているので、浮かしていたSPを密着してもかまわない、要は鳴きやすくコントロールが難しい脚部へ振動を伝えない事だとなりました。そこで、脚部のトップと天板の間にボルトを挿入し、点に近い接点を得て、次にパイプの密閉を解放することにしました。出来上がったのが試作2.4号。これでやっとオリジナルをこえました。しかも天板とスピーカーがピタっと決まって美しい仕上がりになりました。次はこのデザインと音を崩さずにコストを下げなくてはならない。片CH40キロを超えるスタンドを家庭に置くのもちょっと常識を外れてしまいます。せっかくのコンパクトなSP25が一人でセッティングもできません。
そこで脚パイプは鳴きのコントロールが簡単な鉄にガラス繊維を混入したFRPを流し込む事にしました
。    
試作2.5号(収束)
軽量化にはパイプやベース面の見直し、調整を計り。前後動のヴァイスも3点になりました。
試作2.8号(完成)
完成しました。やっとプロダクト版の発注に漕ぎ着けました。 効果はご自身で確かめていただきたいのですが、
これまでのスピーカースタンド群が、如何にいい加減に、あるいは価格設定先で作られてきたかがはっきりわかります。
試作3号 <完成>
これが製品版(量産型)と言うこともあり、試聴は緊張しました。最初は若干暗い表情を見せた再生音は、充填材(4日かけ充填し、当日朝、詰め終わったばかりでした)の硬化かスパイクの安定なのかわかりませんが、徐々にその実力を表してきました。冷や汗の中にほっとした雰囲気が流れます。後は時間とともに日数と共に、楽しみが増えていきました。ジュラルミン7075の減衰特性の良さに加え、充填材に抑えられたわずかな共振も粘りのある鉄が持つ素性の良さで綺麗にカバーされ、広いダイナミックレンジと開放感を与えました。SP25本来の明確さや情報量が精緻な表情でよみがえりました。後ろに広がる音場は、スピーカーの存在を忘れそうな自然さです。
 プロダクト版 3.1号
  脚のFRPを密閉しないようにトップをオープンにしていたのを、目に見えない底部にもって来ました。音の変化が心配されたのですが、ほとんど変化もなく、見た目の完成度が更に上がりました。





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