TAD Pro
吉田苑チューンドモデル

TSM-2201-REF

162,000円(税込/ペア)

販売終了しました。
パイオニアからチョット面白いスピーカーが発売された。
第一印象角ばったひょうたん型に無骨なメタルネット中にセットされているのは変形コーンの20cmと25mmドーム。
全くいい音の予感をさせない。しかもTADの安物となればなおさら(笑)

音を出してみて、色気のないそっけないだが、音がスッと流れてきた。
驚いた、ステレオフォニックにちゃんと聞こえる。、定位が良い。音がちゃんとユニットから離れて、二つのスピーカーの間に音楽が充填される。奥行もそれなりに表現している。
ちょっと面白みは無いが間違いなくスタジオ仕様のスモールモニターの資格を備えたスピーカーだ。
TADなのに。。。。

カタログのキャッチフレーズ
『音質への探求心が独創のフォルムを生み出した。』

TMR-2201-LRは、この言葉を裏切らない。
多分買eクノロジーというのは、キャビネットの形状からきているのだろう。概ね、スピーカーは直方体で相対する3対の壁から形成される。前後のセットは、前部のユニットで並行面が作られる部分は非常に少ない。
底板と天板もネットワークがある。距離が遠い割には面積が少ない。
一番問題になるのは側板なのである。つまり側板の平行な面が定在波を生むのである。これを避けるために台形のエンクロージャーを採用した製品もあったが、容積的には不利になる。そこで上部と底部を別の角度で合成して、側板がへこむ形のシグマ型にしたのだろう。しかも、その凹みに集中する音を調整するために吸音処理までする芸の細かさは驚くばかりだ。
側板はMDFでくの字整形だが少し強度が足りないようだ。わずかだが鳴きを感じる。
横置きまで考慮していて専用脚まで付属している。早速パンチングメタル撤去こんなものが音に対して良い影響を与えるわけない。更にユニットを外してみるとなんと鬼目ナットしかも12個も、横置きの場合でもユニットを90度回転させる事ができる。
もちろんバイワイヤなど考えていない。いかにもプロ好みの仕様である。
密閉だからバスレフポートの輻射も気にならない。底面にはプロ用らしくナットを埋め込んでセッティングの自由度も高い。
ユニットも新開発で、ウーファーには上下に2か所のツィーターにも下部に一か所でっぱりが配置されている。この手のアイデアは奇を衒ってばかりで効果が薄いものだが(笑
このスピーカーでは見事に効果を出している。ユニットが出した音楽エネルギーを横に広く、転換する。ツィーターの上下を損なわないために上を開放してある。心憎い設計なのだ。
スピーカーからスパンっと弾き出された音は、前述のように見事に楽器を定位させる。
その滲みの無い確かさは音楽空間を目の前に展開させてくれる。
とはいえ、周波数エネルギー的には、問題も多い、クロスオーバーネットワークで下を持ち上げるのは密閉型では妥当な手法だろうが、音がそっけないのも中高域にあざとい意図が見える。

素材は良いスピーカーなので不満のある部分のみチューンをしてみた。
内容としては
 ・ 側板の強度不足による鳴き止めを。
 ・ ネットワークに高級パーツを入れて中高域のエネルギーバランスの再設定。
スタジオユースでもコンシューマーユースでもとても好感度の高いスピーカーに仕上がった。

改造の段階でパンチングメタルの有り無し、ユニットの横置き対応など指定できるのでご注文の際に一言書き添えて頂ければありがたい。
 吉田苑のリファレンスX-PM10で、ここまで精密な音を出すスピーカーは珍しい。
4Ω86dBは、使いやすい能率で家庭においても不自由がない。
パンチングメタルを外してみたい衝動に駆られるが「プロ仕様」という事であれば当然の選択だろう。
 価格から言ってもセットでざっと16万円。TADなのにぃ。
スピードの速さもこのランクでは最も早い一台。技術の高い名門メーカーが本気を出せば「こんなもんだ」と、声が聞こえそうな良い機械である。