見た目は、リボン銅箔に 布がまとわり付いてるだけ だが、まずは聴いてみよう。 音の印象を書くのに苦労す るほど癖がない。ベルデンか ら替えて適切にその変 化を言葉で言える人は少な いだろう、軽やかでありなが ら芯までエネルギーに不自由 しない。なんだかボリウムを 上げてしまう。批評の義務 を放棄してしまって申し訳ない。 とにかくとても良いのである。 |
一度いいたい砲台に書き及んでいるのに重複を恐れず言えば、信号ケーブルは、
細ければ細いほど位相が合う、音が軽やかに出てくる。しかし抵抗値が上がる。そこで小さい断面
のまま伝導を稼ごうとすれば薄膜になるのは、理論の帰結である。ケーブル内にエネルギーを溜め
ることが、表皮効果が位相の乱れが如何に情けない音を出すかを教えてくれる構造である。価格に
関しては疑問を持っていたのだが、寺村氏からの説明を頂いて納得がいった。参考までに原文のま
ま以下に掲載しよう。分かる人だけに分かる「凄み」が滲み出してくる。
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シュテルンクランク 寺村氏よりの解説(ほぼ原文)
各部のマテリアルと加工方法>
1、導体
マテリアル/銅箔(幅6mm×厚さ0、03mm)
*この銅箔の表面積と断面積を丸線に換算すると、各々直径3、8mm、0、24mmに
相当します。
加工:銅箔表面に形成された酸化皮膜の除去と銅箔表面の平滑性を高めるため
に研摩 を行います。
この研摩作業の総延長距離はケーブル1m/setあたり80m以上に及び ます。
2、防錆及び絶縁皮膜
マテリアル/漆
*漆は、極めて薄く軽量の皮膜で、強靱な耐水性、空気の遮断性が得られます。石油
系樹脂に比べて劣化の極めて少ない(耐候性が極めて高い)安定したマテリアルです。
しかも植物系ですから静電気も発生しません。
加工:研摩を終えた銅箔を洗浄し、漆を塗布します。試行錯誤の末、極めて薄く、か
つ均一な皮膜を銅箔に与えることができるようになりました。研摩した銅箔表面のフ
レッシュネスを損なわないために、研摩、洗浄、漆塗布の3工程を中断することなく
一気に行います。漆を塗布した銅箔は24時間以上乾燥させ、実用硬度に達してから
次の工程に進みます(完全硬化には約1週間かかります。完全硬化した皮膜はサンド
ペーパーで擦ってもなかなか除去できないほどしっかりと銅箔に密着しています)。
> 3、ジャケット
マテリアル/オーガンジー
軽い導体に重い絶縁被覆やジャケットを被せると、音はダンプされ、死んでしまいま
す(何故そうなるかは判りません)。ケーブルは、ケーブル自体が振動源となる振動
と、スピーカーが振動源となり、床や壁、空中から伝わる振動のエネルギーを抱き込
みます。抱き込むエネルギーの量はケーブルの質量(自重)に比例すると考えられま
す。銅箔導体の質量が極めて小さいこと、銅箔の共振周波数が丸線に比べて高く、共
振エネルギーも小さいこと、丸線に比べると弾性が極めて小さく、しなやかなことを
考慮して、ジャケットに最適なマテリアルを探しました。『銅箔の共振は確実に止め
るが、ケーブルの動きは止めない』そのような、しなやかで超軽量のジャケットと銅
箔導体を組み合わせれば、振動が加えられても、エネルギーを殆ど蓄積せず、しなや
かな動きで瞬間的に消費するケーブルが作れるのでは?と考えました。オーガンジー
はこの目的にぴったりのマテリアルでした。
加工:2枚のオーガンジーリボンを合わせ、両端を溶着して筒状にし、この中に導体
を通しています。軽量でしなやかなジャケットに仕上げるため、ミシン縫製や溶着テー
プを使わず、オーガンジーリボンそのものを溶かして熱接着しています。この結果、
1本あたりのケーブル自重を、1mあたり僅か2、5g(ジャケット含む)に納めてい
ます。