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05.12.15  CDは、これを聴け 2    一枚必聴 
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お詫び: タイトルが違っておりました。申し訳ありません。

  「”カリエンテ~スパニッシュ・コネクションII」 スパニッシュ・コネクション


 フラメンコギター、バイオリン、タブラによる日本人のトリオ
この組合せこそまさに「ジプシーサウンド」そのものであります。
 バイオリンとギターの素早いユニゾンでは、アンプの切れ味と
正確なスピーカー制御を問われます。タブラの奏でる低域は、豊
かに響き、地中海に沈む間際にゆれる太陽と照り映える空気感を
作り出します。この芳醇な低音と速弾きユニゾンのトーンのバラ
ンスを保つ事が、このCD再生の大きなファクターになると思いま
す。
 ギターの伊藤氏は、バカテク、日本人ながら良くぞここまでと
いった感じ、バイオリンの平松氏の音色、ボーイングの力強さも
素晴らしいと思います。
お勧めはなんと言っても2曲目。タブラの最初の音が始まった瞬間
に「スパ・コネ・ワールド」に誘われます。他にも、ジプシーサ
ウンドの大家で偉大なバイオリニスト、サラサーテのチゴイネル
ワイゼン一部を含めた7曲目。ジャズのテイストを意識した9曲目
フラメンコギター・ソロの3曲目等全編お勧めです。
 このグループはこれ以降も数枚のアルバムを出していますが、
このディスクをナンバー1に推したいと思います。

「ベートーベン 交響曲 4、7番」

フィリップ・ヘルヴェッヘ ロイヤルフレミッシュフィルハーモニック

 クラシックのお勧めの一枚です。SACDハイブリッド仕様輸入版ですが、
タワーやHMVなどで取り扱われており、入手は楽な方でしょう。

まずフレミッシュはフランダースのことなのです、録音会場が「DA ROMA」
となってますのでイタリアと思いきや「アントワープ」とあり、ベルギー
だったんだとわかります。わが国では著名な指揮者とは云えないと思うの
ですが、なにしろ一聴して、久々にオーケストラの有様がクリアに見渡せ
る。録音会場は昔の映画館、それもずっと閉鎖されていた場所を選定して
います。随分と念入りなサウンド・チェックが、施されたのか、とにかく
楽器の位置が明瞭で、2菅編成でありながら、全体のバランスもよく、ぐ
いぐいと演奏に引き込むパワーを感じる一枚です。
 このカップリングはとてもポピュラーで、あのクライバー、バイエルン
放送響も同内容でした。特に7番はSACDでの再生にその精華があります。
四楽章は、弦の配置が明確で、古楽では考えられない現代的解釈に基づく
金管・ティンパニーの鳴らせ方、バランス設定が非常に良好だと感じます。
観客のいない劇場録音ですから、抜群の録音状態なのですが。ライブにな
りすぎずサウンドも聴きやすい一枚です。

  「LIVE a fortnight in France」 パトリシア・ハーバー

 ブルーノートの看板女性ボーカル、パトリシア・ハーバーは、これまでも
発表した全てのディスクが優秀録音でしたが、ライブがありませんでした。
ライブに名録音は少なく、ましていわんやCCCDとあってあまり期待はせずに
購入したのですが、目からウロコ、あまりの録音の素晴らしさにびっくり仰
天した次第です。
 自作多作にこだわらないアルバムを作り続け、自らピアノを演奏し、作詞、
作曲、編曲までこなす達人、いや才媛であります。
 8曲目の「ノルウェイの森」、あまりに有名なジョンレノンの名曲がジャズ
ワールドに展開していきます。驚くのはライブとは思えないサウンドバランス
でウッドベースの「うねり」は超・感動です。楽器独自の持つ空気感がしっか
りと描写される様は圧巻です。


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05.10.27  CDは、これを聴け 1     一枚必聴 
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  「ガルガンチュア」   藤原 清登

 これは日本を代表する、ウッドベーシスト 藤原清登のソロ・ア
ルバムで、2000年フランスの修道院にての録音です。聴き所は、
12曲目、13曲目です。お馴染みのピチカート奏法からアルコを使
ったボウイングでの演奏はオーディオ的に重要な要素いっぱいの
低域を中心とした倍音成分が、立ち上がり立下りをシビアに要求
するので、アンプをいじめるには最高のオーディオチェックCDで
しょう。
 現在私は、SM-SX10を使ってますが、電源ケーブルやスピーカー
ケーブル等の試聴にはこのCDを使います。

  「a magic wand of "STANDARDS"」 GONTITI
映画音楽、ラテン ビートルズ ジャズ等、それこそスタンダー
ドナンバーがちりばめられた一枚です。「アコギ・ファン」とし
ては残念ですが、曲ごとに紹介されていればもっと楽しめたのに
と思います。音楽ファンには変化に富んだギターの表情は満足す
べきすばらしい出来です。 どのピースも二人のアイデア満載
すばらしい効果を生んでいます。ソロの楽器に合う伴奏楽器の選
定、それらが演じる音場設定の意図。紡ぎ出される珠玉のギター
サウンドが胸一杯に響き渡ります。
 お勧め曲、全部。 中でも13曲目の「サウンド・オブミュー
ジック」がベストです。
 冒頭のクリアな高音、正確にチューニングされたアンサンブル
は、演奏者側が響かせる倍音によって支えられるという証です。
再度冒頭のメロディに戻った際の高音でのピッキングも素晴らし
く、部屋全体の空気があの映画のシーンを思い浮かべるほど透明
感に満ちてきます。
 12曲目と18曲目のテネシーワルツのインスツルメントとボーカ
ル入りが入っており、二人の音楽観が垣間見えて面白い構成です。
このアルバムはCDとSACDハイブリッドがでており、CDをお聞きに
なる場合はCDのみの方がお勧めできます。


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05.09.22  電源ケーブル その後  発砲/砲手  Mr.X & 岡島
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ケーブル開発担当のMr.Xです。
元はと言えば、電源ケーブルの開発は岡島氏のSX100Phantom購入の
時まで話がさかのぼります。せっかく高価なアンプにしたからには記念に
一本作ってやろうと電源作りが始まったのは、おおよそ4年前からです。
 ざっと数えても、のべ100本を超える比較試聴を経て、完成品が現在岡島
氏が使用している「オカジマン」という、意味不明な「のりの佃煮」的名称の
電源ケーブルになります。単に個人的嗜好によって作られたオカジマンは
スターカッド方式でしたが、鬼の様な試聴の末、特殊三つ編方式に変更に
なり一般市販品の「PowerStringsC」(当時開発コード:オカジマンU)として
市場デビューしました。PSC詳細は吉田苑HP、愛玩製品のHina、PSCの項
をご参照ください。

現在PSEの関係でPSE認定外の電源ケーブルは販売出来ませんが、
今でも密かに開発だけは続けている次第です。
さて、構造の問題から最近の話題をひとつ。今回、試作コード
「オカジマンV」は、有名ケーブルメーカーの構造にインス
パイアされています。
 インスパイアされた構造・・・それは二重円筒同軸への着目でした、
実は、二重円筒同軸構造のケーブルを最初に市場へ出したのは、
他ならぬ日本のケーブルメーカー、モガミ電線であることは、
二重円筒同軸構造で魅力的な製品群を市場へ送り出している
ワイヤーワールド代表のデービッド・ザルツ氏も認めています。
 今回は、二重円筒同軸の問題点を解決すべく並行円筒同軸とも
いうべき構造で作成してみました。
というのも、一本のケーブル円心上に信号を往復させる事に無理
があるのではないかと言う疑問から全く同じ形状の円筒構造線材
を並行に配置することで、往復間の形状の違いから来る影響、
つまり+、−側の表面積の差異、また、インダクタンスの低減を
目論んで試作に挑戦してみました。更に、核部分は中空パイプ構造
(最高の絶縁体は空気なのです)+極細線のSZ巻きという意欲的な
作品になりました。
 ところが、試聴して顔が歪みます、遅い、付帯音が付く、再生
音にある種のクセがはっきり聴きとれます。
(個人的にこの種のクセは好みなのですが・・・「岡島氏はこの
クセに騙されてもいいかも」・・と言ってます)
同軸円筒構造では明らかに独特な色が付く事は分かっていましたが、
今回は二重円筒同軸とは異なったクセなのです。つまり、試作品では
円筒形状以外のの何かに問題がある様です。
これは今後解決すべき問題です。
 オーディオ歴の古い方は、ご存知のように、同軸円筒形状のスピ
ーカーケーブルに独特な色が付いていた事を覚えていらっしゃるでしょう。
人気も有り、それなりの商品であったことから、何らかの魅力が
あるのでは・・・と思ったのが事の始まりでした。以下、岡島氏
の試聴記です・・・

オーディオ科学主任の岡島です。
今でも、Mr.Xから売れる見込みの無い電源ケーブルの試聴を押し
つけられています。(苦笑)この度、吉田苑の常識を覆す事実を
再現できたのでご報告いたします。
某外国メーカーの高級電源ケーブルの再現を目指しておりまして、
結果から言えばあっけないくらい安価に出来てしまったんですが、
Mr,X氏の製作技術が優れている所為か、滲んで遅い音まで見事に
再現してしまいました。

しかし、遅くて滲んだのは吉田苑推奨の機器たちに繋いだときだ
けでした。一般的に人気のあるアンプやスピーカーに繋ぐと、
雰囲気がでるんです。滲んでエネルギー感に欠けた組合せに、
なんだかちょとエコーがかかってしかも美しい付帯音、なるほどねぇ。
吉田苑はまだまだ経験不足でした。
吉田を呼んで聴いて貰いました。位相の狂い方にちょっと面食らってまし
たが、奇しくも同じ言葉が漏れました。「なるほどねぇ」

 念のため、電源コード試作品でクラシックのCDをかけてみたんです。
ちなみにこいつはスタジオ録音で一音一音がちゃんと録音されている
はずなんですが、すばらしいホールトーンが再生されました。
 一同大笑い、もうコンサートホールいりません。

 これからも、吉田苑は現在人気のある機器を研究して何故人気があ
るかを知ろうとする努力は惜しみません。よろしくお願いします。

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05.09.15  デザインと音の両立  発砲/砲手  岡島
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 吉田苑というところは、現在3本の柱の音で構成されている。
一つは繊細で圧倒的な情報量、有無を言わせぬ音場再現、
普遍的なものを目指している、DYNAUDIOや1ビットに代表される音である。
もう一つは、ガッツ&ホット 聴感上トランジェントの高い、鈴木氏率いる
マランツプロフェッショナルに代表されるモニターサウンドである。
そして切れ味を保ちながら繊細で整理された、47研究所に代表される欧米には
無いサウンドである。
いずれにも共通しているのは卓越した位相、スピードである。

 今回、ご紹介するのは、また一味違う。プライマーは以前から
手頃なプリメインでお勧めしていたので、現在でもお手持ちの方も
少なくないだろうし、当社と永いお付き合いのお客様にはお馴染みの
メーカーだ。

プリアンプ Pre30は、筐体の美しさ、
つまみの感触など良く調整されている。
音は、わずかにマイルドな味がする
ものの、透明感をいささかも損なうことなく、
位相管理の良さまで見せつけてくれる。
かっちりと定位する素性のよさ確かさは、
期待を裏切らない。
機能も豊富で、RCAの入出力の他に
バランスの入出力も装備、AV用のバ
イパス機能もある。
汎用性も高くムンド
、オルフェウスの欧州系パワーアンプと
のマッチングも悪くないし、ゲインも16dB
で扱いやすく ボリュームもかなりの小音
量から調整可能な汎用性の高いプリアン
プである。
価格帯もセパレートアンプとしては手頃
であることも、貴重な存在である。

パワーアンプ A30.2も写真より実物の印
象は高級感に溢れている。

音はニュートラルで癖が少ない。軽々ときままに鳴る様は、スピーカーを選ばないし、大型のトロイ
ダルを二機搭載し、価格以上に余裕を感じさせる。こちらも大変汎用性の広いパワーでPre30
とのセットではリモートで電源操作も可能である。

考えてみたら、プリメインの高級機の予算で買えるセパレートアンプである。
この機能とスケール感、美しいデザイン仕上げとあいまってお買い得な製品であろう。
当社が選択する商品としては珍しく見た目、音質、価格(コストパフォーマンス)と三拍子揃った
商品である。

尚、テストに使った機器は以下である。
SP  Dynaudio Focus110
CDトランスポート  47研究所 「ピットレーサー」
DAC Phillips 「Project D1」
ケーブル類 ベルデン497U LSSC他

しかし、今回もFocusの描写性、表現力には驚かされた。小型で出ない筈の低域を
倍音で表現するのだが、音楽として充分な情報量を提供してくれた。開発中のSPスタンドが
成功すれば、「これで充分」をはるかに超えてくれると思う。

 やっと九州の水に慣れてきたプライマーシリーズ、今回はセパレートの試聴をご報告したが、
CDプレーヤーもただいまエージング調整中である。近日中に評価が出せると思う。吉田苑を支える
もう一つの音の柱に鳴ってくれると期待している。

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08.8/26 DYNAUDIO FOCUS110 ペア199,500円(税込)/砲手 吉田
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AUDIENCE、CONTOUR、CONFIDENCEと従来のシリーズから新たにFOCUSシリーズが加わったので
今回はその中からFOCUS110を取り上げました。

まずこのシリーズはAUDIENCEとCONTOURの間を埋める商品シリーズとしてでてきたようで、
現行モデルのAUDIENCE52SE、72SEと価格もだぶるところから、今後52SEや72SEは完了していくの
では無いかと思われる。
色は日本輸入のレギュラーとしてはチェリー、メープル、ローズウッドの三色の色が用意されている。
注文すれば他にブラックアッシュがある。
肝心の内容だCONTOUR1.1
の再来といえるぐらいの出来の良さ、DYNAUDIOらしい商品に仕上がっている。
内容もCONTOUR1.1に勝っているのではないかと思える。
ウーファー口径は15cm、75mmの大型アルミボイスコイルのウーファーである。
CONTOUR1.1では25mmボイスコイルでフェライトだったので、定番ウーファーに戻った感じ。

ツィーターはD280でこちらも定評のあるモデルを使用して
いる。AUDIENCE52SEと同等で、CONTOUR1.1時はD260
だったので当時のレベルと比べても同グレードのツィーター
を採用している。
箱は自社製では無く、AUDIENCEと同じところに外注しているそうでMDFを採用している。 箱の内部にはダンプ材が張られてあり、うまく箱鳴きもコントロールしてあるようだ。
箱形状は上から見ると台形でユニットからの輻射、
内部定材波に気をつけていて、ダンプ材等も含め気を配ったつくりになっている。
この点CONTOUR1.1は箱は自社製だったので、手を入れ
ながら外注する事でコストダウンをはかったのだろう。

ネットワークはCONTOUR1.1、AUDIENCE52SE並みの作りでインピーダンス補正もしっかりしてあるタイプ。
リアのターミナルもCONTOUR1.1の時は小さかったのだが、AUDIENCE52SE同様しっかりしており、大型のYラグとバナナ、裸線にも対応していて装着感も良い。ユニットの取り付けはCONTOURシリーズのように鬼目ナットタイプでは無く、木ねじでユニットを留めるタイプ出来れば鬼目使ってしっかり留めて欲しかったが、全体としてはよく練られてあるし仕方の無いところかも知れない。

ツィーターの留めねじは3本から6本へと増やしてあり、フレームの鳴きやフレームの歪には留め数が多い方が有効なのか、歪も同じD280使用のモデルよりも少なく感じる。

音質的にもこれが効いていているようで、高域のニュアンスも細かく聞こえ透明感も高い。
さすがに低域の深いところは無理だが、小気味よくはじけるように良く鳴る低域、全体の分離もCONTOUR1.1よりしっかりしている。
鳴りっぷりの良さではCONTOUR1.1の再来と言えるが、更に全体の抜けの良さとスピード感はCONTOUR1.1よりもAUDIENCE52SEよりも良くて魅力的である。

上級機にFOCUS140があり、こちらもかなり優秀なモデルでレンジも広く、ユニットも110より上のユニットを採用している。
分解能も110より高く高精細なのだが、140の方は何とも優等生的なのである。
110は細かいところを聴くと140までは行かないにしても、闊達さと何より抜けの良さは140も上回り、
遊びがい、楽しいと思わせる能力が高い。
SP25以上のモデルは別格としても小型の2ウェイなら110で十分と思わせてしまうくらい魅力的である。
SM-SX10、HA10、PA01等ハイスピード系のアンプとの相性もよいし、久々に構いたいスピーカーの
登場である。

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05.08/21 録音よければ楽しいのにねぇ/砲手:岡島
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05夏の東京OFFで、sharpの怪人H氏が持ってきて話題になるCDは多い。
このCDは比較的手に入りやすかったので、紹介しておきます。
下の写真のお二人で、レコード会社さんのHPから引っ張って来ました。
フェイキーというユニットです。

 非常に印象的なのは超絶技巧のガットギター
この人は指が何本あるんだろう見たいなテクニ
ックがオンマイクに新鮮である。
それに意気がかっちりあったボーカルもオンマ
イクでリップノイズが、きっちり入る点ではミキ
サーは入ってるのだろうが本当に眼前に浮か
ぶ様である。音源が少ない点でも有利なのは
わかるが、他のメジャーアーティストに聞かせ
たい程、新鮮である。実際、こんだけのエンジ
ニアが国内に存在してるのに、ひどい海外録
音の意味を考えて欲しい物です。ほんっと頼み
ますよ。メジャーさん。
つまりは、あぁステレオを鳴らしてるなぁ(笑)
ちゅう感じなのである。

ステレオで音楽を聴く楽しみを思い出させてくれる一枚である。
 大体がCDが売れないのも、ステレオが売れないのも「録音が悪い」の
に大きな原因がある。そんなやつに限ってセールスに金が掛かってるか
ら始末に悪い。
曲目もなかなかに面白いし、東京OFFで掛かったのは、7曲目「Fantasy」
は、なんとあのアースウインドアンドファイア「宇宙のファンタジー」
誰が訳したんだよこのタイトル水野せんせいかぁ?)がめっちゃかっこいい、
編曲と演奏を楽しいんで頂きたい。
一応リンクのページにフェイキーとレコード会社daiz-recod様のリンクの
快諾を頂きましたので張っておきます。
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05.07/25 DENON 新型プレーヤー試聴記/砲手:竹田
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最近、急に吉田苑は変わったなーと感じている方。それは私の責任です。
私が入る前には店頭にDENONさんやアキュフェーズさんが並ぶ事は
ほとんどなっかたのですが、私の趣味で社長に無理言って展示導入させて
もらいました。
このあたりは、私の個人的趣味であり決して吉田苑の目指す音が変わった
訳ではありません。

さて、せっかく導入したのですから新製品のインプレを少し・・・

DENONさんの新型CDプレーヤー1650AEと旧型1650SRが現在
店頭にあります。新型のエージングが進んだので、新、旧の比較視聴を
してみました。

使用機材は
アンプ  SHARP SM-SX300改2
スピーカー DYNAUDIO SP25改+The Base
ラインケーブル LSSC
スピーカーケーブル ベルデン497mk2

1650AEはSACD対応ですが今回はCDのみの視聴です。
女性ボーカルとアコースティックギター1本だけのシンプルな録音のソフト
を使用、定位、スピード、を確認するのに大変分かりやすいソフトです。

価格が3万円も上がった分見た目の豪華さはAEの勝ちです。

肝心の音質ですが、旧型のSRから視聴開始。
スピードは少し遅め、ギターの弦に指が引っかかっている感じ。
定位はこれがギターか?と首をかしげるような大き目のギターがボーカルの
少し右に定位し、ボーカルは大きめの口がセンター少し上に高さを伴って
再生されます。
スピーカーの間にきっちり収まり高さも出て以外とがんばっている印象。

レンジは最低域までは出ていませんが、少し上の低域から高域
までたっぷりとした低域をベースにそれなりにうまくまとめています。

次に新型のAEを視聴・・・
スピードは遅め。ギターの弦と指が一体化してもごもご言ってる感じ。
定位はとてもギターとは思えない巨大な楽器と大きな口のボーカルが一緒になって
センターにかたまります。
スピーカーの真ん中から全ての音が出ている・・・モノラルか?

レンジは最低域どころか、低域もあまり出ていません。中低域が妙にふくらんだ
必要以上に出る擬似低音をベースに無理やりまとめています。
「この音、どっかで聴いたなー」
と、思っていたら同じDENONさんの高級機SA11と同じような音です。
SA11の半額以下で同じ音が手に入るのでお買い得かな?

きっと、1650AEはSACDで真価を発揮するのに違いないのでしょう。
SACDを聴かなかったのは失敗でした・・・
CDしか聴かない人は旧型を買いましょう。
1650シリーズ最後のCD専用機ですから貴重品ですよ。


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05.07.20 三連発 発砲 / 砲手:岡 島
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おかえりなさい「小さな巨人」

今回の「東京OFF」の個人的目標は、あのコンシークエンスを
SX-300改で鳴らすことに在った、コンシークエンスがまだ比較的新しく
あまりエージングをされてなかったとはいえ、その期待は裏切られる事が無かった。
少し頑固で「アンプには覚悟が必要」と言わしめた音が気軽になった時、
圧倒的な音楽が溢れた。
そしてこの時気が付いたのだが、私が本気で奨めていたディナウディオは、
旧コンフィデンスでは無かったのか?コンフィデンス5の持つ「鳴ったら凄いぞ」の頑固さを
わずかながらでも引き継いでいるのがSP25、そしてコンター1.1 1.8 1.8Mk2辺りでは
なかったろうか。もちろんこれは主観であり、再生すべきは客観的に証言に裏打ちされた
誘惑なのである。信用の置ける輪郭ではちょっと主観に過ぎるであろう。
コンシークエンス、旧コンフィデンスは暗い頑固さを弩級のハイスピードアンプで
歌わせるのが魅力であった。当社でも高価なFMアコースティックやゴールドムンドが
何セットも出荷された。1bitアンプがその流れを大きく変えてきたときには旧コンフィデンス
が無くなり、コンシークエンスの替わりといわんばかりにテンプテーションも出てきた。
明快で明るい、精緻なまでの解像力が現代のディナウディオの魅力である。
主観から客観への転換が現代のオーディオ再生が目指している地平である。

FOCUSを聴けたのがその試聴会であったのは幸運だった。
300改やSX10改でコンシークエンスと聞き比べてみてはじめて確認できた
他のスピーカーの報告は吉田がやってくれると思うので、
あの頑固さを報告しようと思う。個人的に気に入っているのがFOCUS110である、
1.1が失われ52SEが現代的な受け継ぎをしているのは好感が持てるのだが
この稿で頑固さと表現している、ある種のもたつき、色気が復活している。
後ろを狭めたエンクロージャーがイギリスの馬鹿なメーカーのスタイルに似ながら
技術的には新しいユニットたちが歌い上げるディナウディオ節である。
「おかえりなさい」なのである。
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箱も音も「美しい」が似合う歌姫

 外国の良い製品が税金によって不当に価格が高い場合、国内メーカーは
どうするべきだろう? 英国製の5000円(本国内では1000円)もする、
うまくないウイスキーがあったら、2000円でもっとまずいウイスキーを作ると儲かって
しょうがないのである。
だからウイスキー関税が本当に安くなったとき、ちょこっと良いウイスキーを出した。
「山崎」である。その儲かった分音楽ホールを作ったので許してあげよう。

 其のメーカーが樽の廃材をリサイクルしようとして真に受けたのが国内の
スピーカーメーカーである。正直、ガレージメーカーを除いて、
国内のスピーカーに目は出ないというのが定説なので、お客様から注文を頂いたときも
「ふーん」であった。しかし音を聴かないで売っていいわけではないので
パイオニアさんのサンプルを持ってきていただいた。
 その前の週に、国内某社の同じくらいの安いモデルは、輸送の途中で軸がずれたのか
音楽どころか音にさえならなかった矢先でもあるし、今回も口に毒針をいっぱい含んで試聴に臨んだ。
飲み込んでしまった、「なんとパイオニアのスピーカーがまともな音を」
出しているのである。音離れがちゃんと出来ている。自己満足の音作りが目立たない。

価格から信じられない上品な再生音は、弦楽器も美しく、滑らかである。
  パイオニアが福音電気からこっちまともなスピーカーなんぞつくったこたない
16センチユニットになんか間違いがあったくらいである。
申し訳ありません。廃材は訂正させていただきます。
触った感じが冷たい、まさに無垢柾目の木材が持つ実在感。ホワイトオークの白木が
いい感じに沈んだ中に虎斑が美しい。音が良いと廃材から銘木に印象が変わってしまう。
実はこの前のスピリットも聴いていたので驚きを隠せない。
ひょっとしてひょっとすると、あのTAD以来音作りが変わったしまったか、
とにかく国内大手メーカースピーカー初採用である。音楽ファンに捧げる所有欲をも
満足させる逸品である。
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本当に低音がいるときは

 狭い環境で3次元再生をするときのコツは低音を諦める事である。
しかし大きい楽器の多くは基音部に小型スピーカーでは再生できない音を
持っていることも確かだし、はっとするような低域を再生しないと聴いた事に
ならない音楽もあるのは間違いない事実だ。
 そこでスーパーウーファーの存在価値があるのだが、当店ではお勧めしてなかった。

目をつぶって、最初の低音が出る前から解かってしまうスーパーウーファーの場所
気になってしょうがないから2.1CHは「無理です」で通してきた。
SUB250という新製品は、意外なくらい小さい。そして動かす空気の量が小さい分
速い。小型スピーカーとすぱっと揃うので不自然さが少ない。
低域の量感はエネルギーとともに確実に増加する。プレーヤーが床を踏んだときの
空気感は生々しささえ感じさせるがどこまでも自然なのが貴重だ。
長期的に使用して其の可能性を追いかけて生きたい製品であるが、期待できそうなので

紹介しておきたい。 

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05.06.19  発砲 / 砲手: 吉 田
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Sharp SM-SX10 定価252,500円(税込)


皆様お待たせしました。
ようやくの発売でもう待ちきれなかった方もいらっしゃるでしょう。
SM-SX1以降SG11、SG40とミュージックセンターとしての1bitは発売していましたが、
単品のアンプとしては久々の商品になります。
今回は11.2MhzのサンプリングはSX300と同じで旧2.8MhzのSX1と比較すると、出力、
電源部(ソフトスイッチング)、サンプリングと規格は大幅に性能アップといえる。

フロントパネルにはボリュームとセレクター、電源スイッチ、バランス、トーンコントロールと
一般的なアンプの構成になる。
バランス、トーンコントロールはオンオフが可能で実際の使用時にはバランス、トーンコントロールはプッシュ(一押し)してつまみを出して使用する。
個人的にはこの部分はかなり安っぽいと思うし、定価で25万もするアンプを買う人が使うのだろうか、ちょっと疑問だし、もしつけるならもう少し高級感が欲しかった。

ボリュームはリモコン付きでアルプスのディテント型をモーターコントロールするタイプ。
入力はデジタル(同軸、光)とRCAのみでXLRには対応しない。
それから今回試聴はしていないがi-linkが付く。
試聴開始直後の印象。
まず立ち上がりが悪い、SX1程の細さは無いのだが全般的フォーカスが甘く寂しい音だ。

SX200、SX100-5.6Mhz、SX300とサンプリングが上がると滑らかにはなるのだが、歴代のモデルをみても電源立ち上げすぐの寝起きはかなり悪いようだ。
ただ位相は揃っていてフラットなだけに立ち上がりが良くなればと期待しつつエージングを続ける。

電源を入れて2日目、フォーカスも良くなってきて一段と滑らかさも増す。
空間はSX300と比較すると狭いが、このクラスのアンプの中では比較的広い方といえるだろう。
スピードもSX300(ノーマル)同レベルになる。
音域の広さ、スピードはSX300(ノーマル)と同等、エネルギー感と情報量はさすがにSX300(ノーマル)の方が上、正確には情報量はそれなりにあるのだが、出力というか力感の余裕の違いが音数の違いになっている、これは仕方ないが全般的な性能と価格を考えると相当な健闘といえる。
今回は全般的にアナログ入力で使用した判断だが、デジタル入力の質も向上している。
デジタル入力の質に関してはSX1、SX100よりもかなり進歩している。

それからクロックの搭載も予定はしているので、改造可能な実機が入荷次第、クロックの搭載を行う予定です。   (7月上旬予定。)
素材としては素直な作りで、今回内部の画像も出しているが、中身も整理されているのでクロックの効果も期待されます。乞うご期待。

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05.05.26  発砲 / 砲手: 吉 田
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さて今回は久々に組んだ10万システムを取り上げてみます。

このシステムはSharpのミニコンSD-CX9のディスコンに伴い、入門用のお勧めセットが無くなったところから、新たに商品探しが始まりました。

まずスピーカーですが、お客様でSD-SG40-XO3を二台も買われたお客様がNature101をお使いで試聴して欲しいとの事で当社にセットにして送ってくださいました。セットの内容はSD-SG40-XO3とNature101で試聴し、これがこのスピーカーを使うきっかけになったわけです。このセットには1mくらいのスピーカー、SD-SG40-XO3を置くボードも付いていて、かなりニアフィールドな使い方ですが、セット内容としてうまくまとめた物に仕上がっていました。このセットをお聞かせいただいたのは非常に有意義でした。

さて基本セット10万円未満ですので各単品にそうコストが掛けられません。その中でこのスピーカーの魅力は非常に大きな物でした。試聴して一発で採用を決めたのですが、まず密閉でユニットも8cmと小口径でありながら、過不足の無いレンジ間と正確性、フルレンジでありながら高域方向もよく伸びて抜けも良く、耐入力15Wですからハイパワーな再生には向きませんが、レスポンスも良くて、ホームページに写真を載せていますように幅1m前後の空間の上でスピーカー、アンプ、CDと展開しニアフィールドで聞いても、その中に十分な空間表現が得られます。さすがに本格的な低域の再生は厳しいのですが、ペアで36,750円(税込)という価格は十分過ぎるくらいのCPですし、もともとこのサイズのスピーカーにそこまで望むのは酷でしょう。ただもう一度書きますが、それ以上に脚色の無い素直な音調と抜けの良さ、密閉でありながら高低過不足ないバランスの良さは低価格でもこねくり回したスピーカーが現状多い中では非常にお勧めできる存在です。

次にアンプ、CDの選定になるわけですが、ついこの間までSharpのSD-CX9、終了間際のSD-SG40(ノーマル)で組めば10万を切れるセットが出来るわけですからこの本体を越す内容でアンプ、CDを探すにはなかなか厳しいのが正直なところでした。ちょうどいい具合にONKYOからINTECの275、205の新シリーズが出ましたので、275シリーズのアンプ、CD、205シリーズのアンプ、CDを比較しました。CDプレーヤーに関しては正直どちらのシリーズのプレーヤーを使ってもいいやというレベルでしたが、明らかにアンプの方は上級機のA-933よりもA-905FXの方がすっきりして作為的、意図的な音作りはされておらず低価格の割には素性が良いと判断致しました。ドライブ力はSD-SG40と同じくらいでしょう。ノーマルではSP25改がしっかり鳴るというところまでは行っていませんが、いやな鳴り方はしませんしNatuer101を鳴らすにはそのままでも十分なパワーです。ただ悲しいかなお買い得な物を見つけるとついついやりたくなってしまうのが悪い癖なのか、ちょっと電源周りのアースの取り方を変えたりして遊んでいるうちに、そこそこに仕上がってしましました。そうなるとCDの方もどちらでもよいと言っても、そのままではC-733の方が若干ですが気持ち分よく出来ていましたので、C-705FXにはクロックを載せて帳尻を合わせました。

このように書くとCDプレーヤーがさぞかしぼろそうですが、ノーマルの状態でも比較的滑らかで細かい表現が取れるプレーヤーですし、価格からしてノーマルでもお買い得でしょう。そしてXO3を載せることで、更にグレードアップし、チューンしたアンプA-905FXとC-705FX-XO3、Nature101のセットがjauntyになります。

命名者は最近電子辞書を買って喜んでいる岡島ですが、意味の方は皆様興味がおありでしたら調べてみてください。

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05.05.08  発砲 / 砲手:岡 島
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無駄な抵抗はやめろ

今回ONKYOさんのCDが出てきたおかげでCD3300以外の選択肢が
増えた事で大変楽しくなった。このごろアンプのローエンド商品を
集中して聞いていて気が付いた事がある。
「ローエンドはどんな馬鹿なメーカーでも救いがある。」
 例えば、あの●●●でさえも???-3??は聞けないことは無い。
だから●●●●●ー●には安いのが無いから、、、なるほど。
 CECさんも全く同じ事が言える。CD−2100の正当性やCD-3300
の癖の無さに対して、その上級機種のお仕着せがましい「大人し
ければ上品なんだ!」という個性に唖然とする。かなりよい物を
安い価格で市場に提供するという考え方が清々しいので応援し
たいのだがやはりここまで個性があると2の足でも3の足でも
踏んでしまう。
 今回のオンキョーのプリメイン、A-905FXやCDプレーヤ 
C-705FXは中途半端な商品群を上回る快作である。おもわず
改造とセッティングを始めてしまったゆえの結果が今回の
「Jaunty」になったわけだ。メーカーさんお願いします。
どうせみなさんコンサートに行かず、我が家に帰ったらビール
飲んで野球見てるんでしょ?。そんな人の音楽観盛り込むくら
いなら何もしないで普通に作ってください。

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05.03.24発砲 / 砲手:岡 島
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。 その国、都市の文化の高低は、「形のない物」が価値を生むことにあるのだろう。
それは、デザイン、情報だったりするのだが、意外に粗略にされている町が
福岡という地方都市である。ま、地方都市という言葉自体、人の多い田舎と思えば
腹も立たない。こんなところに来てくださいというのも憚られるが、それでも敢えて
「来てください」なのです。

 今回、スタッフの一人が山形までスキーで遊んできました。雪遊びするのに、
日本の全長の半分を移動したわけです、100万円を超える遊び「立体音響再生」
の為にそのくらいの移動は不思議じゃないと思いました。雪遊びにはそれなりの
雪が要るように、完成に近い「立体音響再生」は簡単に移動させる事はできません。
 今回のSX300改を中心とした、システムを聴いて頂くと、吉田苑が提示する音楽の
楽しみ方がお分かりいただけます。あなたにとってこの音が「嫌い」でなく
「悪い」なら、吉田苑の存在は無視してください。選ぶために聞き比べるのでなく
聞き比べるために標榜するための音を確認して欲しい、現状はSP25によって再生
されていますが、テンプテイションのよく制御された音像は脅威です。
暖かくなるとT,A,D等もご報告できます。

ぜひ聞き込んだCDを何枚か持って、福岡へ遊びに来てください。
ご予約いただけると、自慢のコーヒーコロンビアスプレッモ「エスメラルダ」を
ご賞味いただけます。

いつか君もくるといい、博多には夢がある、
        できるなら夏がいい祭りは山かさ
                      博多っ子純情 by TULIP
作詞 安部俊幸 作曲  姫野達也    「WELLCOME TO MY HOUSE」より



05/03/03 発砲   砲手 :吉田


       47lab スピーカー #4722(B)(W) 定価155,400円(ペア税込) 

今年はフルレンジが熱いということでフルレンジ2モデルです。

まずは47研究所の#4722。このモデルには上級機に#4722Sがありますが、今回は#4722の方です。
一昨年前、某社(47ではないが。)とフルレンジの可能性について話をしていたのですが、先を越されたというか、47labらしいサイズとフルレンジ一発とは考えられないくらい、まとまった音を聞かせてくれるスピーカーに仕上がっています。
10cmのユニットでアラミド繊維に特殊コーティングをした振動版に紙のセンターキャップ、動きのよさそうなユニットを、小さな箱(ダリのメヌエットロイヤルくらい)に入れたバスレフスピーカー。
フルレンジらしく素直な音でストレス無く上下の線が揃い、重低音は無理にしても普通に音楽を楽しめる十分なレンジが確保されている。

特徴的なところはユニットが箱に接着されている事で、シュテルンいわくフレームをねじで止める事によるフレームのゆがみ、ストレスから逃げるのが目的らしい。
昨今はやりのトルク管理もフレームのゆがみ、ストレスから逃げる一つの手段だが、トルクの掛け方で音が随分変わってしまうし、最適なトルク管理はヒヤリングの上で無いと決められない。
その点では接着という技を開発した47はさすがと言うべきか。
ただ接着剤がダンパーにならないのかと考えるが、音を聴く限りではそう感じさせないのもさすがというべきか。

かなり立ち上がりもよくハイスピードなのだが、きつくならない、特に高域方向のニュアンス、再現性はツィーターの無いスピーカーでは中々難しいと思うが、フルレンジとは思えないくらいしっかりと伸びているし、細かな空気感やチリン、シャリンも上手に再現している。
これはフルレンジに独自のネットワークがかんでいる成果だと思うが、よくコントロールされていて、得に高域方向のユニットの動き、ストレスを開放し、高い方のレンジを確保することで、低域のニュアンス階調もうまくコントロールしているように思われる。
(バラしたいのだがユニットが接着されており、シュテルンがはがし方を教えてくれそうも無いし、ネットワークも見ていないので、それはまた機会あれば次回。)
全帯域においてどこかピークが出たところも無いので、ちょっと優等生過ぎるかと思うが、静寂の中に良い意味で日本的な切れや感覚を覚えるスピーカーだと思う。

フルレンジに15万は高いか安いか、好き嫌い、見た目も含めて難しいところだが、欧州系やアメリカ系、日本製を問わず結構な価格の2ウェイ、3ウェイでも、まとまりの無い中途半端なスピーカーも多いので、フルレンジでこの音なら十分存在価値はあると思う。

#4722Sに関しては#4722よりも確かに細かく再現性は、上だが個人的には、音質差を含めて価格差が微妙。#4722Sのほうがよく言えば繊細、言い方を変えると神経質すぎるような気がする。
(岡島は#4722Sの方を気に入っているようだが。)

Pastoral Symphony AP5001 ペア78,750円(税込)

#4722よりも更に小型のフルレンジスピーカーでユニットの作者は同じようだ。
ただ口径は同じでもこちらは紙コーンに特殊コーティングされて、表面上は銀色の見た目、
たたいた感じやや柔らかさがあり、薄く樹脂系のコーティングがしてある。

サイズは昔のオーラトーンの5Cを思い出すが、音は5Cよりももっとワイドレンジ。
この時代に5Cと比較するのも何だが。
独自のマイクロピュア技術、ユニットと箱の間に微妙な隙間を持たせて、ユニットの背圧ストレスを開放する方法だが、#4722同様にストレスを感じさせないものに仕上がっている。

ユニットの背圧ストレスを開放するという意味では、マランツプロのMZ-S01やNM01のように後面開放型を発展させたスピーカーもあるし、DYNAUDIOや最近のスピーカーでフロントの横幅よりも奥行きがかなり深い製品が多いのは、箱容量を稼ぐのとユニット背面のストレス考えての物である事は想像できる。

さて肝心の音の方だが、中音域に適度に張りがあり、人の声も自然に出る。
出て来る音は非常に誠実なスピーカーといえる。

分解能、スピードは価格並みより上だが、決して高分解として聞かせるスピーカーではない。
必要な音はしっかり聞き取れ、必要なレンジは確保してあるので、コンパクトモニターとしてのバランスのよさは価格からして十分すぎる出来だ。
5万円から10万円の間では2ウェイのコンパクトスピーカーも数あるが、フルレンジでも十分だという証明のようなスピーカーだと思う。
欲を言えば細かいニュアンスは出ているのだが、#4722並の高域特性があれば、もっと表現が良くなるスピーカーだと思う。
ただ価格からすれば出来すぎといって良いレベルなので、#4722まで気を使いたくない、気軽にフルレンジを試してみたい方にお薦めである。

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05.02.19 発砲 砲手/竹 田      
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最近のオーディオの価格は異常です、少し前までは100万のアンプといえばハイエンド
でした・・・が、最近は100万出しても良くてミドルレンジ。300〜500万が当たり前の
様になってきました。
なぜ、こんな事になってしまったのでしょうか?

この間、メーカーさんの開発の方と話す機会がありました。
その中で電源プラグの話になり
「なぜ、電源プラグのブレードにメッキをするのか、無メッキの方が音が良いではないか。」
と聞いたところ、
「私も個人的にはその方が音が良いと思う、しかしそれではセールストークが出来ない。」
という、返答を頂きました。
つまり、音を良くする事よりも 売りやすさ が重視されて開発される訳です。
当然、無メッキのパーツより金やロジウムのメッキがされたパーツの方が高価なわけですから、
音は悪いが高価な機材がどんどん生み出されて行くのです。

このような開発姿勢を産んでしまった責任は我々ショップの責任でもあり、またそれを
求める消費者の責任でもあるのではないでしょうか。
この状況を少しずつでも改善するために、雑誌で評価されている、見た目が豪華等の安易な理由で
機材を選定するのは止めませんか。
自らの耳と感性を信じて本当に良い機材を選ぶ人が増えれば、メーカーも無駄なコストをかけずに
安くて良い機材を作るようになります。

そのような土壌を作るためにも皆様の協力をお願いいたします
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05.01.15 発砲 砲手/竹 田      
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今回は、自己紹介もかねて私のオーディオ感です。
前にも1度砲台で発砲していますが、あらためて自己紹介します。
10年ほど前から吉田苑の客だったのですが、前職は福岡のあるオーディオショップの
店員をしておりました。それが、とある事情により吉田苑の店長という職を頂いております。
私のオーディオ遍歴をアンプだけ簡単にあげて行くと、ソニーのプリメインアンプに始まり
ラックスマンのプリメイン→ラックスマンのセパレート→マッキントシュのセパレート→
吉田苑と出会う→ゴールドムンドのセパレートと、ここまで肥大化の一途をたどっておりました。
吉田苑と出会う前の私はおそらく、ごく普通のオーディオマニアでした。ここで言う普通とは
機材の情報の入手先を(このころは、まだネットが普及していなかった)雑誌にたより、
ショップでの視聴は、劣悪な環境でのリレー切り替え式の視聴しか出来ず、自宅への持ち込み
視聴
など想像も出来ない。よって、自分の中に絶対的な価値基準が出来ていないままに、闇雲に
高価な機器の買い替えを続けていくという悪循環に陥っていました。
そして、その状態の時には自分ではその事に気がついていない。
今になって思い起こせばそうだったな、という感じです。

さて、皆さんは自分の中に判断の基準となる指標が出来ていますか?
これが無い、もしくはずれていると機器の買い替えの無間地獄をさまよう事になります。
雑誌でほめているとか、ショップの店員が薦めたとか(もちろん当店が薦めた物もふくまれま
す)そんな物は参考にはなっても基準にはなりません。
幸い、私の場合は吉田苑の出していた音が自分の理想を具現化していたことによって指標が
明確に定まった
ので、それ以降の機器の買い替えで失敗する事がありませんでした。

だからと言って吉田苑で薦められる物ばかり買った訳ではありません(現在のメインスピーカー
はJBL4301です)
あくまでも、吉田苑の音を聞くことによって
「ああっ!オーディオってこんな音も出せるんだ!!」
という驚きと共に、自分の基準としていた音がいかに歪んでいたかを認識する事が出来また。
正しく再生された音を聴きそれを理解した上で自分なりの好みの色を付けるといいと思いす。

当店で再生する音が皆様から見ると、偏っているように見える事は自覚しておりますし(実際は
偏ってないのですが・・・)
「この音はきらいだ!」
とハッキリ言ってくださるお客様もいらっしゃいます。
もちろんオーディオとは嗜好品ですから、それでいいのです。
ただ、少しでもお客様自身の中に価値基準を作るお手伝いが出来たらいいと思っております。

店頭で出している音が正しい音だ、とは言えませんが全く自信が無いわけでもありません。
ぜひ、お気に入りのCDを持って遊びに来て下さい。

PS.コーヒーにもちょっと自信があります。全日本オーディオショップコーヒー選手権があれば
   上位に入賞出来るのでは・・・などと密かに思っておりますので、こちらの方もお楽しに。

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 '05.01.05発砲 / 砲手:岡 島 
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テスト走行300kmオーバー 

どこかのオーディオ屋がメーカーと結託して新しいCDPを作っているらしい。 
そのベータ版を聴く機会があったのでその印象を報告します。 
仮に型番を●●としておきましょう。 
  
世の中には出来すぎて困る事がある、
前回400万円を超えるCDPを高く評価したが、 
ま、普通は「買えない」あるいは、「買わない」から構わないのである。 
しかし、20万を超えないCDPがハイエンドのCDトラポやDACを蹴散
らしてはまずいだろう。 
●●は完全に100万円のCDセットを、セパレートだろうがインテグレ
ーテッドにもかかわらず、 ただの「燃えない○○」にしてしまう。これは
そのオーディオ屋が偉いのではなく、 作った人たちの「行き過ぎた努力」
の成果であろう。   凄まじいスピード、こんなオーバーな表現が許され
るのは、 現代のCDPたちが死ぬほど遅かったからである、LHH-300Rを
目標に作られた 小さい筐体からはじき出される音は、今までに無い鮮度
で目の前に3次元空間を作り出す、 特に印象的なのは、奥行きの深さと
その表現の正確に聞こえる精度である。 一面的には900さえも超えてい
ると思われるスピード感。 個人的には好きだった800のプレゼンスをも
凌駕してしまう。 果たして、商品化されてしまった場合、これが20万円を
割った価格で発売された場合、 音だけに満足を見出せる人は良いとして
モノを持つ喜び、ラックに入れて見る満足感に関してはなぁ(笑 

いいたい砲台2005巻頭
振り返ってみると8年もぶつくさ言い続けてるわけです。
お客様からは、「手ぬるい!」。メーカー様からは「酷過ぎる!」
といわれ続けてもおりますが、
この現象からも、メーカーと顧客の感覚の違いがわかります。
元々オーディオなんてのは、わずかの人数に工夫好きの
人々が供給するような、ニッチな市場だったのが
10年間の狂乱の後にこれで食わなきゃならない
人たちが増えすぎてしまったということでしょう

 
いいたい砲台05

あけましておめでとうございます。
ご覧のようにめっきりダサいデザインになりました。
といいますのが、今まで外注に出していたHP作成を
なんとか店内スタッフで、やれないかという吉田の指示で
アプリケーションソフト「ninja8」を使用して作っています。
デザインがダサくなった分《臨機応変》をモットーに
更新をするページに生まれ変わります。いや変わればいいなぁ。

ということで今年もよろしくお願いいたします

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