オーディオ科学主任の今日の戯言(仮名)

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02/12 第三十二回
予告編


 トランスはEIが良い、今回はCDPにVRDSを外した。
CDP(未聴)は外部DACの使用を考えていないそうだ。
ある海外メーカーのアンプを試聴したときに商社さんが仰ってた内容
なのだが、もうこれだけでこの技術屋さんは、音楽を聴いて開発している事がわかる。
どの方式が正しいと言っているわけではない。
所謂オーディオマニアに嫌われそうなEIコアを褒めるには、覚悟と自信が必要なのだから。
音楽を聞かずに開発しているメーカーなど有るはずもないと思われただろうか?
言い間違いである。音は聴いているかも知れない、んがぁ、いくつかのメーカーは
商品を作らずにカタログデータを作っているのではないかと思っている。
 久しぶりにハイエンドらしい余裕の音が流れた。X-RM100がこんな音を出すのか
滑らかで美しい音ながら、位相管理やスピードも十分魅力的と言えるレベル。
衒いのない、ゴージャスに音楽が満たされる。高級機は更に「良い!」とのこと
そりゃ聴かなければ、と言うことは、今回の評価はひとまず置いて、高級機を
聴いてから詳しくお知らせしようと思う。
なんの話かはまだ正式に決定してないので言えないが、ヒントとして
1997年言いたい砲台に吉田が1行だけ言及している。吉田苑らしく取扱出来ないに
も関わらず褒めている。1行だけというのは取引できない悔しさが見えていて
ほほえましい(笑 
15年過ぎてもその魅力は変わらない、いや更に完成度が上がっている。
当時でも、FMとは趣が違うとはいえ、ムンド様に勝るとも劣らない
(当時どちらもHitachiのMOSFET [注]今はちがいますが)
その稠密な再生音に惚れていた吉田苑である。
次回は吉田本人がが大々的に褒めると思われる。 

久しぶりに、吉田苑がお奨めできる高級アンプの登場である。

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12/05 第三十一回
2011年吉田苑ベスト


年も押し詰まってまいりました。
吉田苑が、独自の価値観で選択する2011年オーディオアワード
去年は。以前発売でも、今使える機種と言うことでやっちまいましたから
今回は今年の発売だけで。。。やれそうにない。無理矢理候補を立ててます
そのじたばた度をお楽しみください。

スピーカー部門
 「Dynaudio C1 Signature」

 去年は「当たり年」でしたが、今年は、一本だけでました。
 やや細身上品から、芯のある中域 深い低域が印象に残る
 マイナーバージョンアップは成功したようです。
 人気の海外勢も大人しく全隊の発表本数自体が少なかった
 中で一人気を吐いたDynaudio と言うことになりそうです。

 コストパフォーマンスが非常に高いので、特別賞でも上げたいのが
「DALI ZENSOR1」
 DALIには、たまに驚かされます、周波数帯域を欲張らず
 音楽バランスをだいじにした音造りは見事です。吉田苑の
 改造をしないバージョンでもその意図は明確に伝わります。
 価格なりをちゃんと理解する事とその中でオーディオ再生を
 考える良い製品です。

アンプ部門
 「SoulNote sa4.0」

 今一強力に奨めていなかったのはご存じの通りです。
 11月に鈴木氏本人に来店を仰ぎ、セットアップ頂いたら、まぁ
 そのBTLの音は深々と端正で、スピードまで上がってました。
 もちろん今までのSoulNoteとは違う一面ですがその魅力は一欠片も減じていません。
 しかも来年はアレが鈴木さん所からでるはずで。。。。
 期待の多い2012に鳴りそうです。 

CDプレーヤー/DAC部門

 「SoulNote sd2.0」

 良かった。確かにパーフェクトウエイブに伍して戦える、いやいや
 熱い音なら、稠密な存在感ならSoulNote!あのdc1.0を超えようかという魅力で
 マルチパ−パスな仕様は、高音質で使いやすい両立はうれしい 

 「PS AUDIO PerfectWAVE」
今年のモデルではありませんが、もう一度パーフェクトウェイブを薦める。
 受賞理由は、今年価格改定があり、ほぼ半額の価格設定。
 円高の享受をもろに受ける良い決断だったと思います。

PCオーディオ部門
 「RME BABY FACE」

 初心者にはやや難しいソフト、配線構造、機能など、欠点もありますが
 とはいえ音に関してはきっちり仕事をこなしてます。なまじ オーディオメーカー
 並の音造りをしていないのか素直で癖のない音が高評価です。
 価格も手頃で、これからPCオーディオをやってみたいという方には
 繋いでポンとではないのでお手軽とは言えないが良い教材かもしれない。

 「NMODE X-DP1-HF」
 HIFACEを搭載する事で、PCオーディオの間口が広がった。
 そして「1bitヘッドフォンアンプが今年は評価されたようです、」(NMODEさん談)
 確かにヘッドフォンfanからの問い合わせが増えました。
 USBDAC、プリ、ヘッドフォンアンプ、その一つ一つが高評価を出している
 希有な製品です。

アクセサリー部門

  これといってなし。
 ですませるのが吉田苑らしくて良いのだが、やはり、やはり
 「THE BASE flex」
 去年のコピペで、しかも手前味噌。我田引水は申し訳ない
 でも言っちゃう(笑 先日のSoulNote試聴会で恐ろしい迄の
 エネルギーと解像度を発揮した「SM10」。お客様(きっとスタッフではない)
 によってはサファイアがなっているかと勘違いした同軸2wayでしたが
 そのスタンドが「Flex」。鈴木氏からも「相性良いよ」と希なお褒めの言葉を
 頂きました。

しかしまぁ、雑誌関係の人たちは、毎年々この企画を何年にもわたって
やれるものです。さすがプロと感心しております。吉田苑でもそれなりに
商社、メーカー様よりお持ち込みの新製品聴いているはずなんですが
耳が悪いのか、政治的判断なのか(吉田苑にそんな高級な思考が(笑)
結果は吉田苑と関係がありそうなメーカーばかりになっちゃいました。
来年こそは、絶対どこかうちと仲の悪いメーカーを褒めたいので業界が
華やいで欲しい年の瀬です。

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2011/09/22 第三十回

DYNAUDIO Confidence C1mk2 Signature

 このコーナーで何度も言い及んでいるのだが
決して私どもの音の考え方が全てではない、お客様が
満足している音ならそのお客様にとってそれが一番正しい。
しかし言いたい砲台にしろこのコーナーにしろ音の評価を
一つの価値観でしている。文内で立ち位置を書いてない場合は
それは吉田苑の価値観と言うことで理解していただきたい。、
逆に言えば吉田苑の音が嫌いならば、吉田苑が褒めたのは
購入対象から外すって(自分で書いていて悲しい(笑)話もあり得る。
概ね、べた褒めするときにこの前振りをする場合が多い。

何の話を始めようとしているかというと

新製品のC1 Signatureである。
コンフィデンスはDynaudioの製品の中でも長い歴史を持つ
高級路線のシリーズだ。商品寿命も長く名機と呼ばれる
作品もいくつか見受けられる。これがマイナーチェンジを
果たしたことにどれだけの価値があるのか大変懐疑的であった。
最近入ってきたC1SIGをじっくり聞き込んだのでお知らせしようと思う。
Signature(署名)というネーミングにもいかがわしさを感じさせるが
音は至極真っ当、鳴らし込んでいく内にみるみる切れ込んでくる
クールな描写性は、エビデンスにも通じる上品さである。
その上で中低域の十分に締まりながら豊かな低域、Dynaudioらしく
音程が崩れることもない。一時期の同社が抱え込んでいた陰影に富んだ
表現力はみじんもない。奔放で自由な魂が難なく名作を残すような
鮮やかさで音楽を提供してくれる。吉田苑のスタッフ全員に
「こりゃ凄い」と言わせるだけのオーディオ的楽しみと、音楽のある空間を
両立して提供する数少ない製品に昇華している。
C1のユニットは近接して独特の形状のパネルに取り付けられているのも
今回は旨く作動している。定位と音離れは駆動しているアンプが定位感に
優れたnmodeで有ることを明解に知らせてくれる。
 と褒め続けてきたが、やはり形状とブックシェルフとは思えない程の
巨大な高さは、セッティングに苦労しそうである。
CRMのコンパクトな筐体と充実した濃いエネルギーに満ちた描写力か、
中型並みの巨体に鮮やかで奔放な表現力なのか、音楽fanにまた一つ
素晴らしい選択肢が増えたと思う。


2011/07/10 第二十九回

Ortofon Kailas b2


オルトフォンのカイラスシリーズはスピーカーでも
ハイコストパフォーマンスで定評ある製品群を誇っています。
今回はアンプしかも真空管、実は吉田苑は真空管の音が嫌い
なわけではありません、コストパフォーマンスの低い所が(笑
気に入らないのです。
 出力管は、EL84 えへへ手頃で種類も豊富、中国だろうが
ロシアだろうが10,000も出せば4本揃っちゃいます。前段もお馴染み
12AU,12AXと安心の構成です。それだけにエレキットや、トライオード
辺りでも珍しくない物なので、ほっぽらかしておりました。 
私めも面白いだけで済まそうかと思っていました。
半日後お客様がいらっしゃいまして、ほっぽらかされた哀れな
アンプを試聴してみたいと、まだ音を聞いていなかった店長竹田は
「モゴモゴ」ごまかしながら繋いでいたのですが。これがなかなか
楽しい、ちゃんと跳ねて、中高域からパンパン前に出てきます。
わずか12Wといっても、そこは球です。気持ちの良い鳴りっぷり、
価格から考えても普通のアンプとしても十分選択の範囲内です。
しかもオルトフォン、名門のカートリッジメーカーとしてちゃんと
PHONO入力が装備されてます。
普通の真空管アンプより一回り小さい筐体、所狭しとトランスが
鎮座しておりまして、インピーダンスによって接続部が変わる
アウトプットトランス接続。良いですねぇ球のアンプらしさ全開!
4本のEL84はプッシュプルなのか?カタログには明記されておりません。
意外に小さい12W。雰囲気のある楓材が保護ネットとあいまって
豪華な印象を作り出しています。スピーカーは選ばないでしょうが
DynaudioのDMシリーズがお似合いです。繊細さや静けさを追うなら
1BITをお奨めしますが力感、ドライブ感では魅力的です。
(想像上の)真空管のような、腰の緩い音が好きならいっそATOLL
でも、素子としての面白さなら価格も筐体もコンパクトにまとまった
カイラスb2は、吉田苑好みと言うよりは私好みの快作でした。



2011/06/03 第二十八回

TADハイエンドシステム


切れなくなった包丁程、醜いものはない。トマトに
刃が入らないなど言語道断なのであるが、しかし通信販売
でトマトを切ってるところを見ると、普通の家庭にはあるのだろう、
100円ショップの物でも研げば短い間だったらそれなりに切れる。
 ところで、トマトを気持ちよく切れ味鋭く切れる印象を
持たせるためには粗砥でざくっと仕上げた方が評判が良い。
しかし、本質的に切れ味を要求される場面では極力細かい砥石が
必要になる。
何が言いたいのかわからないオープニングで恐縮なのだが。
 本日、TAD様より、新製品のプリアンプとパワーアンプを
お持込いただいて勉強させてもらった。


C2000、M2500のペアである、ソースは、超高級CDPあのD600
である。さすがに音源も素晴らしい物を用意していただいて
スピーカーは、NMODE X-RM100 アンプも温まってくると
それなりに、深い沈み込んだベースがバスドラがきれいに鳴り止む
「ほう」驚いた。上流がD600でここまでなるとは、

C2000は、オリジナルの設計のウエハーから切り出すとハガキの
大きさに匹敵するゆったりとした設計なのだそうな。DAC、DDCなども
内蔵してPCオーディオにも対応。DACには、基盤こそ違えD600と同等品を搭載。
店長が、いそいそとX-CD1を繋ぐ、もちろんアナログで(笑
位相が良く整理されたそのうえで滑らかなスピードにも恵まれた音が出る。
奥行き感も十分だ。パワーもデジタルアンプ。35ミリブロックからの
削り出し筐体に左右独立トロイダル。EIコアまで採用しながら最終的に
音でトロイダルを選んだそうである。そう、EIの良さも、トロイダルの
長所も良くご存じの上で音感で音決めされたに類した発言がたくさん
聞かしていただいたのは収穫であった。デジタル電源の話。
基盤の上下の話。バイアンプの話。ほかのメーカーさんの開発と
違ってちゃんと音を聞いて開発してらっしゃる手ごたえを感じた。
このアンプは間違いなく耳で調整された音の蝕感を持っている。
EIコアトランスのダイナミックさを粗砥で仕上げた刃物の様に
トロイダルを上品なように感じられたのであろう、中庸でありながら
どこまでも美しい音を出すセパレートアンプだと思う。
そしてどこまでもTADなのである。セットで350万円。
コストパフォーマンス優先の吉田苑としてはつらい。
しかし、この開発姿勢を続けて手ごろな価格帯を期待したい。



2011/06/03 第二十七回

メディアの崩壊

CDが売れなくなったといわれて久しい。主なCD屋さんも
町では見られなくなり、私個人もamazonで購入することが多い。
小言を展開すればCD屋さんに音楽の知識のある人が減り、一枚の
CDを購入するのに手間がかかる。品揃えもネットに比べると見劣りがする。
 とはいってもネットでもそんなには売れていないそうである。
もう一つのネットの恩恵、ファイルが落ちてる、ダウンロードできる
しかしこれらは一歩間違うと業界にお金が落ちない。
どなたかに利益が出ないと、世紀の歌姫も九州のケバい姉ちゃん
踊って歌えるユニットも越谷の不良と変わらない。
これというのもCDというメディアから磁性体のメディアに飛び乗り
そこない、SACDが沈み、DVD-Aが出向せず、結局PCの岸に流れ着いて
しまった漂流状態が生んでしまった喜劇なんだろう。

 当店のHPにもPCオーディオ関連の記事が多くなって
いくわけである。誤解のないように言っておかなくてはならない。
吉田苑は、まだPCオーディオに乗り換える決心はついていない。
いやそれどころか、CDメディアを正確に再生してくれるハードを
探し続けると思う。それだけのかけがえのない膨大な資産があるのだから。
フルトヴェングラーのSPや数多くのLPステレオもCDで焼き直されていることを
考えれば、今までのメディアで一番多くのデータアーカイブで
あることは間違いない。
例え次のメディアが決まったところで、この量を持つにいたるまで
しばらくは時間がかかるだろうから。
そう信頼のおけるCDPの確保もPCオーディオと同じほどの意味を持つと思う。



2011/04/17 第二十六回
モノの値段


 
わざわざ吉野屋まで食べに行ってきた。何を?
深くまろやかになったと宣伝される新味を確認に行ったのだ。
ご飯が変わったわけではないのでここは特盛の方が分かり
やすいはずだと大枚630円、ところが特盛をかきまぜながら
冷静にに隣の並盛を眺めていて気がついた。
特盛の半分は入っている、しかもその日は110円引きとやらで
並二つ注文した方がはるかに安い。キャンペーンしている商品と
基本的には同じ材料で、ただ盛り方が違うだけで明らかな
差別価格なのだ。何が言いたいかというと、価格と商品の
質は色々な要因でその関係が変化するのである。


吉田苑のレファレンスがまたひとつ消えていきます。
SoulNoteのデビュー作でもっともSoulNoteらしかった
DAC「dc1.0」が生産中止なのである。当店の在庫も少なくなって
処分を始めている。ではその質は下がるかというと
間違いなく世界で一番生々しい描写性に優れたDACなのである。
前回までのDACのリファレンス「ProjectD-1」生産中止後2年間
吉田苑の試聴機として君臨していた、同じ製作者がその半額で
更においしい作品を作った。SoulNoteの代表作ともいって良い
作品だった。
さて今回も心配されたレファレンスシステムに廃盤商品が並び
続けるのか心配されたが、うまい具合にもう一つのリファレンス
PWT+PWDが価格的にもこなれてきている。
これなら価格的にも音質的にも十分お客様に進められるし、
吉田苑のシステムとしても素晴らしい性能を発揮してくれる。
まぁ一安心である。

さて話は戻るが、吉野家である。
わからなかった。(汗)