いいたい砲台98
前回の遊べる商品レポートのつづきです。

CDプレーヤー SONY CDP-MS1(\220,000-)

SONY製品では、音も聞かずに採用した吉田苑としてはめずらしい一台。採用理由は、3バンドデジタルイコライザー
搭載で、音が変えられる上に光学固定メカ、デジタルアウトに光、同軸、バランスの出力があり、イコライジングしたデ
ジタル出力も可能な点。
イコライザー部分を使ってみたが、随分と使いやすく、可変する周波数のポイントやレベル調整が任意に非常に簡単
にできるし、チューニングしたデータの記憶もできる。さすがにDSP技術が進んでいるメーカーだけに可変しない常態
でデジタルイコライザーを通しても音質変化やノイズはほとんど無い。500枚までディスクごとの記憶が可能で、呼び
出しも非常に簡単。細かい設定や調整は単品のデジタルイコライザーには負けるが、3バンドあれば一般には十分な
音の変化が楽しめるし、アナログイコライザー時代にイコライザーを入れることで情報量や質感が落ちてしまい、イコラ
イザー嫌いになった方たちにもお勧めできる。
市販の本格的なデジタルイコライザーが50万円以上するから、ほぼ二分の一から三分の一の機能が10万円と考え
れば随分お得。
光学固定式のメカはX5000と同等クラスのようで、フローティングが少しX5000よりは硬めの感じで、情報量もまずま
ずと言ったところ。なにより、XA7ESにもついていないバランスデジタル出力が装備されている。最近デジタルケーブ
ルに凝っていたのだが、光よりも同軸よりもバランスと言った感じがあるのでバランスデジタル出力があるのはうれし
い。
内蔵コンバーターは、低域方向に量が多めで質自体は20万クラスとしては物足りない。
ともかく、遊べて楽しめる点ではダントツでSONYだからこの価格で出来た商品だろう。

次回一月分は1月末から2月前半頃に更新、お問い合わせの多かった47研究所特集をする予定です。

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'98.12.19発砲 / 砲手:吉田

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またまた、随分とご無沙汰になってしまった。 月一回更新の予定が延び延びになってしまい、その間色々と励まし
のメール をいただきありがとうございました。 今後とも、ご愛読よろしくお願いいたします。
今回は年末で新製品が出てきているので、当たり前の商品をはずして最近聴いてみて特に遊べそうな商品のレポー
トです。

スピーカー ELAC・CL310JET(シルバー)
ペア定価260,000-,stand定価\60,000-

某誌を見ていて何だかおもしろそうなので、試聴機をメーカーに依頼する前 に商品を発注してしまった。最初デザイン
を見てカッコ良かったし、ハイルドライバー採用でドイツ製との事だったので、サイズと作りから、これはかっとんで、ぱ
しぱし鳴りそうな雰囲気もあったし、ドイツ製で音も堅そうなイメージがあって、初期のアコースティエナジーのAE-1を
想像しながら、久しぶりに期待して導入した。
ところが、12月17日から試聴しているのだが、これが予想に反して良い意味で、 随分まともな音のスピーカーなの
だ。専用スタンドはカンカン鳴るのだが、バスレフポートのチューニングもサイズからしての低音不足を補うために うま
く使っている様で、サイズの割に低音域もたっぷり出る。中高域もハイルドライバー独特の密度感のある音で、全体と
しては正統派で音楽を品良く楽しめるゆったりとした音なのだ。 かといってレスポンスが遅いわけでもなく、きちんと
スピードも出ている。 妙になつかし音だなと思って聴いていると、当たり前と言えば当たり前な話だが 昔のELACの
カートリッジの音だということに気が付いた。 しかし、アナログの時代は等に終わっているのに伝統を守っているのに
は感心してしまった。 ただ、せっかくのハイルドライバーを実にもったいない使い方をしているように感じられるので、
手を入れたい衝動に駆られてしまう。個人的にはこの手のスピーカーはもっとぱしぱしなって欲しいのだが。 因み
に、このスピーカー非常に合理的に出来ていて、六角レンチ一本で簡単に分解出きる。 久しぶりに、正統派の音の
するハイテク小型スピーカーで、音楽ファンの方にもチューンマニアの方にもお勧めできそうなスピーカーだ。

DYNAUDIO AUDIENCE40 \110,000(ペア)・80 \370,000(ペア)

相変わらず、某ハイエンド誌には取り上げられないのですが、AA誌やS誌で評判の良い DYNAUDIOのNEW・
AUDIENCEシリーズの新型。雑誌ではAUDIENCE80が評判が良いようで、確かにペア37万円の価格からはユニット
の構成と質、音質もこのクラスでは段違いに良いスピーカーだと思う。AUDIENCEシリーズは、どちらかというとDYNA
のシリーズの中でも 入門用のシリーズで、高域用のユニットはDYNAではスタンダードなD-28/2を全モデルに採
用。 しっかりとエネルギーが出ていて解像度も高い。全モデル見通しは良いのだが音が前に張り出す感じ がある。
上級機にいくほどレンジが広がってくる。やはりユニットの素性は優れている。 しかし従来のDYNAに比べるとアメリ
カ市場を意識した音作りなのかもしれない。 60、70は小型の40、50よりも確かに低音域は伸びるのだが、中域の密
度が少し薄く感じられる。さすがに80になるとミッドレンジ15W-38が付くせいか、中域の密度も上がって整った鳴り
方になる。 もう一つのお勧めはAUDIENCE40で、これはツイーターD-28/2に某イギリスのスタジオモニターにも採
用されているDYNAの定番ウーファー15W-75が採用されていて、下手に自作するよりは見た目も含めてリーズナブ
ルな価格に収まっている。 音の方も手堅くまとまっていて、バランスの良さもこのクラスでは突出している。 簡単にグ
レードアップも可能で、一番簡単な方法としては、ツイーターを市販のD-260に変更することで ツイーター領域での質
の向上は可能で、そのまま差し替えるだけでよい。 それだけで、随分簡単にグレードアップがはかれる。 キャビネッ
トはどう見てもMDFと思うのだが、メーカーのカタログには、プラスチックと書いてある。 デンマークではMDFのことをプ
ラスチックと言うのだろうか?それともMDFの様に見えるプラスチックなのか?その辺はさておき中堅クラスのシリー
ズが充実して、広く知名度も上がってきたようで、まともなスピーカーを広い価格レンジで提供できるスピーカーメーカ
ーが以外と少ないので、うれしい限りだ。 ただ、個人的には小型で見た目の割高感があっても、CONTOUR1.1(ペア
\195,000-)や1.3mk2 (ペア\320,000-)の様に、AUDIENCEと同じ価格帯で購入出きる、真にDYNAらしい商品が有
ることも忘れないで欲しい。

それにしても、某誌を読んでいて、恐ろしい金額の商品がオンパレードだったが、今年は一般的に現実的な価格帯
の商品は例年になく不作だったように思う。 大手だろうがガレージだろうが関係ない。音楽が好きでオーディオが好
きでがんばっている人たちにもう少し夢と希望を与えてくれ。
今月のいいたい砲台、吉田版は今月26日にも更新予定です。

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'98.10.4発砲 / 砲手:有森

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うちのページは常々、国産の製品に対してきついことを書いていますが、これは国内メーカーを本心けなしているわけ
ではないのです。頑張って欲しいからこそ、苦言を呈しているのです。
「みんなでいいたい砲台」の書き込みの中で、「けち、貧乏人はオーディオをやる資格なし」というのがありました。資
格の問題はともかくとして、貧乏人はオーディオが出来ないような状態にあるのは事実です。これは、某評論家先生
の趣向が、業界に色濃く反映されているのも原因の一つと考えられますが、それよりも、安くてまともな物があまりに
も少ないため、真剣に聴こうと思ったら高額の物しかない、と言うのが実情でしょう。
だからです!
国内メーカーに頑張っていただきたいのです。
前にも書きましたが、日本の良いところは、「安くて良い物が作れる」ということです。他国の物と比べると、安い物で
も質、物量ともにワンランク上の物が作れるのが日本です。が、このメリットの生きた物が今は本当に少ないです。
「今の時代で採算を考えたら、そんな物出来るか!」と言われるかもしれませんが、少ないとはいえ実際に出来てい
るメーカーがあるのですから、やはり他社にも(特に量産が出来る大手メーカー)に頑張っていただきたいのです。
自社比の自画自賛はいい加減にやめましょう。他社比で競争し、切磋琢磨して下さい。
そして、貧乏人にもまともなオーディオが出来るようにして下さい。
これが、日本のオーディオ人工の回復につながり、それがメーカーの存続につながる最短距離だと考えます。


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'98.9.27発砲 / 砲手:吉田

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メジャーな商品や中高級機の評価も飽きてきたので、何か無いかなと探していたら、イーケイ・ジャパンの真空管パ
ワーアンプ・キットのプロトタイプを聴く機会があって、少し考えさせられたので、その辺を今回書きます。

当店のホームページをよくご覧の方ならご存じと思いますが、イーケイ・ジャパンは、愛玩製品のアンプメーカーの一
つです。現在は、TU-870/定価19,800-(真空管ラジオ等によく使われていた6BM8という球を使用したモデル)があ
るだけで、現行品は他にはありません。最近では、KT-88シングル・ステレオ・パワーアンプを¥39,800-で発売し、
某T社や某S無線などを¥39,800-競争に引きずり込んだ張本人のメーカーです。結構デキが良くて、多分¥39,800-
前後でKT-88を使用した物としては、一番音は良かったのではないかと今でも思っています。発売する商品は価格
の安い商品が多いのですが、安かろう悪かろうではなくて、我々が聴いても十分聴くに耐える商品を作っています。
そんなイーケイなのですが、今度は年末にかけて再度2A3のモデルと300Bのモデルを出すそうで、9月23日にプロト
タイプを聴かせていただきました。今回は300Bも2A3同様ステレオタイプで、前回のモノーラルタイプよりかなり安い
値段で販売されるそうですが、手を抜いた感じなど全く無く、アウトプットトランスや電源トランスもかなり容量アップさ
れていて、ホントにこんな価格で出せるのかと思う程内容はしっかりしています。肝心の音の方は、立ち上がりは超
ハイスピードとは行きませんが、情報も多く、定位も奥行感もしっかり出るし、何よりマーカスミラーのベースを聴いて
もしっかりと躍動感を感じさせてくれる。山下達郎の新譜の14曲目を聴いても達郎の声の雰囲気がよくでているし、
ホントにニュートラルな良いアンプに仕上がってました。
2A3の方も300Bと同じとは行きませんでしたが、価格差を考えれば十分すぎる完成度でした。

イーケイの真空管アンプの場合、真空管らしからぬ手法が多々見受けられるし、そこに文句をつけられる方もおられ
るでしょうが、そう言う人は端からそんな安い真空管アンプはお買いにならないでしょう。それよりも価格を抑えながら
新しい素材を使っても性能と音質を落とさない努力に頭が下がるし、入門用としては十分なクオリティを提供できる数
少ないメーカーかもしれません。ここで、やはり考えさせられるのは、日本のメジャーメーカーが、いかに音作りが下
手かと言うことです。10万未満のアンプを見てもイーケイのTU-870/¥19,800-に音質で負けてしまうようなアンプが
多いのが実情です。小手先ばかりで、音楽が楽しく聴けないような商品を、いかにも鳴るような書き方をする雑誌にも
閉口してしまいます。もう少し、真の意味でメジャーメーカーに頑張ってもらいたいものです。
イーケイのアンプは、決して大きなスピーカーを大きな音で鳴らすことは出来ませんが、コンパクトな2ウェイ(例えば、
B&WのCDM-1SE程度)ならば、家庭で聴くには十分な音量で鳴らせます。キットですから、作らないといけませんが、
ちょっとしたハンダ付けの練習をすれば、半日程度で誰にでも確実に作れて性能や特性も確保できます。
今回イーケイを取り上げたのは、メジャーな商品を買うことだけがオーディオではない事、勿論イーケイも商売をしてい
るわけですが、その中にもギリギリのコストで良い商品を提供してくれるメーカーがある、と言うことを知って頂きたか
ったからです。
これを読まれて、興味が沸かれた初心者の方は試してみて下さい。通販も可能です。


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'98.8.21発砲 / 砲手:吉田

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外野がうるさくて、しばしお休みしていたのですが、そろそろいいだろうと言う事で、
長らくお待たせしました。CDトランスポート、DAC、デジタルケーブルの
お気に入り編です。最近使ってみた物が中心となります。

ESOTERIC P-0 \1,200,000-
言わずと知れた、今はこれしか無いといったトランスポート。使ってみると確かに凄い。
初期にテストしたときには、リファレンスモード、ノーマルモードを含めてイマイチの感があって、それ程興味を引かな
かったのだけれども、エージングの進んだ物を再度聴いて、レンジとスピードに驚いてしまった。確かに現行のトラン
スポートの中では、リファレンスと呼んでもいいだろう。ただ、そのままリファレンスやノーマルのモードを使用すると、
システムによってはレンジやスピード感以上に余裕と言うか、中低音にゆとりがあり過ぎて、なまった音に聞えてしま
う。やはり、マニュアルで自分にあったポイントを作り出すのが理想のようだ。
しかし、再生中のメカノイズ等はいただけない。そう大きなノイズではないが、メーカーに聞くと、ノイズが乗って当たり
前なのだそうで、これを止めると音が悪くなるらしいが、広い部屋でトランスポートから気にならない程度に距離が取
れる人はいいが、距離が取れなくて耳がいい人にはちょっと勧められない。
それから作動音もうるさい。
でも確かに音は良いので、これらの雑音が気にならない方にはいいハードでしょう。

CEC TL-5100 \100,000- CECのベルトドライブトランスポート。
雑誌なんか読んでいても良く書かれている通りの滑らかな音。スピード感はイマイチなのだが聴いていていやみの無
い音。上級機のTL-1は、なんだかボーっとした感じがしたのだが(現在はXになっており、どう変わったかは知らな
い)、TL-5100は\100,000-で買えるトランスポートとしては優秀な方だと思う。20万も30万も出してチューンするのは
ばかばかしいと思うが、少しくらいなら突っ込んでもいい商品。

ESOTERIC P-30 \350,000-
情報量も多いし立ち上がりも良好。ただ、奥行きが乏しく、音像が平面的になる。次点。

AC DESIGN CONCLUSION 1.4D \80,000-
デジタルケーブルも色々聴いたが、一番普通に聞えるケーブル。情報量はピカイチ。ちょっと綺麗過ぎるかなと言う所
はあるが、癖が少ないので試聴時のリファレンスにはなります。
ACは、デジタルに限らず、生真面目なケーブルが多いので、自分のシステムの癖が良く分からない人にはお勧め。
(これを使うと音が良くなると言う意味ではありません。)

MARANTZ Project D-1 \500,000-
本来ならPHILIPSのLHHブランドで発売される予定で開発されたDAC。言わずと知れた鈴木グループの作品(すぐ完
売したLHH-900Rを設計)。900RのDACを更に進化させたDAC。
しかし不思議な物で、PHILIPSブランドならば評価も高くすぐに完売したのだろうが、MARANTZブランドのせいか雑誌
の評価は割れている様子(このあたりが日本のオーディオ企業の政治力学で、今の日本の政治化みたいな人がいっ
ぱいいる証拠)。
十分なエージングが必要なのと、デジタルケーブル等にシビアなせいか、パッと聴くと低音が出なかったり、デジタル
ケーブルの癖も出やすいので、癖っぽいケーブルは厳禁。使いこなせば現行CDソフトを聴くのには70万円未満なら
かなりまともなコンバーター。生の楽器の音には最も近い。
だが、ノウハウのない人にはただの持ち腐れになるでしょうし、ブランドで音を聴く人にもだめでしょう。

dCS Elger
Elger、現実にこの様な音は存在しないのだろうが、ともかく綺麗な音のコンバーター。バタ臭い音は全く出ない、美し
く良く練り上げられた音。ここまで作られると納得してしまう。Project D-1とは、出てくる音も考えも対照的。Wadiaと
は、化粧気があるのは同じだが、化粧のしかたが極端に違うのでWadiaとも対照的。
中途半端に化粧された商品が多い中で、完璧に近い化粧美人。どうせやるならここまででしょう国内メーカーさん。雑
誌では、Elgerの方が露出度が高いのだが、個人的には952の方が化粧も程よくて気に入っています。
一般受けで言えばElgerでしょうね。

巷の雑誌じゃ、スーパーCDだのDVDオーディオだの待望論が多いし、事実出ては来るのだろうけど、はっきり言って
現状では規格統一してまともに普及するのには、早くて3年から5年位はかかるのではないか。海外ではHDCDの方
が現実的みたいだし、今の不景気でオーディオ業界が期待するのは分からなくも無いが、ソフト業界は本腰どころか
殆どしらんぷりだし、まして衛星を使ってソフトを販売するとか(これは本当)、もっと恐ろしいのは、音楽ソフトがCDから
全てMDになるという話も出るくらいだから、音質の方は進歩と言うより退化していく方向だってありうる。また、現行
のフォーマットでまともな音が出せないメーカーが、より信号処理のスピードやより高度なノイズ対策が必要な次世代
フォーマットをたとえ技術的にクリアーできたとしても、本当に音楽を聴く人たちが満足できる商品を作れるのかは、
相当疑問です。思うに今が、まともにCDの再生が出来るハードが手に入る最後の時期なのかもしれません。そうで
ない事を願いますが。

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砲手:有森

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陰湿な外野がうるさかったせいで、しばらくお休みしていましたが、気を取りなおして復活です。

それにしても、ホントこの業界って狭量ですね。やる事が卑怯で姑息で陰険そのもの。気に入らない物を気に入らな
いと書いたぐらいで、いちいちめくじら立てないでもらいたいもんです。まして、他の店から意見される筋合いはありま
せん。
メーカーは、万人受けしようとするから気に触るのでしょうね。でも、オーディオという趣味性の高いもので、万人受け
しようなどと思うこと自体誤りです。好きな人もいれば嫌いな人もいる、それでいいと思います。それとも、うちが気に
入らないと言った点が、欠点だとわかっていて、それで気に触るのでしょうか?いずれにしても、酷評に対して言い訳
するのではなく、冒頭に書いた通り、悔しかったらその酷評を覆す商品を作るべきです。
それから、はっきりいって雑誌に甘やかされ過ぎですね。車の雑誌なんかは酷評は酷評としてしっかり存在している
のですが、オーディオの雑誌は酷評なるものは存在しないみたいです。別に必要以上にけなす事はないと思います
が、完璧な商品というのはそうそうある物ではないのですから、評論する以上長所ばかりではなく、短所もきちんと述
べるべきだと思います。誉めてばっかりと言うのも傷の舐め合いをしているみたいでみっともないし、評論その物の信
憑性が薄れます。こんな風だからいつまでたっても氷河期から抜け出せないのでしょう。
というわけで、うちは今後も長所、短所の両方を含めた評価をしていきますので、よろしくお願いします。

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'98.5.5発砲 / 砲手:吉田

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今回は、30万以上の一体型CDプレーヤー編です。
当初予定では、30万円から60万円までの商品を書こうかと思っていたのですがそれ程、数も多くないので上限をは
ずして今回で一体型は終わりにします。

LUXMAN D-10 \550,000-
前回D-7を誉めすぎてしまったので、書こうかどうしようか多少迷ってしまった。大きく音の差が無いのも事実だが、そ
うは言ってもLUXの最上級モデル。HDCDを聴けば確かにD-7より全体の解像度は上だし、通常のCDを聞いても気
持ち密度は上がり良くは聞こえる。が、やはり中音域の解像度不足を感じてしまう。
総じて、お金持ちならこっちでもいいかなと言う程度にしか聞えないのは私だけか。

ACCUPHASE DP-65 ¥330,000-
LUXと比較すると、派手に聞こえる高音域寄りの音調。S/Nが決して良いとは思わないのだが良く聞こえてしまう音
作り、上手です。DP-65もDP-65Vに変わるらしいがまだ聴いていないのでどう変わったか分からないが、どういった
システムにつないでもスパイラル状にまわって聞こえる低音域は、普通になっているのだろうか。


ESOTERIC X-10W ¥400,000-
VRDS搭載。P-30と同等のメカ。しかし、VRDSは良いね。
実際試したことは無いが、多分トランスポートとしてもP-30よりDSRLLが無い分だけ、音が素直で良いかもしれな
い。 DAC部分は、Wadia設計のせいか、中低域に膨らみがあり、送りが強いせいもあって元気のいい音。

WADIA DIGITAL Wadia860 ¥1,250,000-、
         Wadia850STD ¥750,000-
なんともアメリカ的な音のCD。中低音300Hz、400Hz付近を適度に持ち上げ、ラインの送りの強さも手伝って、元気の
良い音。850よりも当然860の方が情報量も多く品も良くなる。しかし、JBL系統のスピーカーとのマッチングは850の
方がいいかもしれない。
それにしても、Wadia21やWadia6の時と比べると、出力レベルが選べたり、プリアンプとのマッチングも随分取りやすく
してある。以前はプリアンプにまともに繋げなかったし、プリの選択も難しかった。プリが繋げるようになっただけでも、
大した進歩です。


GOLDMUND MIMESIS39DAP ¥1,330,000-
同社のトランスポートMIMESIS39Pに、コンバーターMIMESIS12+を合体させたモデル。合計金額で考えればお買い得
なモデル。
ソリッドな低音域、スピード感のある中音域。Wadiaと対照的な音質。低音域が膨らむのが嫌いな人向き。微小信号
レベルでの変換制度はいまいちだが、こういった切れのいい一体型が少ないので、そういう意味では希少価値。アメ
リカ系よりもヨーロッパ系のスピーカー向き。

以上一体型はこれで終わります。
それにしても一体型編(前回全前回含む)は書くのに苦労してしまった。他にも何機種か該当する商品もあるのだけ
れども、雑誌で取り上げらているほど良くも無いし、中には豊潤な音と称してかすみを食っているような音のモデルも
あって、悪口書くのもいやだし、持っている人から非難されるのもいやなので、わざと書かなかったものもあります。ご
了承下さい。つまり、今回直撃はありません。

次回からは、トランスポートとDAC、デジタルケーブルで無差別に気に入った物を選んでやろうかと思っています。


 

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'98.4.19発砲 / 砲手:有森

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最近やっと「みんなで言いたい砲台」の方に書きこんでくださる方がいて、とてもありがたく思っています。
うちのようなメージャーから大きく外れたページのBBSなんかは、どうしても埃をかぶってしまいがちなので、そこに少
しでも動きがあると、とても嬉しいです。そして、いろんな遊び方があるなあと改めて思います。特に、あまりコストを
かけない遊び、これがいいですね。

遊びの一つとして、アクセサリーを使うのがありますが、最近妙なアクセサリーが目立っています。効果、効能ははっ
きりと現れるのですが、その原理が明記されていないものです。そのものが、どんな働きをするかは書かれていて
も、どうしてそんなことができるのか具体的な説明はなされていません。特許申請中だとか、特殊な処理とか言って
怪しいこと極まりないです。そして、この手のアクセサリーは決して安くない。安いものなら、なんか良く分からなくて
も音が良くなればいいや、と軽いノリで済まされるのですが、そこそこいい価格になると、なかなかそう簡単には割り
きれません(単に貧乏くさいだけ?)。そこで、メーカーにとっては、はなはだ不本意な事を勝手に憶測したりしてしまう
のです。
うちのお客様で、面白い遊びをされている方がいらっしゃいます。一つは、パワーストーンをオーディオ・アクセサリー
に使う遊びです。水晶をはじめ、いろんな種類があるわけですが、それぞれで違う変化があるというのです。最初、こ
のお話を伺ったときは、なんか怪しいなあと正直思いました。が、実際にそれを体験して笑ってしまいました。本当に
変わりました。なんで?と尋ねてみますと、パワーストーン限らず、物には全て「気」があり、それが作用するのだそう
です。ふ〜んそうなのかと、なんとなく納得しました。「気」といわれてもぜんぜん実感が無いので、今一つピンとこな
いのですが、音はそれぞれ乗せる石によってみな特徴があるのでやはり何か作用しているのでしょう。この石です
が、みな小型のもので(全長がせいぜい3cm程)、その重さで筐体の振動がどうのこうのというのは無いと思います。
置いた場所は、CDプレーヤーのケミコンの上あたりです(ここが一番効くそうです)。福岡は、キャナルシティーの中
に、ストーンショップというお店があり、ここで1個大体\500〜\1,000で売っていました。もちろん大きさや透明度(水
晶)によって価格は前後しますが、遊びとして は手ごろな価格だと思います。
もう一つの遊びは、普通の人はなかなかできないのですが、「気」を通したものを機器のそばに置く、または貼るとい
ったものです。この時の「気」を通したといわれるものは、3cm角位の薄い木片に梵字を書いたものでした。これをス
ピーカーに置いて聴いたのですが、これこそ怪し過ぎるので、殆ど疑ってかかっていたのですが、不思議なこともある
もんですね。見事に変わりました。なんで変わるのかこれこそ納得がいかないのですが、実際音がすーっと伸びて、
立体的な音場になるのですから否定するわけにはいきません。どなたか科学的に説明していただけますか?この方
の場合、別に大真面目でこのようなことをされているわけではなく、ほんとに遊び感覚でされているので、こちらも助
かります。

さて、この一件があって、ふと思い当たりました。そうです。先に書いたオーディオアクセサリー。パワーストーン系で
言えば、SHAKTI、「気」を通したものはHARMONIXに似てはいないでしょうか?HARMONIXの製品は、実際に使用し
たことが無いので何とも言えませんが、SHAKTIは店で使っているので、その効果の現れ方をみてみると、水晶を置
いたときの効果に似ています。
高額で、詳細の発表の無いこれらのアクセサリーは、実はアイディア料が殆どで、その正体は、なんでもない物なの
かもしれません(梵字はなんでも無くないような気もするが...)。

しかし、なんだかんだ言ってもほんとに良く効くんですよね。店では、SHAKTIのエレクトロマグネティック・スタピライザ
ー(定価\45,000-)を使っているのですが、中途半端にケーブルや機材を買い換えるよりよっぽど効くので悩んでしま
います。詳細が発表されていればそんなに悩まなくてもいいのですが...。早く特許を取って詳細を発表してもらい
たいものです。


 

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'98.3.21発砲 / 砲手:吉田

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前回表のページで、「今のマランツは欲しくないな。音が悪すぎる。」と書いたら、メーカーからクレームがつけられ、そ
の上書き直しさせられてしまった。本当のことだから仕方ないじゃないか!ということで、一体型プレーヤー編第2弾
です。
10万円以上30万円未満の機種を対象に検証。しかし、またしても普通の音が出る機種があまりに少ない。今回も
DACまたはトンスポートとして使用可能なモデルも含めて数機種ご紹介します。

TEAC VRDS-25X 定価\190,000-
相変わらずメカのティアックといった感じ。トランスポートとして新製品のVRDS-8と比較すると、やや低域の量は少な
め、全体にすっきりしている。P-0と比較するのは酷だが、P-0のサーボのノーマルポジションに近いのはVRDS-8、
VRDS-25Xは、リファレンスポジションに近い雰囲気。
私自身は、リファレンスポジションで聴くP-0よりは、ノーマルポジションのP-0の方が普通に聴けるので、VRDS-8が
お勧めだが、メカ自体はVRDS-25Xの方がどう見ても良いので、こちらをチューニングしてみるのもいいかも。
DAC部に関してはノーコメント。

SONY CDP-XA7ES 定価\250,000-
...しかし、SONYのCDはどうしてこうも面白くないのだろうか?ちょっと平面的。一応平均して音は出ているが...。
トランスポートとしては、XA-50ESの方がいい感じだ。今となっては古いのかな?

DEN0N DCD-S10mk2 定価\190,000-
一体型としてのまとまりはまずまず。中高域は結構すっきりのびていて、全体のバランスとしても悪くないが、低域の
量感は必要以上に多いし、階調もはっきりしない。インフィニティなんかつなごうもんなら低音の洪水。もう少し絞れな
いのか?低域不足のシステムにはいいかも。
目指す音がヨーロピアンなのかアメリカンなのかはっきりしないが、TEAC、SONYと比較すると一体型としてのまとま
りは良い。DAC、トランスポート単独の能力としては、可も無く不可も無く普通。DENON、TEAC、SONYと、雑誌のベス
トバイコンポの上位常連メーカー品では嘘は少ない方。

LUXMN D-700s 定価\180,000-
現在のラックスの基本になっているCD。特別、トランスポート部がいいとか秀でたところは無く、HDCD以外に売り文
句が無い機種なのだが、基本回路がしっかりしているので、そこそこバランスも取れていて使いやすい。ただ、アンプ
のラインアップに併せて急造されたせいか、音のチューニングはあまりされなかったような感じだ。実質、後発のD-
600sは、同じ内容で、チューニングはきちんとされているらしいから、こちらの方がいいだろう。
クラシック、ボーカルは良い。

LUXMAN D-7 定価\250,000-
じっくりとD-10と聴き比べてみたが、いったいどこが違うのか?まあ、同一メーカーだから傾向は似てくるだろうが、ち
ょっと首をひねるくらいD-10との価格差は感じられない。
バランスの良いアナログ的な音。難をいえば、中域の解像度が今一つ足りないが、昔のようなボーっとした感じは無
い。HDCDは、D-10の方が良く聞こえるが、世間一般でいうほどHDCDのメリットも感じないので、HDCDを少しでもい
い音で聴きたい人でなければ、D-7の方がお買い得か。

PHILIPS LHH-300R 定価\150,000-
リアリィティーに富んだ数少ないCDプレーヤー。楽器音の取り方はピカイチ。アコースティック物には滅法強い。NEC
CD-10の事実上の後継モデル(設計者が同一)。
同時期に発売になったLHH-900R程の低域の安定感は無いが躍動感はある。上記のCD達とは傾向的に違い、独特
の存在感。だが、組み合わせによってっは大きく外れる場合もある。ただ、上記CDのように無難に音を出すモデルと
は違うので、はまるとほかでは得られない楽しさと、ワングレード上の音が狙える。デザインも他とは大きく違うので、
好き嫌いがはっきり分かれるところだが、それを無視できるほど音の完成度は高い。
しかし、300Rも前回書いた200RX同様生産完了。市場在庫のみとなってしまった。今年は後継モデルは出ない。こ
の設計シリーズのCDは、来年度に期待したい。
それにしても、CDの生みの親であるPHILIPSブランドをなくして、何でマランツブランドを残すんだ。同一社内で作って
るんだから、どうせ残すならPHILIPS残せよ!なくすのなら次作ってからしろよな!

後、CECのTL-5100Zとマイクロメガのステージシリーズなどが面白かった。

次回第3弾は、30万円〜60万円までのモデルを対象に書きたいと思います。
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'98.3.13発砲 / 砲手:有森

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先日、MARNTZの新しいアンプPM-14を聴かせてもらった。正直なところ全く期待していなかったので、かなりシビア
な聴き方になったと思う。

まず、そのまま鈴木氏のProject D-1につないで聴いてみた。...やはりこの程度かと溜息。音が渋滞している感じ
で、音場がまるで広がらない。逆相で聴いているかのようだ。PM-17よりかは若干いいと言った感じだ。バランスの
入力もあったので、こちらにつなぎ変えてみた。これはいよいよ使えない。低域の位相が悪い。まるで渦を巻いている
ようだ。おそらく完全なバランス構成ではないのだろう。完全バランスでこれだったら最低。

次に、電源ケーブルがセパレートになっているので、当店の定番AC DESIGN WTC-0に一応つなぎ変えてみた。
!!。この電源ケーブルは本当に良く効く。まるで別物。音離れも良く、ぼやけた低域も通常のレベルに収まり、音場も
出てきた。だがまだ渋滞した感じは残る。これはもしや...。

入口を変えてみることにした。ごく一般的なCEC CD2100をつないだ。やはりそうだった。このアンプの入力は、
Project D-1の情報の多さとスピードについていけないようだ。CD-2100位の程々のレベルだとジャストフィットだ。さ
て、入力のレベルもマッチし、電源ケーブルで素性を見せだしたPM-14の音は.......。
???今までのマランツの音じゃない!そして似ている。鈴木氏の音に似ている。まさかと思い確認すると、鈴木氏では
なく以前からのマランツ製作者が作ったそうだ。じゃあこの音は一体..........ひょっとしてパクリ?

まあ何にしても、優れた製作者に感化されて、良い製品が生まれてくるのは喜ばしいことだ。やっとマランツもまとも
な方向に動きだしてくれたようだ。しかし残念なのは、一応同じブランドのProject D-1が使えない事だ。試してはい
ないが、おそらくPHILIPS LHH-200RX、300Rも使えないだろう。天才は万人受けしないと言うことか?

トータル的に見て、20万円のアンプとしては、良いアンプだと思う。組み合わせに制限はあるが、一度に多くを要求す
るのも酷だろう。ベクトルがいい方向に向いてくれたことで良しとしよう。今後の展開に大きく期待しよう。
PM-14を含め、今年はアンプ豊作の年になりそうだ。

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'98.2.10発砲 / 砲手:吉田

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今回からは一体型CDプレーヤー編です。

第一弾は、10万円以下の機種を対象に数モデルを検証。この価格帯に、輸入品、ガレージメーカー品は殆どないの
で、今回は除外します。しかしそうなると、普通の音が出る機種が悲しいくらい少ない。
トランスポートとして使用可能なモデルも含めることにします。

CEC CD2100

定価\39,800のロープライス。先に評価の高かった、同社CH5000Rと同価格。CH5000Rが5連奏だったのに対してこ
ちらは単奏。長岡さんじゃないけど、この価格で重量6Kg。おお!重い。5000Rの時と比べると、DAC周辺の講釈も多
少あり、着脱電源ケーブルが使えるし、出力ピンプラグも削り出し。結構ボンネットの鳴き止めもしてある。
音は、中域重視の傾向。位相もそこそこいいし、音数が多い方ではないが、このクラスとしては安定した音。ちょっと
操作性が悪いが、入門用としては超お買い得。

SONY CDP-XA50ES

定価\98,000。一体型CDとしての評価よりは、トランスポートとして評価したい。
トランスポートとしては、このクラスの物ではかなり優秀。上級機のXA7ESなみ。(もちろんこちらもトランスポートとして
の比較)情報量も多く、全体としてうるさい音は出さない。立ち上がりやスピード感はいまいち。
品良く聴きたい方、エッジの立った音が嫌いな人にはお勧め。

TEAC VRDS-8

定価\95,000。遂に出ました、VRDS搭載で薄型の一体型。やはりトランスポート部分は良くできていて、これもトラン
スポートとして評価したい。立ち上がりとスピード感があり低域はちょっとしまった感じ。躍動感はあるが、情報量は
SONYに分がある。
トランスポートとしては、SONYと逆路線。好みで分かれるところ。

PHILPS LHH-200RX

定価\100,000。とうとう生産完了。無くなるぞ!10万円内のまともなCDプレーヤーが。ここほど徹底したポリシーをも
ってCDプレーヤーを作っているところは国内では他にない。日本マランツのブランドだが、異常なくらいマランツブラン
ドのCDとは音が違う。多少、アンプとの相性を選ぶ傾向はあるが、楽器の実体感、声のリアリティはこのクラスではト
ップ。スイングアームメカのCDM-9を搭載。これを最後に10万円内でスイングアームのプレーヤーは無くなるのだ。

それにしても、マランツブランドはもっと頑張って欲しい。フィリップスブランドのLHHシリーズは終了し、この設計チー
ムは今後マランツブランドを作っていくので(DACのProject D-1はその一号機)、これからは期待できる。

KENWOOD DPF-7002

定価\58,000。なんて事無いミニコンの単売出来るCDプレーヤー。音はこれと言った取り柄もないが、CEC同様良く
まとまっている。立ち上がりもまずまずで、この価格からすると良くできている。音楽ジャンルは特に選ばない。欲を
言えばもう少し実体感が欲しい。でも、好きな人は好きだろうなこうゆう音は。

とりあえず、まあ普通の音がするのを挙げるとこの位かと思う。それにしても、能書きはともかく、単品コンポなのにミ
ニコンのサイズを大きくしただけで、音の方はあんまり変わらないような商品ばかりだ。トランスポートとして使える物
はまだましだが、どうにかしてくれ。これで、PHILIPSのLHH-200RXが無くなると、10万円内ではCECのCD2100が最
もまともなCDになってしまうではないか。
これでいいのか?もっと頑張ってくれメーカーさん。

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砲手:有森

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12月は、47LabとDYNAUDIOの試聴会がありました。2つとも、強烈なインパクトを与え終了しました。
47Labは可能性を、DYNAUDIOはまさにCONSEQUENCE(結論)を見せてくれました。
「所詮オーディオでの原音忠実再生は無理」と思っていらっしゃる方には是非聴いていただきたかった。

しかし、そんな風に諦めてしまうのも無理ありません。そもそもメーカーが諦めた音でしか作っていない。
あの音は、メーカーの製作者にこそ聴いてもらいたい音です。(「原音再生」を売り文句にしているメーカーは特に)

とは言っても、日本のメーカーは、オーディオ製品ではなく商品を作らなくてはならない。(ここで言う製品とは、作者の
意図するものを具現化したもの、商品とは、売ることを最優先にして作られた物のことを言います。)これが、海外メー
カー、ガレージメーカーと大きく違うところでしょう。これは、オーディオに限らず、五感に触る製品を作るメーカー全て
が抱えるジレンマでしょう。
「日本製は壊れない」。この神話のような信頼感は、日本だけでなく世界的なものでしょう。日本のメーカーは、この
信頼、期待、祈り(?)を裏切らぬ為、商品としての製品を作らざるを得ない。「本当は、ここをこうした方が気持ちいいも
のが出来るけど、そうすると安定性が、耐久性が、スペックがぁぁぁぁぁぁ...。」日本のメーカーって、世界一かわい
そうなメーカーかもしれない。

とは言っても、今のメーカーに全く同情するつもりはありません。昔は、このジレンマを超えようとする努力が、商品と
は言いながらも垣間見る事が出来ましたが、今は殆どありません。ただひたすら、「万人受けする売れる商品」を作る
ことに執着し、更には、ジレンマを克服しようとひたむきな努力をする製作者をつぶそうとするメーカーさえある始末。
(メーカー製作陣内の権力保守?出る杭は打たれる?それを黙認する愚かな責任者?やはり、こんな高い山は崩すしか
ない。)
こんな馬鹿馬鹿しい事はやってられないと言うわけで(?)、ガレージメーカーになってしまうのです。

47Labは、限られた物量、コストの中でも、アイディアを生かし形にすることで、良いものが作れることを示しています。
DYNAUDIOは、商品性は全く無視してARBITERと言うアンプを作り(これはもともと自社スピーカー開発時のリファレン
ス用として作られたため、当然商品性は考えられていない。)、オーディオという電気的なシミュレーションでもここまで
できると言うことを示しています。
日本のメーカーは、人、時間、お金、エネルギーの使い方を、もっとよく考えてもらいたい物です。

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