説得力に溢れた個性
FOSTEX G-1300  
 メーカー希望小売価格315,000円/税込pair
                                              

 コンポーネントの中で最も個性を許されているのがスピーカーだろう。
その個性が気に入ってしまえば多少の情報量の欠如は気に鳴らない趣味性の高い商品である。
中には奇をてらった、形状で人気を博す商品があっても致し方ないものと思っていたが、
今回の新製品は、ちょっと違う。

 老舗フォステクスは、ある程度以上オーディオ暦を持つものとしては一度は手にする、自作マニアのための
ユニットメーカーでもあり、小型スピーカーシステムも古くから手がけている。
軽くて剛性の高い振動版のフルレンジがお家芸で、このような流れになるのは自然なのかも知れない。

特異な形状のウーファーは、素材はバナナパルプ(バナナの
皮ではないようだ(笑)にカーボンファイバー、その繊維は複合的な
幾何直線に使い、同じ長さにしないための形状ということ。
構造化するとその構造の共振は免れないところを、2次元でなく3次元
で逃げている、巧みな工夫と言わざるを得ない。わずか13センチのユニット
に用意したのが12センチ直径ダブルマグネット。精緻な理論の後に力づく
とも言える強力なマグネット構成である。
左の写真でも大型の厚みのあるマグネットは目を引く。
ツィーターは、音の振動伝達スピードはそう落ちないものの、
減衰特性において強みを見せる純マグネシウム、実際に聞いたときに
明らかに、金属ドームとは違う音が出てくる、多分、ビビッドオーディオ
でもやっていた(アプローチの違いはあるが)非球面形状も効いている
のだろう。
吉田苑で進めるスピーカー
いや全般的な商品は、デザ
インに恵まれていない。
音優先に選んできた結果だ
と胸を張る事ではないかも
しれない。しかしこのG1300
はデザインも仕上げも贅沢
だ。ブナ柾目天然つき板に
ピアノ仕上げ、所有欲まで
万全の製品である。
舶来だったら一体いくらに
なるのだろう。
フォステクスらしいバーゲン
価格ととるかフォステクス
らしからぬ高額商品ととるか
音を聞いて判断していただ
たい。
一つ残念なのが、スピーカー端子が余計なことにバイワイア対応。
結合プレートよりは随分と良質と思うのだが、付属ジャンパー線はやはり無いほうが真価を発揮しやすい。
長く剥いたスピーカーケーブルで一気に繋ぎたいところだ。
専用のスピーカースタンドもかなりの力作、強度不足を色々検討した跡が見られて大変興味深い。
解像度やスピードを優先させるなら弊社の「miniBASE」が相性が良い。
音質的な評価は、吉田から追報があがってくるだろうが、6月2日(土)、6月3日(日)に店頭にて
ニューフォースのプリメインと試聴会の予定である。