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  DENON新製品イッキ聴き   発砲 竹田   08月11日
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DENONの新製品が入荷してきましたのでレポート致します。

プリメインアンプ PMA-390RE 定価 50,400円(税込)

初代PMA-390は1991年から発売され、モデルチェンジを繰り返し今回で7代目となる。
価格も初代は33000円だったが、少しずつ値上がり今回のモデルは5万超してしまった。
中身はシングルプッシュプル回路とパワーアンプにFETを用いた、オーソドックスとも言えるな構成である。前モデル(390SE)と比べても大きな仕様変更は無いが、パーツ類が高級化され、細かな仕様変更がされている。
昨今の流行であるデジタル入力やUSB入力は無いが、
PHONO入力やヘッドホンアンプ、トーンコントロール、プリアウト、リモコンなど、一般的なプリメインアンプに要求される機能は大体付いている。
音質も最早伝統のデノンサウンドで、少し派手目なドンシャリの音作り。
デノンの持ち味でもあるし、いきなりフラットバランスに振られてもこちらも戸惑うだけなので、これはこれで良いと思う。
デノンの中ではエントリーモデルだけに凝った作りをしないシンプルな構成なので中々スピード感や解像度もあるし、相変わらず聴いていて安心出来るし、吉田苑としてはデノンの中で一番好きなアンプである。

CDプレイヤー DCD-755RE 定価 50,400円(税込)

こちらは前モデルDCD-755SEからDAC部分が変更となり192KHz/32bitのDAC搭載になった。
今年の流行りなのか、同時期に発売された、パイオニアのPD-10・30も192K/32bitなので
特に目新しいとは言えない。
PD-30との音質比較はCDを聴く限りではS/N感が良く、にじみ感が少ないのでDCD-755REに歩があるが、圧倒的な差という訳ではないし、機能面では、PD-30がSACDやDSD対応など豊富である。
DCD-755REは、デジタル出力がコアキシャルが無いので(光出力のみ)、トラポとしてもお薦めし辛い。
DCD-755REにあって、PD-30に無い機能はヘッドホンアンプぐらいであるが、そのヘッドホンアンプも付属品レベルなので過度に期待しない方がよいだろう。
CD再生専用と割り切れば、このクラスのCDプレイヤーとしては中々優秀。

ヘッドホン3種

AH-D7100 オープン価格(市場流通価格11万前後)写真左
AH-D600 オープン価格(市場流通価格5万前後)写真中
AH-D400 オープン価格(市場流通価格4万前後)写真右

デノンヘッドホンの新シリーズ3機種に
(従来のモデルはフォスター電機製のドライバーユニットだったが)
デノン独自ドライバーを開発して投入してきた。

AH-D7100はAH-D7000に相当するモデルで、
AH-D600はAH-D5000~2000に相当するモデルだが、
AH-D600、AH-D7100ともに音質的には、ユニットの癖はAH-D5000/7000より少なく、品良く、大人しく仕上げてきたなあと言う印象。情報量や解像度と言う面では従来のモデルと比べて大差ない。
AH-D600、AH-D7100は同じドライバーを使用しているので音質的には似ているが
AH-D7100は高級ケーブルと天然マホガニーのイヤーカップを使用してる分か、響きが良い。
吉田苑としては、どちらも後少しキレと開放型HPのような音離れの良さがあると、もっと良かったと思う。
掛け心地は、パッドの革も柔らかく、ヘッドバンドの圧迫感も適度なので、快適である。
密閉型のヘッドホンはデノンは得意としており、密閉型としては、どちらも中々よくできているだろう。
ケーブルが脱着式で、接続端子もミニプラグなので、バランスケーブルなど自作も簡単にできるので、変えて遊んでみるのも面白いかもしれない。

個人的に面白かったのはAH-D400。
このヘッドホンはパワーアンプ内蔵で、どちらかというとipodなどポーターブル機器やパソコン向けのヘッドホン。もちろん、ヘッドホンジャックがある機材ならどれでも再生可能だが、充電はUSBケーブルでパソコンから行う必要がある。
耳の部分のノブでipod/iphoneの音量、再生停止、選曲などをコントロールできる。
(電源を入れると耳のノブにLEDのリングがピカピカ光る、外で使う方には恥ずかしいと感じるかも知れませんがLEDは消灯できるので御安心を。)
パワーアンプが良くできていて、特に低音がズシンと来て楽しい。
かと言って低音だけの無味でタンパクな音では無く、上位機種にある繊細感も感じさせてくれる。

下手にポータブルアンプを買って、高級ヘッドホンを使用するよりもAH-D400は割安だ。
ドライバーも上位機種と同じものを使用してるようなので、コストパフォーマンスは非常に高い。
また、iphone用アプリも用意しており、デノンのHPからダウンロードすれば音のイコライズも可能になる。
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  TIDAL Piano Diacera   発砲 岡島   06月25日
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ピアノフィニッシュ 4,410,000円(ペア/税込)
木目ハイラッカー・フィニッシュ 5,145,000円(ペア/税込)

高額商品が続いて申し訳ありません。

30mmツィーターに17センチダブルウーファー、近頃流行のユニット構成。印象的な美しい木目のアフリカンマホガニーだが、ゴツンと重い。
エンクロージャーに奇異な形のものが多くなった今、珍しい立方体の堂々とした箱だ。手を抜きがちなバスレフポートは、金属固定で鳴きの少ない素材を深めにセットしてある。見た目の印象はとにかく剛性の高い頑丈な造りだ。
ユニットは当店ではおなじみのになりつつあるThiel&Partner製Accutonユニットだが、特注品だそうで、ブラック色のセラミックにツィーターはなんとダイヤモンド。
(ちなみに、この30mm径ダイヤモンドツィーターの市販品はユニットだけで100万)
 全く器用なところが見えない。質実剛健な箱に信頼のセラミックウーファーと豪奢なダイヤモンドツィーター。高性能に必要なものは全部乗せ。なんとも正直な設計思想である。いかにもドイツ人が考えそうなハイエンドスピーカーだろう。
おかげで見た目を裏切る510万円!ピアノブラックでも440万円という高価格これで音が悪ければ、大笑いのコラムが書けるのだが、残念ながら音は大変良い。

どこまでも無理なく伸びきる高音域はどこにも強調感が無いところが凄い。
高音域にうるさいスタッフ二人が大絶賛というのも珍しい。
低音部は名器の条件セラミックと上記のエンクロージャーが遺憾なくその性能を発揮する。小気味よく刻まれるバスドラムは締まりながらも豊かで、見事にツィーターとつながっている。位相に関してもこれといった細工があるわけでもないのだが、ステレオイメージは音楽のある場所を明確に反映している。
価格以外どこにも文句のつけようが無い。
ダイヤモンドでツィーターを作るとこんなに高価になるのだろう。
まさか、ブロックから削りだし?いやいや冗談です。しかし、いくら良かろうが、ここまで価格が高いと常識的には手が届かない。
その魅力が理解できるだけになんとも歯がゆい思いがする。


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  スペクトラルの取り扱いについて  発砲 吉田   05月25日
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今回、お客様よりスペクトラルについてのコメントを求められましたので、少しスペクトラルについての思いを書いてみます。

スペクトラルに関しては、私が昔から取り扱いをしたいと思っていましたメーカーで、 店を初めてまだ間が無い頃、色々と取り扱いのハードルが高く扱えませんでした。
そこで、志向の近いメーカー(当時スペクトラルに音の感じが近かったメーカー)、ゴールドムンドの取り扱いを始めました。
その後、オルフェウスの取り扱いも始めています。
昔からハイスピード系のアンプを当社理想としていましたので、スペクトラルが扱えなかったので、ゴールドムンド、オルフェウスを扱いましたが、特にゴールドムンドは、当時のMIMESIS8や9のシリーズから様変わりしてしまい、昔のとは違う音のメーカーとなっています。
その中で相変わらず当社の求める方向で、進化しているスペクトラルが取り扱いできる様になったのはうれしい限りです。

私がコメントを書かないのは、今のところ店頭展示機が届いていない事もありますが、 じっくり聴いて書くか、書かかない方向で行くか迷っているからです。
出来れば先入観無しに聴いていただきたいと思っていますし、本当に欲しい人のみで良いと考えているからです。
貸し出しに関しても、物だけ貸すことはしない方針です。
貸し出しの際も、必ず当社もしくは商社の人間立会いの下での試聴にしたいですし、もしくは店頭に来ていただいての試聴を考えています。
その為、変にコメントを書かない方が良いかなとも思っています。

それから、このアンプの音に関して、化粧があるかとのお問い合わせをいただきました。
化粧とは悪い言い方をすれば、器量の悪い人でも美人に見せる事ですし、素で美人の方は、少しの化粧でも更に美が引き立ちます。
スペクトラルの素性のよさは、探しても中々他にはありません。
そのままでも十分、倍音も綺麗に伸びますし、化粧があるとすれば、デバイス的な扱いを
きちんと行うことで得られる化粧です。
昔のスペクトラルはFETの扱い方でしたが、それは今も変わっていませんし、良い意味で、素性の良い本当にナチュラルな化粧のアンプが、聴いていただくとよく分かると思います。
考え方の近い、同じベクトルのアンプとして、鈴木氏(FUNDAMENTAL)のプリが出ますが、このプリもアンプの理想により近い物だと思います。
音はリアルそのものです。
ただ、先にも書きましたが、このリアルも化粧とすれば、デバイス的な扱いをきちんと行うことで得られる化粧です。

音作りと言う名目で、音を作ってるメーカーとは、この二つのメーカーは少し違います。
(すべてのメーカーがそうだとは言いませんが、少なくともこの手のメーカーは、そう多くはありません。)
アンプとしての両者の共通項は、ディスクリートでアンプを組む事を大事にしてますし、
使う素子の素性とどのように使えば、理想の直線性が得られるかを非常に大事にしています。
他にも商品が無いとは言いませんが、スペクトラルのプリ、パワー、FUNDAMENTALの今回のプリは、中身の理想を追っています。

世の中歩けば、美男、美女の組み合わせもあれば、美男と器量の?な方の組み合わせ、その逆もあり、年齢の組み合わせもさまざまで、性格も善悪の組み合わせも多彩ですから、オーディオに当てはめても、特にお客様が器量の?な方を好きと言われても否定するものではありません。
色々な組み合わせがあるから面白いのも事実です。

ただ、少なくともこのクラスのアンプは、お店の大幹を現す部分ですから、本当に信頼できる物を置きたいですね。
後は、砲台やスタッフコラムで商品の素性を読み解いてください。

それから、今回の東京オフでは、スペクトラルもお聴きいただけます。
会議室で、条件がいいところではありませんが、素性を見ていただくにはいい機会かと思います。FUNDAMEMTALのプリも来ます。
1bitの小型パワーもかなり製品に近いものが来るようです。
是非オフ会等でご確認ください。

スペクトラル製品の価格表(pdf)

よろしくお願いいたします。

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  「プリアンプの意味を問う」 発砲 岡島   04月29日
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Fundamental プリアンプ LA10
   予価 1,050,000円(税込) 発売日 2012年5月末

 セレクター、録音機材のやり取り機能とフォノアンプを伴う、ある程度ゲインを持った抵抗器 あえて既存の定義からはじめるとこうなるのだろうか?
現代ではアナログディスクの需要が少ないとしてフォノアンプが消えた。
そして録音機材も今や不用品に近い。
今回のファンダメンタルの新製品を見てみよう、ゲインも無い(ゼロゲイン)試作品に装備されてたセレクターも(セレクターの役目はDACにお任せして)外すそうだ。残った物は抵抗器だけ。
鈴木氏曰く「a Straight wire with attenuator」冗談でないらしい。

一体プリアンプとは何だったんだろう。
ではアンプリファイアの意味は? いや、やめておこう、きりが無い。
 試聴会でお目見えした試作機はまだ完成品ではないとの事で撮影はできなかった(本来であれば、皆様にそのアイデアに満ちた筐体をお見せしたかったが、もう暫くお待ち頂きたい)が最終形での設計を前提に紹介しておこう。既存のSoulNoteの製品群より横幅は小さくなっている。
そしておなじみの別電源。気になっていた巨大なたまねぎのような1KVAトロイダルトランスを収めた電源部は本体より背が高く2:1に近い縦横比、本体は小型プリアンプで中央にアッテネーターつまみ背面はXLR入力と出力、電源スイッチは電源部にある。なんてこたない可変抵抗器そのままである。
筐体は各面厚みを変えたジュラルミン(5000番台)を贅沢に使用している。その6面は面接着あるいは線接触を嫌ってブリッジでつなげている。吉田苑でも採用している振動高速開放を更に一歩進めた構造は興味が尽きない。内部はよく整理された徹底的なモノ構成2CH構成使われている内部配線材はこのアンプシリーズのために独自開発されたもの、ファンダメンタルで提供しているケーブルと共通する。ハンダもかなりこだわって、手配線にしか使えないらしい。
ある程度のマスと強度のみが伝える高級感は独特といって良い。ノブの重さは良く調整されていて奥にある文字通りの可変抵抗器は現在手に入る頂点の一つだ、高性能に裏打ちされた素晴らしい触感をしている。

S/N、ギャングエラー、トランスの鳴き
この3点は、素直に質の良いアンプを設計すると泣き所になりかねない問題であったが、いずれも高いレベルで解決している
 マイナス90デシベルから最小実用領域が極端に精度が高い。つまり弱小音域でもギャングエラー
は無い。いや驚くべきことにその音量域でさえ音がヴィヴィッドに動き回る。
パッシブアッティネーターでは出来ない、それどころか今までのプリアンプでもあきらめられていた領域性能である。入力開放してつまみを回す、プリからの残留ノイズはほぼ聞こえない。S/N125dBと簡単に
数字で表してよいものやら、無責任な言い方が許されるなら透明感のある無音(意味不明)なのである。
トランス鳴きの問題は商用電源環境に左右されるので仕方の無い面があるのだが、極めて繊細なAC供給を可能にした回路を搭載している、とはいえ全く音に影響しないとは断言できないのでデフォルトでは外している。状況に応じてうなり除去回路挿入も可能としている。

あまり高価なものを出さないメーカーが100万円という価格で出すとこうまで徹底的にこだわらなければならないということなのだろう、どこにも妥協らしきものを見出すことが出来なかった。
数字で見て機械にこだわりたい人には、別のキャッチが用意されている、周波数帯域 DC~28MHzこの数字を誇っているわけではないらしい、この数字を測定するためには近頃の通信機器レベルの測定器が必要なのだが、ちゃんとアンプ設計がうまく言ってると上が伸び続けたそうで一つの目安にしたそうである。

評価

パワーアンプを評価出来る。よく知っているはずのパワーアンプが更に磨きこまれて歌う。
パワーアンプの個性が明快に見える。魅力的なプリアンプである。
前述の「a Straight wire with attenuator」の通りケーブルに可変抵抗付けているかのような錯覚さえする。実際LA10と言う名前もプリアンプではなくラインアンプから名付けられた。
鈴木氏に伺ったところ、特性の計測はケーブルの特性を測るレベルでアナライザーだと特性が分からないそうだ。
一般的なパッシブプリだとインピーダンス変化があり音痩せする。アクティブプリだと歪みが発生するがLA10はそんな側面は見せない。パッシブとアクティブの良いとこ取りのプリアンプだろう。

鈴木氏からはその他色々伺ったのだが、ご購入後の対応も大変柔軟にしていただけるようで自分に合った最高のプリアンプを手に入れることができるようだ。

現在大変気に入っているアンプをお持ちの方はソースとアンプの間に入れると間違いの無いグレードアップになることを約束して良い。といいきってしまう、もとい多分そうなってしまう。見事な一台である。

アンプの出力と可変抵抗器考
可変抵抗器というのは、仕事が少なければ少ないほど良い。必要悪みたいなものである。
パワーアンプの出力いっぱいに鳴らしてよければ、可変抵抗器はその色や癖を出さなくてすむ。
小さい音で聞こうとすればするほど高精度の抵抗器が必要なわけである。
高精度のP&G製ロータリーボリウムを搭載したLA10は幅広い帯域でトルクを失うことが無い。

しかしながら、ここまで予算を強いられる可変抵抗器なのだが、もし使用者が必要にして十分な小出力アンプがあれば、可変抵抗器の仕事は少なくなるわけで、30年前におきたオーディオブームにあったパワー戦争は、そろそろ和平が見えてよさそうな気がしている。
JC-2、LNP2 その後にLシリーズと卓抜な音を呈しながら中々パワーアンプを出さなかったマークレビンソン社が最初に出したのは20Wのアンプだった。
新生ファンダメンタルがどのようなパワーをあわせてくるのか興味を尽きない。


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  Lyric 真空管プリメインアンプ V-LA1  CDプレーヤー V-LC1
  発砲 吉田   04月14日
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Nmodeブランドを主催する、(株)Lyricより新しく発売される真空管アンプで、
ブランドもLyricとなっている。
デジタルを主とするNmodeとオーソドックスなアナログ商品を主とするLylicにブランドを分けた様だ。

まずは、アンプのV-LA1、デジタル技術の色の濃いい、Nmodeブランドと違い、オーソドックスな作りの真空管アンプで、真空管(パワー管)はKT-88とEL34との差し替えが可能。
(購入時はKT-88が標準仕様。)

メーターを見ながら、各出力管のバイアス調整機能とマニアックな機能もあり、
接続もTR(トライオード)接続とUL(ウルトラリニア)接続が、リモコンで切り替えられる。
MMのフォノイコライザーも装備し、リモコンが標準装備、リモコンによる真空管の接続切り替え(TR,UL)、入力、ボリュームの操作も可能で、従来のNmodeブランドの商品と比べると、オーソドックスな真空管とは言え、操作、機能面で充実している。

内部の配線も、メインの回路は、簡易な基板を使わずに立体配線されている。
最近のこのクラスの真空管アンプのなかでは丁寧な作りと言える。

肝心の音の方だが、スピーカーにはDynaudioのConfidenceC1Signature、
CDプレーヤーには同時発売の V-LC1と同社のNmodeブランド X-CD1を試聴した。
V-LC1の接続は、TRとULを聞き比べたが、全体的にTRの方がまとまりが良く、
起動時もTRが主になるため、TR接続で主に試聴した。

先にX-CD1を使い試聴したが、同じ会社の商品にしては、マッチングは今ひとつで、
レンジはあるものの、全体に薄く立ち上がりも今ひとつという感じに聴こえた。
インピーダンスのマッチングがうまくない様だ。
次に、同時発売の V-LC1に交換して試聴した。
見た目も含めマッチングはよく取れている、全体的な音のまとまり感もV-LC1と合わせた方が良い。
中低域から低域にKT-88らしい厚みと量が出る、よく弾むし、1bitの正確な低域の階調とは行かないが、中音域から中低域の分離は良い。
中低域から低域に関しては良く伸びる、真空管アンプの中でもタイトな部類ではある。
もう少し高域方向の抜けがよければ、もっとしっかり分離するイメージだが、借りたのが試作サンプルで、まだ完全では無いとの事なので、完成品はもう少し良くなるそうだ。
特に変なバランスでも無いし、力もあるしはっきりした部類に入る。
Nmodeブランドを意識しているのか、真空管アンプだが緩い方には振っていないのは分かるが、やはりNmodeの1bitアンプとは違う音だ。
会社として幅を広げるのは悪くないと思うし、がんばって欲しいメーカーさんなので、応援はするが、吉田苑としては、Nmodeブランドで1bitアンプをがんばって欲しいところだ。
次はX-PW1で夏場頃になるとのこと。

次にCDプレーヤーのV-LC1だが、DAC部分はX-CD1と同じくPCM1792を使用して、
アナログ回路の最後のバッファに、真空管12AU7を使用している。
X-CD1とメカニズムは大きく変わっていて、読み込みも早くなり頭出しに時間もかからなくなって、操作面はX-CD1よりもかなり向上している。
メカニズムもBOXタイプ(パソコン用ではなかったが、パソコン用と同じ形)ではなくなり、一般的なメカをシャーシに直接取り付ける方法になっているが、そこも一工夫してあり、メカの取り付けベースはかなりしっかりした厚手のアルミ材ベースを使用している。
シャーシもアルミ天板、サイドウッドの採用と箱の作りもしっかりして、デザインは真空管アンプ V-LA1に合わせた形、サイズとなっている。

音の方は、X-CD1のフラットな感じに比べると中域が厚くナローだが、V-LA1にあわせた、音なので、可聴帯域に密度を持って鳴らすと言う感じに仕上がっている。
立ち上がりはまずまずだが、V-LA1同様、やはり上がもう少し抜ければ良いと思う。
真空管らしい艶のある音がするので、これはこれでよしとしたいところだが、吉田苑的には、真空管バッファは抜いて欲しかった。バッファの真空管が12AU7なので、色んなメーカー品に替えてみると面白そうだが、素性がよさそうなので、真空管は無くてもよかったのではないかと思う。
ちなみに、シャーシやメカベースが良いせか、デジタル出力は結構使える。

(写真上段:開発中の吉田苑オリジナルDAC 下段:リリック V-LC1)

現在開発中の当社(hina)のDACに入力したところ、かなりすっきりとした音調で、情報もしっかり出ている、真空管を抜いたモデルやCDトランスポートと、改造すると面白そうだ。
SOULNOTEのsc1.0も在庫限りで、NmodeのX-CD1も在庫限りである、そのままでも良いと思うが、替わりになりそうなベースはあるので、現在開発中のhina DAC用のCDトランスポートや、バッファを抜いてクロックを良くしたモデル等、久しぶりに少し手を加えてみようかと思うモデルである。


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  47研究所 #4737   発砲 吉田   01月09日
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あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

今年の一発目は、47研究所 の新型スピーカー #4737(197,400円/ペア)です。

昨年の暮れに行われた、吉田苑の東京支店(オフ会)でもお聴きになられた方もおられると思いますが、製品として店頭に入荷しましたのでご紹介します。
製品としては、前作#4722(160,650円/ペア)のグレードアップモデルで、従来型よりユニットのマグネットがアルニコに変更されています。
他に表面上で分かる範囲では、ユニットの振動版のコーティングも変更されているようで、従来型より振動版の色も若干変わっています。
それ以外の見た目は、ほとんど変更がありません。

さて、肝心の音の方ですが、非常に滑らかで、押し付けがましいところがまったくありません。かといって、エネルギー感、パワー感が無いのかと言えば、そうではなく、しっかりとエネルギーは出ているし、高低のレンジもしっかり出ています。
何より空間も広く、立ち上がり、中音域の分離のよさは特筆でしょうし、音の消え際も見事な出来栄えです。
オーディオ的な視点で、情報量が多いのかと言われると、言い切れ無い部分もありますし、低域方向が本当に延びているのかと言われれば、小型のフルレンジの限界も確かに見えます。
ただ、何と言っていいのかは分かりませんが、今の日本のスピーカーの中で探しても、まずこの様な音を出すスピーカーは無いと思います。
あえて日本の中で探せば、SOULNOTEのsm10が比較対照になると思いますが、これとも違います。動のsm10、静の#4737と言えると思います。
ある意味、日本離れしたスピーカーといえます。かと言って海外でも見当たりませんし、made in Kimuraが、正しいのでしょう。
木村氏のセンスの良さに脱帽です。

発売日は2月中旬頃です。ご予約承ります。